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落語ブーム、二ツ目なのに客を呼べる演者がいる時代

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生粋の落語ファンが魅力を解説する

【生粋の落語ファンが魅力を解説する】

 落語ブーム、らしい。去年から今年にかけて、マスコミで落語が取り上げられることが増えたのは事実で、僕自身、様々な雑誌やムックの「落語特集」で原稿を頼まれたり取材されたりして、だいぶ忙しかった。テレビのバラエティ番組に「落語鑑賞指南役」で出演してジャニーズのアイドルを寄席に案内したこともある。

 そうしたマスコミの取り上げ方に影響を受けて、最近落語を聴くようになったという人達は確かにいるだろう。客席にいて、それを感じることはある。ただ、それは落語ファン全体のごく一部に過ぎない。新たなファン層が大量に参入してマーケットが拡大すれば「ブーム」と言ってもいいが、実態は異なる。

 2005年、テレビドラマ『タイガー&ドラゴン』などがきっかけでマスコミが「落語ブーム」と騒いだ。あのときは確かに寄席や落語会の観客動員が飛躍的に伸びた。20世紀末に低迷した落語という芸能は、あの時期に息を吹き返し、以来ずっと活況は続いている。

 なのになぜ去年あたりから再び「落語ブーム」と言われるようになったのか。

 今、東京では平日でも毎日20~30、土日だとヘタすれば50を超える落語会が各地で催されている。毎日数多く落語会があるというのは10年前から続いていることだが、さすがに1日で50を超えるというのは凄い。だがこれは、落語ファンの総数が大幅に増えたからではない。最近落語を聴き始めた新規参入ファンがいるのは事実だけれども、1ヵ月あたりの東京近辺のすべての落語会の観客動員数の合計は、10年前と大差ないはずだ。

 では何が起きているのか。「小規模の落語会の数が増えている」のである。そして、その小規模の会の主役がベテランや中堅ではなく若手、それも二ツ目(真打の下の身分)だったりすることが多い。

 昨年、いくつかのテレビ局が「今、若い女性が渋谷で落語を聴いている」という話題を取り上げた。ここで言う「渋谷で」とは、渋谷区円山町のユーロライブ(178席)というライブスペースで開催される「渋谷らくご」(通称「シブラク」)のこと。落語初心者の若者でも気軽に足を運べる落語会、という趣旨で2014年にスタートした「シブラク」は、毎月第2金曜から5日間で10公演開催される。

「シブラク」のプログラムは若手、それも二ツ目が中心だ。予算面からの苦肉の策かもしれないが、これが功を奏した。ここの客層は従来の落語ファンとは異なり、明らかに最近聴き始めた若者、それも「シブラク」だから来る、という人が多い。ただし「女性客が多い」というのは近年の落語界では常識であって、驚くのは単に取材者の勉強不足。ここではむしろ、「二ツ目なのに客が来る」ことに驚くべきだ。

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