「直角三角形の2つの角度から他の辺の長さを求めよ」……といった数学の問題。なかなかマスターできず、数学の時間に悩まされた記憶がある人もいるでしょう。
その起源である三角法は古くから測量や天文学の分野などあらゆる分野で活用されており、紀元前120年前頃の古代ギリシャの天文学者、ヒッパルコスが月と太陽の軌道を計算するために使われたのが最初というのが定説でした。
ところが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のダニエル・マンスフィールド博士とノーマン・ワイルバーベルガー教授の研究により、三角法を発見したのは古代バビロニア人であることが新たにわかりました。
石板を持って満面の笑みを浮かべるマンスフィールド博士です。
Twitter/UNSWnews
発表によると、1900年代にイラク南部で考古学者や学者たちによって“Plimpton322”と呼ばれる石板が発見されましたが、楔文字の内容を解析した結果、ヒッパルコスの研究より1000年以上前に三角法が使用されていたことがわかったのです。
https://newsroom.unsw.edu.au/news/science-tech/mathematical-mystery-ancient-babylonian-clay-tablet-solved
「私たちが学校で教えてきた従来の三角法よりはるかに単純で正確です」(マンスフィールド博士)
石板に書かれていた内容は、古代バビロニア人が直角三角形を「四角形の半分」と見ており、正確な比率だけで直角三角形を描いていたというものです。
数学がよりわかりやすくなる?
ワイルドベルガー博士は、今後の数学教育にも新しい可能性が生まれていると言及しています。
「“Plimpton322”ではこれまでより簡単で正確な三角法がわかります。数学研究だけでなく教育での新しい可能性を開きます」
これまでとまったく違ったアプローチで理解できる方法があるなら、多くの中高生にとっては朗報にもなりそうです。