最終戦争の業火により、あらゆる生命体は滅びたかに見えた。
しかし……人類は死滅していなかった。
すべての文明が吹き飛ばされ、何も生み出されない時代が到来。
強き者がわずかに残された食糧や資源を奪い合う、
まさに暴力が支配する世界となっていた。
そんな世界の片隅に“奇跡の街”と呼ばれる場所があった。
街の名は“エデン”。
エデンは街を見下ろす巨大なドーム型の
旧世界の遺物“スフィア・シティ”から
水や電気が無尽蔵に
もたらされており、その恩恵で歓楽街まで備えていた。
エデンの民はこの時代では考えられない豊かな暮らしを送っており
まさしく奇跡としか言いようのない街だった。
ある日、放浪の末にひとりの男がエデンへたどり着く。
その男の名はケンシロウ。
彼は一子相伝の暗殺拳、北斗神拳の伝承者であった。
無敵の拳を体得したこの男は、
暴力が支配するこの時代の寵児にも思えた。
だがケンシロウの胸中は絶望に満ち、
生きる希望はたったひとつしかなかった。
ケンシロウの唯一の希望、
それは死んだと思っていた最愛の婚約者・ユリアが
エデンで生きている、という噂だった。
しかし、ケンシロウの僅かな希望も虚しく訪れた街は、
城門を固く閉ざし、外からの人間を拒絶し続ける街だった……。
何としてもエデンに入りたいケンシロウは果たしてどうするのか……
そして、ユリアを追い求めた先に、ケンシロウに待つ運命とは……
謎に満ちた街を舞台に“愛”を追いかけ、
宿命という名の運命の激流に巻き込まれていく男、ケンシロウ。
もうひとつの救世主伝説が幕を開ける。