皆既日食は自然界に影響を及ぼしていた。植物から動物まで不可解な行動が確認された4つの例

　閉じた花から、浜辺に打ち寄せられた無数のサケまで、アメリカを横断した8月21日の皆既日食では、自然界でも不気味な現象が観測された。

　皆既日食が動植物に与える影響を観察する滅多にないチャンス到来に、いくつかの実験プロジェクトが実施された。

　こうした観測結果から判明したのは、皆既日食が人間を普段とは違う行動に駆り立てただけでなく、自然界の動植物にもさまざまな影響を与えていたということだ。

　ここで紹介するのは動植物たちが見せた特に興味深い皆既日食への反応である。

1.犬や猫などのペット

　動物が示す強固な昼夜の行動パターンは光と闇のサイクルや気温に関連している。動物たちが皆既日食の影響を受けたのも驚くことではない。

　過去においても昆虫、チンパンジー、ヒヒなどが日食に対して変わった反応を示したことが観察されている。

　しかし今回の皆既日食は非常に広い範囲で起きたため、いくつもの観察実験が行われた。例えば、500名以上のiNaturalistアプリユーザーが2,100ヶ所で350種の動植物を観測した。

　特に多かったのは犬であり、それらの多くが皆既日食への反応らしき行動をとったことが報告されている。

　また猫についても興奮状態にあったという報告がある。



　しかし、その行動の解釈は少々難しい。例えば、米カリフォルニア工科大学の理論物理学者ショーン・キャロルは、皆既日食で飼い猫の1匹が怯えた旨をツイートしているが、ほかの猫たちは普通にくつろいでいたそうだ。

　結局キャロルは「猫の個性は天体現象に勝る」と結論付けている。一般にイヌの行動は案外分かりやすいものだが、ネコの行動はいくぶん不明瞭だ。

2. 家畜

　ニワトリもまた皆既日食に反応していたが、どうやら気温のほうに強く影響を受けたようだ。

　皆既日食当日は暑かったが、太陽が遮られると気温はかなり低下した。ニワトリの行動で特に目立ったのは、暑い日には隠れていることが多い鶏舎から外に出てきたことだ。また食が最大になった瞬間、普通は夜にやる身繕いも行った。太陽が顔を覗かせると、再び鶏舎に戻ったという。



　馬もまた驚いていたようだ。食が最大になると子馬たちが興奮して、いなないたり、走ったり、飛び跳ねたりといった行動を見せた。どうやら夜になったと感じていたらしい。

3. 昆虫、鳥、魚

　昆虫も調子を狂わせている。日食の直前、セミが盛大に鳴いていたが、皆既日食によって水を打ったように静まり返った。

　鳥については、大きな群れを作って飛ぶ姿や、騒がしく鳴いたり、反対に鳴くのを止めたりと囀り方を変化させたりする様子が観察された。

　また魚釣りをしていた人は大漁だったようだ。バスなどの魚は、早朝と夕刻に餌を食べる習性があり、日食による暗闇で混乱してしまったようである。

魚、植物

　シアトルタイムズによると、ワシントン州ベリンガム湾の浜に30万匹ものタイセイヨウサケが打ち寄せられるという奇妙な現象が発生した。

　しかし、これは皆既日食によって生じた強力な海流によって付近にあったサケ養殖場の網が切れてしまった結果である（なお当局は地元民にサケ捕獲の協力を要請した。一帯の環境や天然のタイセイヨウサケに被害を与える恐れがあったからだ）。



　また光合成を行うために光に頼る植物も面白い反応を示した。一例としては、夜に閉じる習性があるアサガオが皆既日食が近づくと同じ行動を示し、太陽が再び顔を覗かせると花を開かせた。

via:The Solar Eclipse Had a Spooky Effect on Nature/ translated by hiroching / edited by parumo
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