会津鉄道AT-600/750型の製作(上)
きっかけ:旅行へ行って「あ^~作りたい^~」と思ったこと。
会津鉄道AT-600/650型、AT-700/750型ディーゼルカーは新潟トランシス製軽快気動車で、AT-500/550型をベースとしそれぞれ2005年・2010年から運行されている同車の主力車両です。
既存のAT-500/550型との違いは東武鉄道への直通運転に対応していることで、野岩鉄道会津鬼怒川線・東武鬼怒川線を経由し東武日光~下今市~会津若松(~喜多方)間を結ぶ「快速AIZUマウントエクスプレス」号など主力列車へ主に充当され、内陸側から首都圏と南東北を結ぶ幹線の一角をなす存在として知られています。
AT-600/650型は白地、AT-700/750型は真っ赤な塗装をまとった車両で、前者は「AIZU尾瀬エクスプレス」(現在は愛称廃止)用として開発された転換クロスシート車。後者は老朽化した元名鉄キハ8500型の代替車としてAIZUマウントエクスプレス専用車として開発されているだけに、軽快型気動車まんまの外見とは裏腹に大型リクライニングシートを配したスペーシア並みの内装となっているのが特徴です。
東武直通列車が増えたこともあって現在両者はほぼ共通に運用されており、紅白のコントラストも鮮やかな2連・3連での運転もよく見られます。ちなみに東武および野岩鉄道には内燃動車操縦免許を持つ運転士がいないため、東武・野岩線内も会津鉄道の運転士が通し乗務するという変わった光景も魅力の一つでしょうか。
さて、そんな会津鉄道ではありますが模型化には恵まれず、(6050系61201Fを除けば)唯一出ているのはマイクロ製品のキハ8500型のみ。その他の形式も、完成品どころかキットでの製品化すらなされていないのが現状です。開業当初のレールバスタイプの車両から、お座敷車やトロッコ車など奇怪な改造車までバリエーションに事欠かない路線だけにちょっと残念ですね……。
とはいえ、幸いAT-500~750型に関しては同型車がTOMIXから出ていますので、今回はぜひ東武電車と共演させたい現行「AIZUマウントエクスプレス」を製作してみます。
作業の負担と模型としての見栄えを考慮し、トイレ付きの赤い車両AT-750型と、トイレなしの白い車両AT-600型を1両ずつ製作します。「同型車が」とは言ったものの細かい部分では色々違いもありますのであくまで雰囲気重視とはなりますが、いつものように温かい目でご笑覧いただきたく思います。
ベースとしたのがこちら、TOMIX製の「樽見鉄道ハイモ330-701形」です。
見た目こそ樽見鉄道カラーをまとった車両ですが、中身は新潟トランシスが絶賛大売出し中の標準型軽快気動車で、実際TOMIXからも同金型でわたらせ渓谷鉄道や三陸鉄道などが商品化されています(ということは会津鉄道も待ってれば出る可能性がありますが……まあ気にしない気にしない)。
某通販サイトのセールで新品をえらい安く入手できたので、2両用意しました。わ鉄や三陸鉄道でも構いませんが、前者は窓サッシが、後者は一部のボディ形状が異なるので、樽見が手に入ればこれがベストのようです。
まずは分解。
接着剤を使わずに組み立てられていることに感動しつつ(笑)、鼻歌交じりにさくさくバラします。ピンセット1本で作業が片付くあたりさすがと言った感じ。
ボディをIPAに漬け、塗装を剥がしました。湯煎しつつ1時間ほど漬けたところ難なくズルムケになり拍子抜け。TOMIXの塗装は強靭なイメージがあったのですがモノによるんでしょうかね。
さて2両のうち1両はトイレ付きの車両にしますので、側面窓を1ヶ所埋め込む必要があります。給油口と排気管がない側の一番右側の客窓がトイレにあたりますから、間違えないよう作業しましょう。両運転台車(特に気動車)は車両の向きが解りづらいですからね……。
窓枠のモールドをノミで削り落とし、ピタピタの大きさに調整したプラ板をはめ込んで接着。隙間埋めにはガイアの瞬間カラーパテを使用しました。傷の有無が判別しやすく、また瞬着ほど硬くならないため削りやすいのでオススメのグッズです。
表面を綺麗に磨いたところ。カラーパテを大まかにノミで落とし、タイラーで水研ぎして仕上げます。ステンレス車ではないのでそんなに神経質にはやっていませんが、2000番までは磨いておきました。
窓埋めのやり方はそれこそ十人十色ですが、私はだいたいこんな感じです。……などと偉そうに書いていますがこの手の削る&埋めるを伴う作業が未だに苦手なので、かなり手を焼きました^^;
前面窓下には長めの手すりがありモールドで表現されていますが、AT-600型は窓下に緑色のクマが塗装されていて、これを塗り分けるときにモールドが非常に邪魔なので、ディテールアップも兼ねて別パーツ化しておきました。
手すりの長さは約3.5mmですが、最近は都合のよい製品が出ているものでズバリの寸法のものが銀河から出ていましたから(品番N-618「誘導員手スリ3.5mm」)、こちらを使用しました。元は電気機関車に使うパーツのようです。
根元にあたる部分の位置をおおまかにマークしてからモールドを削り取り、指定寸法で開穴。ついでにワイパーも別パーツ化しようと思いますので同じく穴を開けておきました。
なおAT-750型はクマ塗装がありませんから、この時点で手すりを植えて接着してしまいました。AT-600型は当然塗装後に植えることとします。
以上で塗装前の下準備は終了です。
本当は排気管の位置が異なっていたり、そもそもドア下ステップ部の張り出しが実車と比べて小さすぎるので直せるなら直した方がいいのですが、スッパリ省略で(言われなきゃわからないの精神)。
塗装に入ります。
……実はここに至るまでに紆余曲折ありまして、帯色を先に塗ってみたりグレーを吹いてみたりと色々試したのですが、車体色を最初に塗装するのが一番綺麗に仕上がると解ったのでそのように進めています。IPAに3度も車体を漬けたのは久々なので心が折れかけましたが何とかお付き合いください(実際ボディを分解したときの画像は2016年11月のものなので、半年ほど放置していたようです)。
最初に前面手すりにプライマーを塗り、次に濃灰色樹脂のボディ色を隠すために下地として新兵器、ガイアの「アルティメットホワイト」を吹きます。
最近twitterで話題になったこの塗料、過去類を見ないほど強い隠蔽力を持つホワイトとの触れ込みでモデラー界隈でにわかに流行しているもので、気になって入手していたものです。
いざ使ってみた感想ですが、……これはすごい!の一言。隠蔽力の強さを謳うホワイト塗料はいくつもありますが、その中でもアルティメットホワイトは群を抜いていると言えると思います。ダークグレーの成型色がみるみる純白に染まっていく様は見ていて気持ちが良いほど。
仕上がりも滑らかかつ鮮やかで、「カメラのピントが合わない」というtwitter上の評価もあながち間違いじゃないと思えるくらいです。たぶん今後下地塗装はこれに頼ることになるでしょう。非常にオススメです。
車体基本色は、AT-600型は「グランプリホワイト」、AT-750型は「モンザレッド」をチョイス。
どちらも手元にあったものですが、個人的に会津鉄道の車両はビビッドなイメージがありましたので模型として映える色調を意識してみました。グランプリホワイトは前面手すりにも忘れず吹いておきましょう。
まず最初のマスキング。側面窓回りのダークグレーと、その上下に入る細い緑色帯を同時に塗り分けます。
詳しい寸法は忘れましたが、側面窓を囲むように長方形にマスキング。手すり等凹凸のある部分はその都度ナイフでテープに切れ込みを入れて密着させ、ゾルで塗り固めておきます。
その後、窓の上下にクレオスの「デイトナグリーン」を吹き、さらに0.7mm幅のカットテープを用いてマスキング。窓回りのグレーには同「艦底色(2)」を吹きました。
……実車の写真をパッと見てお解りいただけるかとは思いますが、正直この車両の塗装はマスキング&マスキングの繰り返しです。第三セクター会社の車両はどうしてこうも塗装が複雑なんでしょうね。大企業(どことは言いませんが)が単色化に走るのと対照的で困ったものです。
ここまでのマスキングは一度すべて剥がします。その様子がこちら。
あっさりしているようで、寸法取りなどに手間取りここまでで正直なところ結構疲れています(笑)。こうして見るとこういう車両もありそうに感じますが、マスキング地獄の本番はここから。ここまではあくまで序章です。
ちょっとキリが悪いですが、これからマスキング関係の御託を並べるには長くなりすぎますので、今回はここまで。
次回へ続きます(`・ω・´)
会津鉄道AT-600/650型、AT-700/750型ディーゼルカーは新潟トランシス製軽快気動車で、AT-500/550型をベースとしそれぞれ2005年・2010年から運行されている同車の主力車両です。
既存のAT-500/550型との違いは東武鉄道への直通運転に対応していることで、野岩鉄道会津鬼怒川線・東武鬼怒川線を経由し東武日光~下今市~会津若松(~喜多方)間を結ぶ「快速AIZUマウントエクスプレス」号など主力列車へ主に充当され、内陸側から首都圏と南東北を結ぶ幹線の一角をなす存在として知られています。
AT-600/650型は白地、AT-700/750型は真っ赤な塗装をまとった車両で、前者は「AIZU尾瀬エクスプレス」(現在は愛称廃止)用として開発された転換クロスシート車。後者は老朽化した元名鉄キハ8500型の代替車としてAIZUマウントエクスプレス専用車として開発されているだけに、軽快型気動車まんまの外見とは裏腹に大型リクライニングシートを配したスペーシア並みの内装となっているのが特徴です。
東武直通列車が増えたこともあって現在両者はほぼ共通に運用されており、紅白のコントラストも鮮やかな2連・3連での運転もよく見られます。ちなみに東武および野岩鉄道には内燃動車操縦免許を持つ運転士がいないため、東武・野岩線内も会津鉄道の運転士が通し乗務するという変わった光景も魅力の一つでしょうか。
さて、そんな会津鉄道ではありますが模型化には恵まれず、(6050系61201Fを除けば)唯一出ているのはマイクロ製品のキハ8500型のみ。その他の形式も、完成品どころかキットでの製品化すらなされていないのが現状です。開業当初のレールバスタイプの車両から、お座敷車やトロッコ車など奇怪な改造車までバリエーションに事欠かない路線だけにちょっと残念ですね……。
とはいえ、幸いAT-500~750型に関しては同型車がTOMIXから出ていますので、今回はぜひ東武電車と共演させたい現行「AIZUマウントエクスプレス」を製作してみます。
作業の負担と模型としての見栄えを考慮し、トイレ付きの赤い車両AT-750型と、トイレなしの白い車両AT-600型を1両ずつ製作します。「同型車が」とは言ったものの細かい部分では色々違いもありますのであくまで雰囲気重視とはなりますが、いつものように温かい目でご笑覧いただきたく思います。
ベースとしたのがこちら、TOMIX製の「樽見鉄道ハイモ330-701形」です。
見た目こそ樽見鉄道カラーをまとった車両ですが、中身は新潟トランシスが絶賛大売出し中の標準型軽快気動車で、実際TOMIXからも同金型でわたらせ渓谷鉄道や三陸鉄道などが商品化されています(ということは会津鉄道も待ってれば出る可能性がありますが……まあ気にしない気にしない)。
某通販サイトのセールで新品をえらい安く入手できたので、2両用意しました。わ鉄や三陸鉄道でも構いませんが、前者は窓サッシが、後者は一部のボディ形状が異なるので、樽見が手に入ればこれがベストのようです。
まずは分解。
接着剤を使わずに組み立てられていることに感動しつつ(笑)、鼻歌交じりにさくさくバラします。ピンセット1本で作業が片付くあたりさすがと言った感じ。
ボディをIPAに漬け、塗装を剥がしました。湯煎しつつ1時間ほど漬けたところ難なくズルムケになり拍子抜け。TOMIXの塗装は強靭なイメージがあったのですがモノによるんでしょうかね。
さて2両のうち1両はトイレ付きの車両にしますので、側面窓を1ヶ所埋め込む必要があります。給油口と排気管がない側の一番右側の客窓がトイレにあたりますから、間違えないよう作業しましょう。両運転台車(特に気動車)は車両の向きが解りづらいですからね……。
窓枠のモールドをノミで削り落とし、ピタピタの大きさに調整したプラ板をはめ込んで接着。隙間埋めにはガイアの瞬間カラーパテを使用しました。傷の有無が判別しやすく、また瞬着ほど硬くならないため削りやすいのでオススメのグッズです。
表面を綺麗に磨いたところ。カラーパテを大まかにノミで落とし、タイラーで水研ぎして仕上げます。ステンレス車ではないのでそんなに神経質にはやっていませんが、2000番までは磨いておきました。
窓埋めのやり方はそれこそ十人十色ですが、私はだいたいこんな感じです。……などと偉そうに書いていますがこの手の削る&埋めるを伴う作業が未だに苦手なので、かなり手を焼きました^^;
前面窓下には長めの手すりがありモールドで表現されていますが、AT-600型は窓下に緑色のクマが塗装されていて、これを塗り分けるときにモールドが非常に邪魔なので、ディテールアップも兼ねて別パーツ化しておきました。
手すりの長さは約3.5mmですが、最近は都合のよい製品が出ているものでズバリの寸法のものが銀河から出ていましたから(品番N-618「誘導員手スリ3.5mm」)、こちらを使用しました。元は電気機関車に使うパーツのようです。
根元にあたる部分の位置をおおまかにマークしてからモールドを削り取り、指定寸法で開穴。ついでにワイパーも別パーツ化しようと思いますので同じく穴を開けておきました。
なおAT-750型はクマ塗装がありませんから、この時点で手すりを植えて接着してしまいました。AT-600型は当然塗装後に植えることとします。
以上で塗装前の下準備は終了です。
本当は排気管の位置が異なっていたり、そもそもドア下ステップ部の張り出しが実車と比べて小さすぎるので直せるなら直した方がいいのですが、スッパリ省略で(言われなきゃわからないの精神)。
塗装に入ります。
……実はここに至るまでに紆余曲折ありまして、帯色を先に塗ってみたりグレーを吹いてみたりと色々試したのですが、車体色を最初に塗装するのが一番綺麗に仕上がると解ったのでそのように進めています。IPAに3度も車体を漬けたのは久々なので心が折れかけましたが何とかお付き合いください(実際ボディを分解したときの画像は2016年11月のものなので、半年ほど放置していたようです)。
最初に前面手すりにプライマーを塗り、次に濃灰色樹脂のボディ色を隠すために下地として新兵器、ガイアの「アルティメットホワイト」を吹きます。
最近twitterで話題になったこの塗料、過去類を見ないほど強い隠蔽力を持つホワイトとの触れ込みでモデラー界隈でにわかに流行しているもので、気になって入手していたものです。
いざ使ってみた感想ですが、……これはすごい!の一言。隠蔽力の強さを謳うホワイト塗料はいくつもありますが、その中でもアルティメットホワイトは群を抜いていると言えると思います。ダークグレーの成型色がみるみる純白に染まっていく様は見ていて気持ちが良いほど。
仕上がりも滑らかかつ鮮やかで、「カメラのピントが合わない」というtwitter上の評価もあながち間違いじゃないと思えるくらいです。たぶん今後下地塗装はこれに頼ることになるでしょう。非常にオススメです。
車体基本色は、AT-600型は「グランプリホワイト」、AT-750型は「モンザレッド」をチョイス。
どちらも手元にあったものですが、個人的に会津鉄道の車両はビビッドなイメージがありましたので模型として映える色調を意識してみました。グランプリホワイトは前面手すりにも忘れず吹いておきましょう。
まず最初のマスキング。側面窓回りのダークグレーと、その上下に入る細い緑色帯を同時に塗り分けます。
詳しい寸法は忘れましたが、側面窓を囲むように長方形にマスキング。手すり等凹凸のある部分はその都度ナイフでテープに切れ込みを入れて密着させ、ゾルで塗り固めておきます。
その後、窓の上下にクレオスの「デイトナグリーン」を吹き、さらに0.7mm幅のカットテープを用いてマスキング。窓回りのグレーには同「艦底色(2)」を吹きました。
……実車の写真をパッと見てお解りいただけるかとは思いますが、正直この車両の塗装はマスキング&マスキングの繰り返しです。第三セクター会社の車両はどうしてこうも塗装が複雑なんでしょうね。大企業(どことは言いませんが)が単色化に走るのと対照的で困ったものです。
ここまでのマスキングは一度すべて剥がします。その様子がこちら。
あっさりしているようで、寸法取りなどに手間取りここまでで正直なところ結構疲れています(笑)。こうして見るとこういう車両もありそうに感じますが、マスキング地獄の本番はここから。ここまではあくまで序章です。
ちょっとキリが悪いですが、これからマスキング関係の御託を並べるには長くなりすぎますので、今回はここまで。
次回へ続きます(`・ω・´)