お手頃な価格で購入できて尚且つ面白いなんてお得過ぎ!今回は、数ある文庫本のなかでも特におすすめの面白すぎる小説をご紹介していきたいと思います。素敵な本を気軽に持ち歩いてお気に入りの場所で読む…至福ですね。文庫化されるのを待っていてそのまま忘れている方も参考にして下さいね!
絶対に読んで欲しい!おすすめの文庫本
表記はタイトル、筆者、あらすじ、書評の順になっています。新しく文庫化された小説の中からおすすめの作品を随時追加して行く予定ですので是非お気に入りの一冊を見つけて下さいね!それではおすすめの文庫本、思う存分堪能してくださいね!
アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。(幻冬舎文庫より引用)
泥棒や強盗、殺し屋などが全く登場せず、反社会要素のない『普通の人しか出てこない』6編からなる出会いをテーマにした連作短編の恋愛小説で、実際に十分あり得そうな物語。
ボクシングの試合の結果で告白しようかどうか決める人。ズボラな妻に腹を立てて出て行った几帳面な夫、銀行の通帳に記された『オレモワルカッタ』の文字。昔のイジメっ子が広告のプレゼンテーションに来る、復讐の機会到来か?みんなが幸福とまで言えなくても、少なくとも不幸ではなくなり、なんとなく良い感じの人生を送っていく感じが最高。各話の登場人物たちが時空を超えて不思議なくらい繋がっていくところは、伊坂ワールド全開でもちろん圧巻なのですが、まさか伊坂さんの作品でキュンキュンするとは…。
満願/米澤穂信
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。(新潮文庫より引用)
あらゆるミステリーの賞を受賞した傑作短編集です。どの作品にも漂う拭い去れない不穏な空気、常に気がかりなことを抱えながら生きている気分にさせられるあの不快な感じは、先へ先へと読ませます。まさにイヤミス。
短篇集は長編に比べると満足感が少なくて苦手という方も多いと思いますが、こちらの『満願』は、そんな心配いりません。無駄の無い濃い作品ばかりで、どの作品も終盤まで読んで『だからかー』と思える作りと『ざわっ』とくる後味の悪さが最高に面白いですよ。
イノセント・デイズ/早見和真
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。(新潮文庫より引用)
死刑判決を受けたひとりの女性の過去を、色々な人の視点から回想していく物語。『読後あまりの衝撃で3日ほど寝込みました』と帯にもあるのですが、 3日は言い過ぎにしても読後の罪悪感・無力感が半端のない1冊。
元カレの妻と子供2人を放火で殺害したとして死刑が求刑された田中幸乃。彼女がどんな人間だったのかが語られてゆき、今回の事件について考えさせられていく展開…犯人のその後及び償いに焦点をあてたとにかく切ない作品です。あらすじでも紹介されている通り『筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた』ミステリー、最初から最後まで引き込まれ続けます。
夏の祈りは/須賀しのぶ
文武両道の県立北園高校にとって、甲子園への道は遠かった。格下の相手に負けた主将香山が立ち尽くした昭和最後の夏。その十年後は、エース葛巻と豪腕宝迫を擁して戦った。女子マネの仕事ぶりが光った年もあった。そして今年、期待されていないハズレ世代がグラウンドに立つ。果たして長年の悲願は叶うのか。先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの夏を鮮やかに切り取る青春小説の傑作。(新潮文庫より引用)
何代にも渡る県立北園高校の夏。甲子園出場を期待されるものの、なかなか達成できない野球部の物語。高校の野球部を舞台にしながら、誰もが共感できる感情が織り込まれています。
5話からなる連作短編集で、各話とも舞台は同じなのですが、登場する世代が10年間隔位で異なります。先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの熱い夏が描かれる爽やかな青春小説で、色々な登場人物を通して、共通の悲願に向けて突き進む姿を見ることができて、積み重ねてきた重みの先にある結末にはぐっと来るものがあります。爆笑しながら感動の涙を流せるおすすめの一冊ですよ。
天盆/王城夕紀
蓋の国を動かすのは、盤戯「天盆」を制した者。人々は立身を目指し研鑽に励むが、長い間、平民から征陣者は出ていない。そんな中、貧しい十三人きょうだいの末子・凡天が激戦を勝ち進み―少年が歴史に挑むとき、国の運命もまた動き始める。圧倒的疾走感で描き出す放熱ファンタジー!(中公文庫より引用)
将棋に似た盤上遊戯『天盆』を制する者が国を動かすという架空の国でのお話。貧しい13人兄弟の末っ子・凡天は10歳ながらも天盆にのめり込んでいき、異様な強さで難敵を倒していきます。ですが権力者に睨まれて少しずつ追い詰められてゆくその家族…。
頂点を目指す天盆を巡る戦いはどんどん熱くなっていって、劣勢を覆し上り詰めてゆく戦いぶりは痛快の一言。凡天一家の家族愛や天盆の白熱する試合ぶりに引き込まれること間違いなしの魅力あるファンタジー小説。もちろん将棋が分からない方でも問題なく楽しめますよ。
君の膵臓をたべたい/住野よる
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!(双葉文庫より引用)
病を心に秘めながらも天真爛漫に生きる咲良、彼女とは真逆で物静かで捻くれた、人を避けて歩く僕。僕らが必然的に出会った事に気がつき、心の中の彼女の存在の大きさを知った時、彼女はいない…。号泣しすぎて頭が痛くなる恋愛小説です。
余命1年…前向きで明るい桜良のセリフや行動から感じる死への恐怖と覚悟。自分とは正反対の彼と無意識に惹かれ合う恋心。それを知ったとき『君の膵臓を食べたい』のタイトルに込められた思いに気づき感動しすぎ。心に沁みるおすすめの一冊です。
あとがき
文庫化されたばかりのおすすめの小説をご紹介してきました。どの作品もとても面白くて、物語の世界にどっぷり引き込まれる作品ばかり、読み始めると手が止まらなくなるはずですよ!これからも素敵な文庫本を随時追加して行く予定です。気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。