こちら孤島のまどよりお便りします

円野まどの恥の多い日々の記録

日々の詰め合わせ 二十号

 〒 みなさま

こんにちは、円野まどです。

むしむし暑い日が続いていますがみなさんお元気ですか・・・!

私のただの毎週の記録ですが、もしよろしければ

日々の詰め合わせ二十号どうぞお納めください。

 

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 *登場人物

しゃん 私のパートナーで家主。ピザポテトが好きだけど痩せている

私 筆者円野まど。引きこもりの内弁慶というどうしようもない十字架を背負っている。しょっぱい系のおやつはコンソメパンチかとんがりコーンが好き

でんきゅう 私の弟+子供+親友の中間点にいる。数年前に九州からやってきたマッチョ、おやつはプロテイン

アイちゃん 仲良しのオネエさん。年上らしい細やかな気配りと賢さがある。好きな塩系おやつはポップコーン

 

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*ぼくの欲しいもの

じりじりとした暑さの日曜日。しゃんと一緒に夕飯の買い物へ。

売り場が広いスーパーは、なんだか楽しい。マルシェ風に並べられた野菜も綺麗でついつい眺めてしまう。なんだかお腹がすいてしまって、今日の夕飯はサラダを作るだけにして後は何かおかずを買おうということに決まった。

二人で1個ずつそれぞれ好きなお惣菜を選んでカゴに。

そして三つ目のお惣菜は二人が食べたいものにする。

それは生活していく中で出来たちょっとしたルールで、私たちは三つ目を楽しんで選んでレジに並んだ。

「ねえ、買って!買って!」

二つ後ろに並んでいる男の子が号泣している。三、四歳くらいかな。

一緒に並んでいるのはお父さんだけで、どうやら二人だけで買い物にきたようだ。

お父さんは淡々と「買わない」と伝えていくスタイル。

買って!買って!という駄々のこね方って、久々に見るなあと思ってお会計をしていると声はどんどん大きくなる。

「うわあああん、買って、買ってえええええ。」

多分、レジフロアー中に響き渡って何度も繰り返された。

子供って小さいからだなのに大きな声がでる、楽器みたいだなと考えているとお父さんが困り果てた顔で言った。

「そんなものどうするの。」

私が振り返ると、男の子は蚊取り線香の大きな缶を持って泣いていた。

「いるー!」

「いらない」

「いるー!」

「いらない。どう使うか知らないでしょ。」

「いるー!(号泣)」

押し問答が続く中、周囲がざわつきはじめる。

「何を欲しがってるんだ?」

蚊取り線香ですって。」

「まあーかわいい。」

「何々?蚊取り線香?」

多くの人がクスクスと笑っている。子供は自分が注目されていることにしばしキョトンとして泣きやんで、それでも「いる。」と小さな声で繰り返している。

いつの間にか彼の手にはもう缶はなく、それから品の良いご婦人がお父さんに駆け寄ってこう伝えた。

「大丈夫よ、こんな風に泣くのは今だけだからね。それにしてもかわいいわねえ。ボク、さようなら。」

私たちは買ったものを袋詰めしながらそれを見ていたのだけど、お父さんが照れながら笑っていた顔はとても優しかった。

 

 

 

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(画像引用元 金鳥の渦巻 大型 12時間用 | カ・ハエ用 金鳥の渦巻(蚊取り線香) | KINCHO)

 こういう缶です。

*その一言

アイちゃんとおしゃべりしながら歩いてたときのこと。

後ろから自転車がやってくることに気がついた私たちは片側をあけるべく縦になった。

「それでそのカップ麵、ぜんぜんタンタン麵じゃなくて。別物だったわけ。」

と、アイちゃんが最近のあった許せなかったことを熱量たっぷりに伝えている。

横に並んでいなくても会話は止まらず、私もタンタン麵風のカップ麵にはちょっと痛い思い出があるので、ヒートアップしていると、ついに自転車とすれ違う時が来た。

背後から風が吹く。

その人は私たちを追い越すとき

「どうもありがとう!」

と頭をペコリと下げたあとニコッと笑いかけた。

不意打ちの、あまりにも邪念のない微笑みにどきっとする。

御髪も真っ白なそのご婦人は年の頃70から80歳くらいだろうか。

レモン色のワンピースを着て、腕にカバーをつけて日焼けを気にしてるところが愛らしいひと。驚くほど軽やかなその姿にちょっと見惚れてしまう。

先の坂道で少しだけ腰を浮かせて立ちこぎをして、ふわっと遠くなっていく。

「知らない人のありがとうと笑顔って毒気抜かれるー!」

二人でそう言って、今度は美味しいものの話をして歩いた。

かわいいって、年齢じゃなくて心の愛らしさなんだなと思った。

*正しさも間違いもないこと

でんきゅうはちょっと辛らつなところがある。

「映画で見る分には憧れるくせに、実際に身近にいると変わっているとかおかしいとか、そういう自分が普通のつもりのやつが一番たち悪いんだわ。」

話の途中でそんなことを言った。

暑さの和らいだ日、二人で買い物に向かっている時だった。

この意見について考えるところはあるのだけど、家族とか守るものができた時保守的になることっていうのは間違いとかではない、と思っている。

だけど、そうやって普通という囲いをするから差別が生まれるのだろうか・・・とか考え始めると「正しさ」とか落としどころに悩み始めた。

このまま斜に構えた感じの子になったらさびしいことにならないだろうか、相手を受け入れるようなものの見方をそれとなく話すべきなのかな、と一瞬色々巡る。

フワフワ色々考えているとでんきゅうがお店の入り口に向かって駆け出した。

片手に大きな袋を持ったおばあさんが、引き戸を開けようとしてるところを手伝っている。

「よかよか、気をつけてね!」

何かお礼を言われたのか、笑顔でそう返しているうちに私も追いついた。

そっかそっか、もう敢えて誘導したりしなくてもこの子の中にはとっくに優しさがあるんだ。そして何を選ぶのかは彼が決める事なんだ、そう思った。

 

*最高気温37度

しゃん「最高気温37度って外を歩くだけで微熱の人にずっと抱きしめられてるような状態なのかな?」

私「なのかな。このもったりした空気は夏がこちらを抱きしめんとしてくれてるということ?」

しゃん「多分。夏微熱ぎみ。」

私「夏ゥ、身体に気をつけないと。」

しゃん「は・・・ははは」

私「ははは・・・」

しゃんと私「はあ―・・・。」

そんな脳みそもとろけそうな会話をしても、夏からの猛アタックは続いている。

モテている、今夏からモテているんだ。そう思わないとやっていけない。

駅から10分に満たない家までの日差しは厳しく、知性がどんどんこぼれていくような一日だった。

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*あとがき

もう八月も末ですね、九月からは私にとってイベントばかりであっという間なので気がつけば今年も終わりですねとか言ってるのかなと思うとすこし怖いなと思いました・・・。

近所の住宅街の脇に細い道があって、そこがすごい恐ろしいところなんですよ。

猫たちがニャーニャーそれはフレンドリーに話しかけてきて、なかなかそこから立ち去ることができない夢のロードなんです。

しかしそこはめちゃくちゃ虫にさされるので、猫と蚊が業務提携してると思ってしまう。そんな道なんですね・・・ 

皆さんも日常におけるトラップに注意して、どうか健やかにお過ごしください・・・

それではまたお便りします!

円野まど