内閣支持下落33% 「農政評価せず」7割 本紙農政モニター調査
2017年08月24日
日本農業新聞は23日、今月行われた内閣改造を受け、本紙の農政モニターを対象に行った意識調査の結果をまとめた。安倍内閣の支持率は33%にとどまった一方、不支持率は67%で12年の政権発足以来最高になった。不支持の理由は「安倍首相を信頼していない」が6割弱で最多だった。農業の構造改革を強力に進めてきた安倍政権に対する不信感に加え、「加計学園」の獣医学部新設問題などでの対応姿勢に批判が向けられているようだ。
内閣支持率は、農業競争力強化支援法案がまとまった後の前回調査(3月)では48%を維持していた。その時よりも今回(33%)は15ポイントも落ち込んだことになる。環太平洋連携協定(TPP)を巡る国会審議の本格化を控えた16年3月の調査(33%)と並ぶ低い水準となった。
一方、不支持率は前回調査より16ポイント上昇した。農協法改正案衆院通過後の15年7月の調査(61%)やTPP国会審議の本格化を控えた16年3月の調査(65%)を上回り、最高となった。
支持離れの背景には、農業の構造改革の手を緩めない安倍政権に対する不信感の高まりがあるとみられる。先の通常国会でも、農業競争力強化支援法や改正畜産経営安定法など農業改革関連8法を成立。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意に踏み切った。加計問題での説明不足といった内閣の姿勢も影響しているとみられる。内閣不支持の人に理由を尋ねたところ、「安倍首相を信頼していない」が58%でトップ。「食料・農業重視の姿勢が見られない」(22%)「政策が評価できない」(14%)が続いた。
安倍政権の農業政策の評価については「大いに」「どちらかといえば」を合わせて評価する人は26%(前回調査比3ポイント減)。「どちらかといえば」「全く」を合わせて評価しない人は69%(同5ポイント増)に達した。
今回の内閣改造で初入閣した斎藤健農相については「期待する」が24%にとどまった。「どちらとも言えない」(41%)が最多で、農業改革にどう臨むのか、様子見している傾向が伺える。
8月、本紙農政モニター511人を対象にファクスとメールで調査し、308人の回答を得た。
内閣支持率は、農業競争力強化支援法案がまとまった後の前回調査(3月)では48%を維持していた。その時よりも今回(33%)は15ポイントも落ち込んだことになる。環太平洋連携協定(TPP)を巡る国会審議の本格化を控えた16年3月の調査(33%)と並ぶ低い水準となった。
一方、不支持率は前回調査より16ポイント上昇した。農協法改正案衆院通過後の15年7月の調査(61%)やTPP国会審議の本格化を控えた16年3月の調査(65%)を上回り、最高となった。
支持離れの背景には、農業の構造改革の手を緩めない安倍政権に対する不信感の高まりがあるとみられる。先の通常国会でも、農業競争力強化支援法や改正畜産経営安定法など農業改革関連8法を成立。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意に踏み切った。加計問題での説明不足といった内閣の姿勢も影響しているとみられる。内閣不支持の人に理由を尋ねたところ、「安倍首相を信頼していない」が58%でトップ。「食料・農業重視の姿勢が見られない」(22%)「政策が評価できない」(14%)が続いた。
安倍政権の農業政策の評価については「大いに」「どちらかといえば」を合わせて評価する人は26%(前回調査比3ポイント減)。「どちらかといえば」「全く」を合わせて評価しない人は69%(同5ポイント増)に達した。
今回の内閣改造で初入閣した斎藤健農相については「期待する」が24%にとどまった。「どちらとも言えない」(41%)が最多で、農業改革にどう臨むのか、様子見している傾向が伺える。
8月、本紙農政モニター511人を対象にファクスとメールで調査し、308人の回答を得た。
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JA全中は24日、自己改革加速のため、JA営農・経済フォーラムを横浜市で開いた。飼料米専用カントリーエレベーター(CE)導入や農業施設の合理化によるコスト低減、新規就農者への定期的な全戸訪問といった担い手育成策などを3JAが報告。農業者の所得向上に直結する営農・経済事業での改革事例を共有した。
2017年08月25日
[にぎわいの地] 原発事故 福島県郡山市(上) 信頼紡ぐ検査と発信 親とタッグ復興けん引
地元ブランドシンボルに
エダマメ「グリーンスウィート」、ホウレンソウ「緑の王子」……。福島県郡山市のブランド野菜の名前だ。50、60代の農家が15年前に世に送り出し、地元に愛される宝に育った。後押しするのは、その子ども世代に当たる20、30代。産地を襲った東京電力福島第1原子力発電所事故の危機に真っ先に立ち上がったのも彼らだ。ブランド野菜を地域のシンボルにしよう。安全性を丁寧に発信しながら消費者とのつながりを広げ、復興をけん引する。
8月上旬。農家の藤田浩志さん(38)は、40人を超す市内の幼稚園教諭に、エダマメの収穫やブランド野菜の成り立ちを教えていた。冗談を交えながら、分かりやすく。聴衆の笑い声、感心する声が畑に響く。「情報発信も放射能検査も営農の一部。野菜の風評被害は乗り越えた」。藤田さんは言い切る。
直線距離で原発から約60キロ離れた同市。事故が発生した2011年3月11日以来、藤田さんは食育イベント、講演、販売促進に出掛け、数千の消費者に会った。100人を超える県内の農家や農学者に会い、ネットで思いや福島の現場のリポートもした。たくさんの政治家に陳情文を送った。インターネット交流サイト(SNS)で畑から情報発信もした。
藤田さんだけではない。同市のブランド野菜協議会の農家34人は毎日、放射能検査、情報発信を続け、毎月のようにイベントに出掛ける。
産地化諦めぬ夢の続き誓う
03年。郡山農業青年会議所の子育て世代だった農家たちが、地域に密着した特産化を目指し、ブランド野菜を発案した。新ブランドになる品種を決め、消費者に公募してネーミングする。毎年一つブランド野菜が誕生。施肥設計、収穫から販売までの時間まで綿密に決め、消費者に地道に売り込んでいた。
そんな中で起きた原発事故。離農を考えた仲間もいた。藤田さんら若手と、ブランドを発足させた世代は議論を重ね、出た結論は「やるだけやる」。「ブランド野菜を諦めずに作ることは、いまを刻むこと。将来の地域の宝になる」と藤田さん。前を向こうと決めた。親世代が描いたブランド野菜の夢は、後継者たちの夢にもなった。
事故から6年半。若手も親世代も一緒に勉強し、放射能検査をし、数値を発信し、販売促進を何百と繰り返した。ブランド野菜を作るリーダー、富塚弘二さん(53)は「後継者が前を向こうとする姿に、頑張ろうと思った」と振り返る。
「広報も農業」つながり新た
栄養価や糖度やうま味の数値も一緒に情報発信する。フェイスブックやツイッター、ラジオや広報誌などあらゆる情報ツールを活用。愚直に続け、ファンをつかんだ。現在、ブランド野菜を扱う飲食店やシェフは30店舗以上。地元だけでなく、首都圏の高級スーパーからも注文が舞い込み、学校や消費者、商工会などから食育や販促のイベント依頼が来る。
きのこを作る鈴木農園の後継者、鈴木清美さん(32)は協議会のフェイスブックの発信役。清美さんは13年、おがくずを肥料に、24ヘクタールでブランド野菜などを作る「まどか菜園」を設立した。農園の売り上げはいまだに戻らない。それでも「広報も農業。かわいそうな被災者ではなく、新しい農業をやる」と決めている。
「消費者とのつながりが楽しい」。親世代のメンバーは口をそろえる。
キャンペーン「若者力」への感想、ご意見をお寄せ下さい。ファクス03(3257)7221。メールアドレスはwakamonoryoku@agrinews.co.jp。フェイスブック「日本農業新聞若者力」も開設中。
2017年08月22日
内閣支持率33% “官邸農政”見直す時だ
日本農業新聞が農政モニターを対象に行った意識調査で、安倍内閣の支持率が33%に下落した。農政への評価も低く、7割が批判的に受け止めている。この生産現場の声を政府・与党は重く受け止めなければならない。安倍1強体制が揺らぐ中、“官邸農政”を見直す時が来ているのではないか。
調査は今月3日の内閣改造直後に511人を対象に行った。回答数は308人と少ないものの、30%台の内閣支持率は大手マスコミ各社の世論調査と同様の傾向を示している。
内閣支持率が前回調査(今年3月)より15ポイントと大幅に下がったことがまず注目される。農政改革への不信が底流にあるが、これだけ大きく下落したのは国家戦略特区を舞台にした加計学園の獣医学部設置問題や閣僚・国会議員の一連の不祥事、一部品目で環太平洋連携協定(TPP)水準を超えた日欧経済連携協定(EPA)の大枠合意が影響したと推測される。
不支持の理由として「安倍首相を信頼していない」(58%)が高いのも、他の世論調査と同様だ。自身との関係が問われる加計学園・森友学園問題に対する安倍晋三首相の説明姿勢が不信を高めているとみられる。内閣不支持率は前回調査より16ポイント上がり過去最高の67%に達した。内閣改造による押し上げ効果は、この結果を見る限り出ていない。農村地域で支持率を回復させるのは容易ではない。
農政への評価も辛い。「どちらかといえば評価しない」が37%、「全く評価しない」が31%ある。一方で肯定派は「どちらかといえば評価する」(24%)、「大いに評価する」(1.9%)合わせて全体の4分の1にとどまる。関係者に周知・説明すれば改善できるといったレベルの結果ではない。今後の農政改革では米の直接支払交付金(10アール7500円)の廃止が控え、これは農家の懐具合に直結する。農政への不満はさらに膨らむことが想定される。
農政モニターは家族農業経営が大半を占める。こちらに不人気でも法人経営者の支持を得られれば問題ないと割り切る人は別として、国民の審判を選挙で受ける与党議員は、この結果に正面から向かい合うべきだ。
農政で期待する政党のトップは自民党(34%)だが、2位には共産党(14%)が民進党(11%)を追い抜いて立った。現状への強い不満の表れといえる。農政はこれまで安倍1強体制の下で首相官邸が主導権を握り、農業関係者の十分な理解を得られないまま、生産流通の自由化や規制緩和、農協改革など新自由主義的な色彩の改革を急ぎ足で進めてきた。その政策方向と決定プロセスの両方に対し、現場の不信が高まっていることを調査結果は浮き彫りにした。
自民党は農林部会長が小泉進次郎氏から野村哲郎氏に交代した。この機会に一度立ち止まり、農政の在り方を見詰め直してはどうか。
2017年08月25日
アグリフードEXPO開幕 JAなど700社超が出展 「輸出」「付加価値」アピール
農作物や国産加工品の展示商談会「アグリフードEXPO東京2017」が23日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕した。出展したJAや企業は700を超える。輸出を視野に入れた売り込みや、付加価値を付けた地場商品などのPRが目立った。24日まで。
緑茶の生産から流通までを手掛ける、流通サービス(静岡県菊川市)は、富士山と芸者が描かれたパッケージの緑茶をPRした。「延べ20カ国から引き合いが来ている。海外へは商品よりもお茶を含めた文化を売り込む姿勢が重要」と強調。石臼での抹茶作りも実演した。
鹿児島県霧島市の西製茶工場は、抹茶の消費拡大に取り組む。抹茶を1袋2グラム入りの小分け袋にし、桜や波など和風のパッケージを施した。「抹茶は1筒30グラム入りが一般的だが、全て使い切ることは難しい。小分けにすれば菓子作りでも使いやすい」と同社。
宮城県のJAみやぎ登米も仙台牛を試食で振る舞った。「既に輸出の問い合わせが数件あった」とJA担当者は話す。
特産品に付加価値を付け、客層を広げる売り込みも目立った。
秋田県横手市のブースでは秋田名産の漬物いぶりがっこに手を加え、ピクルスにした商品を売り込んだ。スモークチーズを挟んだ新製品も登場。
製造する遠藤育子さん(59)は「いぶりがっこ独特の癖がなく、食べやすい」と客層の拡大に期待する。
広島県のJA三原は、化学農薬や化学肥料の使用を抑えて栽培した「エコレモン」の加工品を紹介。「安全に気を使う女性や、子どもを持つ親をターゲット」(JA)に、焼き肉やから揚げなどにかける調味料などをアピールした。
兵庫県豊岡市の豊岡わこう堂は、県内産の米粉を使った菓子を展示した。スペインの伝統菓子に似せた商品で、県産の小麦粉「北野坂」と合わせて製造。コウノトリが生息しやすいよう農薬の使用を控える「こうのとり育む農法」で栽培した米が原料の米粉を使い、環境にも配慮した。米はJAたじまなどから仕入れ、都内の百貨店などで売り出す。
2017年08月24日
[食農応援隊 大学生リポート] (8) 「丹波黒」作りで都市で販売 地域密着型サークル 神戸大学生や卒業生が中心 にしき恋
「にしき恋」は“地域密着”を旗印に、兵庫県篠山市西紀南地区を拠点に活動しています。
神戸大学の学生や卒業生を中心に約150人のメンバーが毎週末、農作業ボランティアや、特産品である丹波黒大豆の生産と販売、祭りの手伝いや小学生との触れ合いなどに取り組んでいます。昨年は延べ約1300人の学生が地域に足を運びました。
設立から5年を迎え、地域の方からの認知度や地域との密着度が高まってきました。少しずつ地域での存在感も大きくなりつつあると感じています。
学生側も、若者の立場から少しでも地域の活性化につながることを考え、活動に取り組むもうという流れができています。
「にしき恋」は、メンバーが抱く地域への関心を、在学中だけでなく卒業後も持続させるとともに、まだ地域貢献に関わっていない若者にもその思いを抱かせ、同志を増やしていくきっかけとなる存在なのです。
さらに、特産品を生産して都市部で販売するという一連の流れを、地域の助けを借りながら行うことで、地域の魅力を都市へ伝え、地域と都市とをつなぐこともできると考えています。
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2017年08月20日
農政の新着記事
18年産地交付金見直し 転作拡大10アール1万円 農水省
農水省が水田転作への支援措置である産地交付金を2018年産から見直し、転作を前年より拡大した場合、10アール当たり1万円を都道府県に配分する方針であることが分かった。米が18年産から産地主体の需給調整に転換する中、転作拡大への支援を強め、需給安定につなげる狙い。輸出など新たな販路を確保した米について、同2万円を配分する仕組みも設ける。
産地交付金は、転作作物への助成措置で米の需給調整の“肝”となる水田活用の直接支払交付金の一部。使途は都道府県の裁量に委ねられている。
北海道を念頭に、水田を畑地に転換した場合、その年度に限り10アール当たり10万5000円を配分する仕組みも設ける。畑地への転換以降は交付金の対象から外す。取り組み面積が確定した秋に都道府県に配分する。
産地の米の生産抑制を促すため、17年産では米を国が配分した生産数量目標より減らす、いわゆる“深掘り”をした場合、産地交付金を同5000円配分する仕組みがある。18年産からは生産数量目標の配分がなくなるが、同省は、米の需給安定にはこうした深掘り支援に代わる仕組みが必要と判断。転作作物が前年実績より拡大し、米の面積が減少した都道府県に対して、その面積に応じて支払う仕組みとする。助成単価も倍にし、転作作物への誘導を強める。
国内の主食用米の需要減が進む中、輸出をはじめ国内外での新たな市場開拓も産地交付金で後押しする。米の新たな需要を獲得し水田のフル活用につなげる。JA全中も輸出用米等に対する支援の強化を求めていた。
同省は18年度予算概算要求案で、水田活用の直接支払交付金に前年比154億円増の3304億円を計上。同交付金は飼料用米や麦・大豆など戦略作物に助成し、飼料用米への最大同10万5000円など助成単価も維持する。
2017年08月26日
収入保険に531億円 中山間対策を拡充 18年度予算概算要求案
2018年度農林水産関係予算の概算要求案が24日、分かった。総額は17年度予算比15%増となる2兆6525億円。18年産からの米の生産調整の見直しに合わせ10アール7500円の米の直接支払交付金を廃止する一方、収入保険制度の創設に531億円を新たに要求する。条件不利地の優先枠として導入した中山間地農業ルネッサンス事業には、17年度比25%増となる500億円を求める。
同省が25日の自民党農林合同会議で示す。与党との調整を経て8月末に財務省に提出する。
米の直接支払交付金には17年度714億円の予算を計上していたが、今年度限りで廃止となるため、その財源の行方が注目されていた。仮に要求額が実現すれば、その大半が事実上、収入保険制度に移行する格好になる。飼料用米や麦、大豆など戦略作物を定着させるための水田活用の直接支払交付金は17年予算比5%増の3304億円を求める。
農地中間管理機構(農地集積バンク)による担い手への農地集積・集約の加速化は同37%増の213億円。同機構を通じた集積実績を上げるために農地の区画拡大を進める農地耕作条件改善事業は同72%増の407億円など、同機構関連予算は軒並み増額を求める。
農業競争力強化支援法の施行を受け、国内外の農業資材価格などを調査する事業に2億円を新たに要求。戦略的な技術開発の推進に同36%増の125億円を盛り込んだ。
農林水産物・食品の輸出拡大を後押しする日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)などによる輸出支援対策は同50%増の48億円。国際水準の農業生産工程管理(GAP)の拡大に9億円を新規要求する。
既存事業は米、麦、大豆などの収入減を補う収入減少影響緩和対策(ナラシ)が9%増の816億円。強い農業づくり交付金が同44%増の290億円。畜産・酪農経営安定対策が前年同額の1763億円などとした。
一方、公共事業費は同20%増の8222億円を要求。うち農業農村整備(土地改良)事業は23%増の3793億円。関連事業を含め5000億円規模を求める。
実際の予算額は、年末の予算編成で財務省と折衝し、概算要求額から最終的には15%程度削減される見通し。
2017年08月25日
会長に飛田氏 全国農政連
全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)と全国農政協議会は24日、東京都内で臨時総会を開き、会長に飛田稔章氏(北海道農協政治連盟会長)を選んだ。
副会長に柴田清志氏(山形県農協政治連盟会長)を選任。上野幸夫副会長(滋賀県農政連盟会長)と林裕二副会長(福岡県農政連委員長)を再任した。
幹事長には前JA新聞連常務の築地原優二氏を選んだ。任期はいずれも2017年9月1日から20年8月末まで。
2017年08月25日
EU 畜産4品輸入解禁へ 手続きに時間も 10月上旬訪日調査
欧州連合(EU)が日本の豚肉や鶏肉、鶏卵、牛乳・乳製品の畜産4品目について、輸入解禁に必要な現地調査を10月上旬に行うことを検討していることが分かった。食肉処理場や農場の衛生管理の状況などを調べた上で、輸入解禁の承認の判断に移る。日本は「いち早く解禁されるようEU側に働き掛けを続ける」(農水省)方針だが、今後の手続きに時間がかかる可能性もある。
日本は7月のEUとの経済連携協定(EPA)の大枠合意で、ほぼ全ての農産物についてEU側の関税撤廃を実現した。一方、畜産4品をはじめEU側の検疫条件など非関税障壁によって輸出できない品目もあり、その解消が課題になっている。
日本は畜産4品目をEUに輸出するには、(1)動物医薬品や農薬など残留物質のモニタリング計画(2)サルモネラや鳥インフルエンザなど動物疾患の管理プログラム(3)食品衛生の法令やその順守状況など衛生管理システム――の3項目で承認を得て、輸入が認められる「第三国リスト」に掲載される必要がある。
3項目のうち、残留物質のモニタリング計画は7月にEU側に提出済み。一方、動物疾患の管理プログラムと衛生管理システムでは、今回の現地調査でEUの担当部局が食肉処理場や農場などの視察を通じて、基準を満たしているか状況を把握する。調査を踏まえた上で欧州委員会が3項目の承認をする流れだ。
日本は畜産4品目のEU側の輸入解禁を日欧EPAの発効までに間に合わせたい考え。協定の発効時期は、ルール分野での積み残し課題があるため依然不透明だが、EU側は「2019年の早い段階」を目指すとしている。
一方、日本が実際に輸出するには第三国リストへの掲載に加え、食肉処理場などの関連施設で、危害分析重要管理点(HACCP)取得などEU側の衛生基準を満たして、認定を受ける必要がある。牛肉では、残留物質のモニタリング計画の提出から第三国リストへの掲載まで11カ月、リスト掲載から施設認定までに1年3カ月かかった経緯もあり、同省は「できるだけ前倒しでリスト掲載までこぎ着け、施設の認定の取り組みに移る必要がある」としている。
2017年08月25日
内閣支持下落33% 「農政評価せず」7割 本紙農政モニター調査
日本農業新聞は23日、今月行われた内閣改造を受け、本紙の農政モニターを対象に行った意識調査の結果をまとめた。安倍内閣の支持率は33%にとどまった一方、不支持率は67%で12年の政権発足以来最高になった。不支持の理由は「安倍首相を信頼していない」が6割弱で最多だった。農業の構造改革を強力に進めてきた安倍政権に対する不信感に加え、「加計学園」の獣医学部新設問題などでの対応姿勢に批判が向けられているようだ。
内閣支持率は、農業競争力強化支援法案がまとまった後の前回調査(3月)では48%を維持していた。その時よりも今回(33%)は15ポイントも落ち込んだことになる。環太平洋連携協定(TPP)を巡る国会審議の本格化を控えた16年3月の調査(33%)と並ぶ低い水準となった。
一方、不支持率は前回調査より16ポイント上昇した。農協法改正案衆院通過後の15年7月の調査(61%)やTPP国会審議の本格化を控えた16年3月の調査(65%)を上回り、最高となった。
支持離れの背景には、農業の構造改革の手を緩めない安倍政権に対する不信感の高まりがあるとみられる。先の通常国会でも、農業競争力強化支援法や改正畜産経営安定法など農業改革関連8法を成立。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意に踏み切った。加計問題での説明不足といった内閣の姿勢も影響しているとみられる。内閣不支持の人に理由を尋ねたところ、「安倍首相を信頼していない」が58%でトップ。「食料・農業重視の姿勢が見られない」(22%)「政策が評価できない」(14%)が続いた。
安倍政権の農業政策の評価については「大いに」「どちらかといえば」を合わせて評価する人は26%(前回調査比3ポイント減)。「どちらかといえば」「全く」を合わせて評価しない人は69%(同5ポイント増)に達した。
今回の内閣改造で初入閣した斎藤健農相については「期待する」が24%にとどまった。「どちらとも言えない」(41%)が最多で、農業改革にどう臨むのか、様子見している傾向が伺える。
8月、本紙農政モニター511人を対象にファクスとメールで調査し、308人の回答を得た。
2017年08月24日
18年度予算概算2.6兆円 収入保険に重点要求 農水省
農水省は22日、2018年度の農林水産関係予算の概算要求額を17年度当初予算に比べ約15%増の2兆6500億円程度とする方針を固めた。19年1月からの収入保険制度のスタートに備え、数百億円程度を基金に積み立てる。18年産からの米の生産調整の見直しに向けては、飼料用米や麦、大豆などの作付け拡大を見込み、水田活用の直接支払交付金の増額を要求する。農地の大区画化などを進める土地改良事業も充実する方向だ。与党と調整して今月末に財務省に提出する。
2017年08月23日
ジビエカー導入1号 捕獲し即処理、肉活用 高知県梼原町
高知県梼原町は、日本ジビエ振興協会と長野トヨタ自動車が共同開発した、捕獲獣を現地で一次処理できる「ジビエカー」を日本で初めて導入した。移動先で、捕獲獣の洗体や解体まですることができる。処理場まで遠い地域で捨てられていた捕獲獣の活用も期待できる。同町は処理施設の整備も予定しており、これを契機にジビエ(野生鳥獣の肉)の本格販売に乗り出し、「ジビエグルメ」の町づくりを目指す。
ジビエカーは、移動式の解体処理車。2016年7月に開発した。試験的に導入した地域もあるが、本格導入するのは同町が初めて。
同町は、年間約1500頭のイノシシ、鹿を捕獲している。08年の約10倍に増えており、対策が急務だった。捕獲しても、処理場までの距離や重さがネックとなって活用できないケースがあり、ジビエカーの導入を決めた。
処理した肉の精肉や製品化は、今年度中に設置を計画している同町の集落活動センター「ゆすはら西」の獣肉解体処理施設で行う計画だ。捕獲の体制や、ジビエカーを中心とした処理施設の運用、販売などの詳細は今後詰めていく。
矢野富夫町長は「ジビエカーの導入で、捨てていたものが収入になる。雇用が生まれる。地域が元気になる。梼原からジビエグルメのまちづくりを発信したい」と意欲を語る。
2017年08月20日
温暖化対策 法制化へ 新品目導入など推進 環境省
環境省は、一定の地球温暖化を前提に、農産物の品質低下や、集中豪雨などの被害を軽減する「適応策」を推進する法律の制定へ、検討に乗り出した。適応策の充実と強化を法的に位置付け、国や地方公共団体が事業化や予算化を進める。幅広い分野で中長期的に対策を講じられるように後押しする狙い。法案は次期通常国会に提出する方針だ。
2017年08月20日
牛肉SG 懸念表明 個別協議加速も 米通商代表河野外相に
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は17日、ワシントンで河野太郎外相と会談し、米国産牛肉に対する日本の緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)の発動で懸念を表明した。牛肉SGの発動にトランプ政権の閣僚が日本に直接、懸念を伝えるのは初めてとみられる。10月に控える日米経済対話で、米国が牛肉SGの見直しを迫る可能性が一段と高まった。SGは国際的に導入が認められている措置。日本は見直し要求に屈せず、毅然とした対応を貫くことが不可欠になる。
両氏は、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に合わせて会談。貿易、経済関係の強化に向け協議し、牛肉SGにも議論が及んだ。日米経済対話に基づき、個別の貿易問題の議論を加速させることでも一致した。
日本は冷凍牛肉の輸入急増を受け牛肉SGを8月に発動した。38・5%の牛肉関税が来年3月末まで50%に引き上がる。オーストラリアなど経済連携協定(EPA)を締結済みの国は対象外で、日本の牛肉輸入先としてシェア2位の米国が最も影響を受ける。
SG発動が決定した7月下旬以降、米国の反発は強まっている。農業団体から発動しにくい仕組みに見直すよう求める声が上がる中、パーデュー農務長官も7月28日に、「農産物に関する日米の重要な貿易関係を損なう」と懸念を訴える声明を発表した。
一方、ライトハイザー氏も6月の米議会の公聴会で、貿易赤字の解消へ「日本は牛肉などの分野で一方的に譲歩すべきだ」と述べるなど、従前から日本に牛肉の市場開放を求めている。
こうした中、日本側で経済対話を担う麻生太郎副総理兼財務相は、牛肉SGが経済対話の議題に上るとの見通しを示し、仕組みの見直しも「検討する余地がある」と、米国の訴えを許容するかのような発言をしている。
斎藤健農相は就任を受けた4日の報道各社のインタビューで、牛肉SGについて「今見直しは考えていない」と述べ、SG導入の経緯を米国に粘り強く説明し、理解を求める考えを示した。こうした対応を政府一体で貫くことが必要になる。
2017年08月19日
農林部会長に野村氏 自民
自民党は18日、党農政の要となる農林部会長に野村哲郎氏(参・鹿児島)を充てる人事を内定した。同氏は党農林幹部による非公式会合「インナー」のメンバーで、農政に一貫して携わってきた経験を踏まえた起用とみられる。22日の総務会で正式に了承する。
2017年08月19日