短期利食いのチャンス到来、中長期は調整へ

藤戸則弘氏に聞く

8月17日、NYダウは5営業日ぶりに大幅下落した(写真:ロイター/アフロ)
米国株も日本株も足元で下げてきている。年末までの相場はどうなるのか。本格的な下げにつながるのか。ファンダメンタルズから世界の各種マーケット、国際情勢を踏まえて語る論客として人気の三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長の藤戸則弘氏に話を聞いた。

 

――足元で日本も米国も株価はずるずる下げてきています。どのような背景があるのでしょうか。

今までウォールストリートは、アメリカ政治の混乱にまったく反応してこなかった。トランプ大統領が当選した2016年11月以来、株価の上昇は続いて、8月2日にダウは2万2000ドルをつけている。4月以降、トランプ政権の混迷ぶりは目立ってきたにもかかわらず、史上最高値を更新してきた。

トランプ大統領のキャラクターが「ヘンなことを言う人」であっても、ゲイリー・コーン国家経済会議委員長とスティーブン・ムニューシン財務長官の二人ともにゴールドマン・サックス出身者ということで、市場は期待していた。経済政策はこうした人たちがしっかりやってくれるだろうという認識がベースにあったと思う。また、企業収益がシッカリしているということもある。

トランプ大統領の失態で経済運営にも不安高まる

ところが、先日のバージニア州シャーロッツビルの事件でレッドラインを超えてしまったといえる。事件はKKK(クー・クラックス・クラン)がリー将軍の銅像撤去に反対する集会を開き、これに反対するリベラル派と騒動になったものだが、この際に、トランプ大統領は「双方に責任がある」として、KKKやネオナチを明瞭に批判しなかった。米国は移民大国であり、人種の平等で成り立つ国。名指しで批判するのが政治的に正しい行動だ。ところが、トランプ大統領はオルトライト(極右的な思想)や貧しい白人層の支持で大統領に選ばれており、本音が出てしまった。

コーン氏やムニューシン氏はユダヤ人だ。コーン氏は今回のトランプ大統領の発言に対し、ニューヨークタイムズ紙で「嫌悪感を覚える」としたため、辞任するのではないかという騒動になった。ムニューシン氏も友人たちから辞任を勧められているという報道があり、今後もトランプ大統領のこうした発言が続けば、彼らも辞任してしまい、経済運営が怪しくなるのではないかという観測が広がった。

次ページ外国人投資家の行動
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME16d1a8026f03
    金銭信託である日銀のETF買い入れは、その設定及び解除について詳しい契約内容は、公表されていない。しかし、ホームページ上には、契約解除にあたっては、市場に影響を与えることのないようにとの考え方が示されており、金銭信託の契約には、その内容が盛り込まれているものと考えられる。

    相場変動を望む業者側は、手数料収入の足枷として日銀のETF購入を見ているようだが、資産形成を望む投資家の立場とは相容れない。さらに、日銀の出口戦略を望む業者側の立場の者は、空売りを仕掛けている者も多く、日銀のETF購入が、自らのポジションの利益を消されていると考えている。そして、相場の下落が手数料を増やす手段と考えている業者と行動を共にし、何度も暴落説を発信し、個人投資家にポジションを閉じるか、手数料の高い海外株を勧めてくる。

    今こそ、個人投資家は、自らで情報を収集分析して、相場解説者を信じることなく行動すべきだ。
    up12
    down8
    2017/8/25 07:06
  • NO NAME10c9edd1dc5a
    >>異常なETF買い、出口を黒田総裁は語るべき
    輪転機回して株式市場に実弾としてインデックス連動型ETF(指数連動型上場投資信託)買い入れと称する介入行為をやっている中央銀行は世界広しど日本銀行以外他にない。
    1兆円→3兆円→3.3兆円→6兆円を買い切り介入、やる時は躊躇無くやるくせに出口は時期尚早、市場を混乱させえる誤解を生むなどと言って躊躇しまくり。
    行きはヨイヨイ帰りは恐いじゃ困るんだよ日本銀行執行部の諸君。
    up4
    down1
    2017/8/25 17:54
  • NO NAMEf5a8aa37b02f
    爆下がり伝説
    up8
    down6
    2017/8/25 08:08
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去1週間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチAD
ショッピングセンターの憂鬱

ショッピングセンター(SC)の新規開業が相次ぐ一方、閉店も増加。セールの乱発と主力の衣料の苦戦で、既存SCの売り上げは不振だ。百貨店と同様に大量閉店の波が押し寄せるのか。