「人間は一度教わると、その教わったことしかできなくなる」。教育についてハッとさせられる13の言葉

2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智さんは、北里大学の特別栄誉教授であり、学校法人女子美術大学名誉理事長として、81歳になる今も教育に携わっています。

彼は日常的に感銘を受けた言葉をすべてメモに書き留めるクセがあるそうで、ここではそれらをまとめた書籍『人をつくる言葉』から、「教育」に関する言葉をピックアップしてみました。

01.
金を残すものは下
仕事を残す者は中
人を残す者が上

066dfc646d0a08cc789414287d76e83a629d098d

政治家であり医師でもあった後藤新平(1857〜1929)の言葉です。私は常々、「上」になりたいと考えてきました。したがって、受賞したノーベル生理学・医学賞の賞金は、人材育成のために効果的に使ってくれる法人などに差し上げたいと考えています。

02.
大学の勉強は、
本に書いていないことを
考えることができるようになるため
するものである

大学での勉強は65点くらいでいいのです。制度ですから最低点はとらなければいけませんが、「優」をとる必要はありません。その分、自分が好きなことをやったほうがいい。

03.
人の言うことは半分聞け
あとは自分で考えて行動に移せ
おそらくうまく行かない
しかしそこに独創性が生まれる

創造性は行動の起点となるアイデアを生み出す「もと」です。誰も考えないようなことを考えて、それを物なり形なりにしてみせれば、その仕事は必ず評価されます。「人の真似は絶対にしない」と絶えず意識していれば、おのずと創造性は生まれてきます。

04.
人間は一度教わると
その教わったことしか
できなくなる

思想家であり美学者でもあった柳宗悦(1889〜1961)が、染色工芸作家の柚木沙弥郎氏に送った言葉です。教わりすぎることは、その人が本来備えていた個性を萎縮させてしまいます。

05.
ほどほどに
脳に空間を用意することが教育だ

教育において創造性を啓発するためには、自分で考えさせなければなりません。そのためには、「こう教えてもらったが、自分はどう考えるか」という思考実験をする余裕が脳に必要なのです。

06.
いかなる言葉をもってしても
真意を十分に伝えることはできない
行動を見せて初めて可能になる

B289252f990485a7a074b108ddcb32e523af8d1b

自分が思っているほどには、他人は自分を理解してくれていません。そして、自分の思いを伝えるには、百の言葉よりも一つの行動です。とくに難しい仕事に取り組む際には、自らが率先して行動し、その仕事に真摯に取り組んでいる姿を見せなければ、人は決して動きません。

07.
教えるということは
共に希望と夢を語ることだ

吉田松陰は弟子たちと一緒に生活をしながら、同じ目標に向かって仕事をしていました。そこで私も、郷里の山梨県の生家を改築し、螢雪寮と名づけた塾を作りました。今でも時々その家に行き、若い人たちと寝食をともにし、研究の発表会や討論をしています。

08.
芸術は目から摂取する栄養である
口から入る栄養は
身のためにならないことがあるが
目から入る栄養は
身心に害になることはない

熱海市のMOA(Mokichi Okada Association)美術館を訪ねた際に思ったことです。芸術には、計り知れないパワーがあります。アウシュヴィッツ強制収容所から生還したヴィクトール・フランク(1905〜1997)も、「芸術は人の魂を救い、生きる力を与えるものだ」と言っています。

09.
子どもが両親のいうことを
すべて聞くようでは
両親を越えて
立派に成人することはできません

子どもが親の教えをすべてそのまま受け入れて、その行動の真似をするだけでは、親のレベルは超えられません。親は子どもが自由に工夫をする余地を残してあげながら、大きく包んであげることが必要です。

10.
子どもを不幸にする
いちばん確実な方法はなにか、
それをあなたがたは知っているだろうか
それはいつでもなんでも
手に入れられるようにしてやることだ

フランスの思想家であるジャン=ジャック・ルソー(1712〜1778)の言葉です。ルソー著『エミール』(今野一雄訳、岩波文庫)より。やはり子どものうちは、多少なりとも厳しいことをやらせたほうがいいと思います。動物行動学者のコンラート・ローレンツ(1903〜1989)も、「人間も若いうちに肉体的な苦労をさせないと、大人になってから不幸になる」と言っています。

11.
人の感動を呼ぶのは
その人の努力の結果である

オリンピック関係のテレビ番組を見て思ったことです。スポーツの素晴らしさは、日頃の努力の成果を競うその姿にあります。それは、努力の素晴らしさを知ることにも繋がります。

12.
書読めば昔の人はなかりけり
みな今もあるわが友にして

江戸時代の国学者・本居宣長(1730〜1801)の歌です。国学者として後世に偉大な業績を残した宣長は、古今の書籍やそこに記された教えについて、身近に感じるほどに深く慣れ親しんでいたのでしょう。何か大きなことを為すために、読者がいかに重要かがよくわかります。

13.
人のためになることを
考えてやりなさい

9a6a7780a9c7d37eeb4ad5ac583b1ff18d75739a

子ども時代、祖母から繰り返し教えられた言葉です。私は、研究の分かれ道が来るたびに、この言葉を思い出して判断を下してきました。何か一つでも人のためになることができないかを考えて、微生物がもっている能力をなんとか引き出す方法を求め続けてきたのです。

『人をつくる言葉』著:大村智

ノーベル生理学・医学賞受賞の化学者が四半世紀つづった、生きる希望となる待望の箴言集。

ノーベル医学・生理学賞を受賞した、大村智・北里大特別栄誉教授の「人間力」が話題になっている。受賞理由となった「イベルメクチン」の開発はもちろんだが、彼の魅...
「言葉は人の生き方を決める」。そう語るのは、ノーベル生物学・医学賞を受賞した大村智さん。彼は周りから「メモ魔」と言われるほど、本やテレビを見ていて感銘を受...
2015年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智さん。彼には人の話、本やテレビで感銘を受けた言葉、自ら思いついた言葉を「腹中有書」と題した備忘録に書き留...
ここで紹介するのは、フィンランドに住むアメリカ人教師のティム・ウォーカー氏が、同国の幼稚園を訪問して気付いたこと。そこで採用されていた教育方針は、アメリカ...
妊娠を望む女性や、妊娠初期の女性には特に大切な栄養素、「葉酸」。厚生労働省も「葉酸」を適切に摂取することによって、子どもの神経管閉鎖障害の発症リスク低減が...
音楽、映画、文学など、誰にだって心のよりどころとしている作品があるはず。そんな“オール・タイム・フェイバリット”を探る週替り連載企画。前回につづいてロック...
2015年9月18日。日本人医師、木俣肇氏がイグノーベル賞を受賞した。この賞は「笑える」「考えさせられる」研究が対象に選ばれるノーベル賞のパロディ版。一部...
アインシュタインは言った。「人は誰もが天才である。しかし魚に木を登らせようとするのなら、その魚は一生、自分が愚かだと信じて生きていかなくてはならないだろう...
「正しい大人になるためには、正しい教育を受けなければならない」。これは、現代を生きる私たちにとって当たり前のような言葉になっていて、逆らいがたい強い力を持...
家族や恋人、友人など、周りの人に対する愛の形はそれぞれです。でもすべてに共通する大切なことは「相手を思いやる」ということ。ここでは、世界のさまざまな「想い...
10代の頃、親の話をきちんと聞かなかった経験は誰にでもあると思います。夢見がちで、両親の話が退屈に聞こえていたのかもしれません。でも20代になって人生経験...
学校ではみんな国語・算数・理科・社会など、各科目ごとに授業を受けたものですよね。でも、教育水準の高さで知られている北欧では、そんな科目ごとの授業には重きを...
音楽、映画、文学など、誰にだって心のよりどころとしている作品があるはず。そんな“オール・タイム・フェイバリット”を探る週替り連載企画。前回につづいてロック...
必要な紙幣や硬貨を、財布の中から探しだし、数えなくてもいい。履歴をチェックできるし、ポイントがつくこともある。近頃はスマホ払いも当たり前。送金アプリでワリ...
教育は、未来をつくります。貧困のなかに生まれた子どもが教育を受けられないと、貧しさが代々受け継がれる「貧困の悪循環」に入ってしまいます。適切な教育を受ける...
「I Heart Intelligence」でJustin Gammill氏がピックアップしたのは、イーロン・マスクが語った、数々の名言でした。これを読め...
あなたは、自分の息子に好きな相手ができたことを打ち明けられたとき、どう答え、何をアドバイスしますか?ここで紹介するのは、ショーン・アッシャーさん編集の『注...
アインシュタインは物理学者としてだけではなく、哲学者としてもその才能を十分に発揮していて、彼が残した数々の言葉は、今なお語り継がれています。ここでは「I ...
2015年12月、マーク・ザッカーバーグの第一子誕生に合わせて発表された、450億ドル(約5兆5,000億円)の慈善事業団体への寄付。ケタ違いの金額ばかり...
中国の思想家、「孔子」の教えが世界中で共感を生んでいるのは、そのポジティブ、謙虚、そして誠実な姿勢が、その言葉に表れているからかもしれません。米メディア「...
次、何が起こるか予測できないのが人生。思いがけず職を失ったり、愛する人との別れが訪れたり。うまくいかないことが続く時もあるでしょうが、それを「チャンスに変...
妊娠を望む女性や、妊娠初期の女性には特に大切な栄養素、「葉酸」。厚生労働省も「葉酸」を適切に摂取することによって、子どもの神経管閉鎖障害の発症リスク低減が...
ホロコーストを生き延び、平和に至るまでの苦しみを長く世界に訴えかけてきた、ノーベル平和賞作家のエリー・ウィーゼル。2016年7月2日、彼はNY・マンハッタ...
2015年10月6日に発表されたノーベル賞のプレスリリースで、東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長がノーベル物理学賞を受賞したことがわかりました。岐阜県にあ...
12月10日に行われたノーベル賞授賞式の場に姿はなかったものの、晩餐会に向けた受賞スピーチ(代読による)で、世界の人々を魅了したボブ・ディラン。2016年...
生きることは悩み、考えること。誰もがふとした瞬間に自分の生き方について、つい考えてしまうのではないでしょうか?ここでは、家入一真さんが発案し、絶望名言委員...