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オードリー、土曜深夜のラジオへのこだわり 人気コンビの“土台”となる2時間の生放送

 お笑いコンビ・オードリーがパーソナリティーを務めるラジオ『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送 毎週土曜 深1:00)が、この秋で9年目に突入する。開始以来、聴取率調査でも常に同時間帯トップの成績を残しており、これまで数多くの人気ミュージシャンや俳優、お笑い芸人が担当してきた50年の歴史を誇る『オールナイトニッポン』の中でも、ベスト10に入る長寿番組となってきた。

 コンビとして多数のテレビ番組に出演しながら、若林正恭はMCや俳優としても活躍し、キューバ旅行のエッセイ『表参道のセレブ犬とかバーニャ要塞の野良犬』(7月発売)も高い評価を得ている。春日俊彰も肉体派芸人としてボディビルやフィンスイミング、レスリングに挑戦するほか、最近は番組の企画で東大受験にも挑む頭脳派芸人としても新境地を開拓。今年上半期には231本の番組に出演し、全タレントの中でも9位にランクインするほどの人気を誇る(ニホンモニター調べ)。そんな彼らが、土曜深夜の生放送のラジオにどのような思いで臨んでいるのか。ORICON NEWSでは19日の生放送直前の若林と春日を訪ね、話を聞いてみた。

■土曜深夜にお互いの近況報告 フリートークは“熱”を持って話したい

 同番組がスタートしたのは、オードリーが2008年末の『M-1グランプリ』で大ブレイクし、テレビに引っ張りだこになり始めた2009年の10月。“売れっ子芸人”になったオードリーと常に共に歩んできたこの番組について、若林は「その時々の気持ちや感じたことを、もっとも気を使わないで話せる場所ですね」と語る。また、開始当初は急にテレビ出演が増えて一気に忙しくなった時期でもあり、「仕事の悩みなんかを本番前にラジオのスタッフに相談したりもした」と振り返る。

 ブレイク以降、多忙な日々がずっと続いている2人にとって、この番組が1週間の区切りになるため「放送が土曜日で良かった」と口をそろえる。また、「春日とは一緒の楽屋でも本当に一言もしゃべらないので、ラジオで近況を知ることが多いですね」と若林が語るように、この番組がお互いの“近況報告の場”にもなっているようだ。

「共通のスケジュールに『春日・東大受験』とか書いてあって、その詳細をラジオで知るってことが多くて。お互いにピンの仕事が続くと春日が何をやっているか本当に分からないから、ラジオが続いて良かったと思います。ただ、この前もスケジュールにエアロビ練習と書いてあったから、ラジオで『エアロビやってるんだよね』って言ったら、解禁前の情報だったみたいで、すごく怒られました(笑)」(若林)

「私も若林くんの情報はラジオで知ることが多くて。たまにスタッフさんから若林くんの情報を聞かされることもあるけど、土曜の夜に本人から聞くのを新鮮な気持ちで楽しみたいから『言わないでよ』と思います(笑)。不思議な感覚ですね」(春日)

 この番組の人気を支えているのは、それぞれがこの番組のためだけに用意するフリートークだ。この1週間の出来事や感じたこと、時には学生時代の思い出話など、毎週15~20分ほど話すのだが、若林が「ラジオがなかったらこんなことしないだろうな、っていうことをけっこうやってます」と言うように、さまざまなことにチャレンジしたり、わざわざ出かけることで、2人とも余念なく毎週のトークのネタを探している。

 番組開始当初は、仕事で大物芸人や大御所俳優と初めて会うことで感じたことをトークにしてきた若林は「自分がドキドキしたり感動したことを熱を持って話さないと、聴いてくれる人に伝わらないんですけど、8年もやってるとドキドキするような初モノが減っちゃった」と笑う。「オジさんになってくると感受性が鈍ってきて、海外旅行とかじゃないとドキドキしなくなってきたから、ニッポン放送で旅費を出してくれないかな(笑)」。

 現実的には頻繁に海外に行けるスケジュールの余裕もないため、日常生活の中でネタを探していくのだが、これを繰り返すことによる変化も実感している。「ドキドキすることって大きなイベントをイメージするんですけと、例えば買ったばかりの服を乾燥機にかけたらすごく伸びちゃって、メッチャ腹が立った話とかも熱く話せたりするようになって」。何気ない生活の中でも“熱のあるネタ”を発見できるようになったことで、「こういうことでもトークにできるんだって、自分の枠が広がった感覚もあります」と力を込める。

 春日も「毎週そうそうハプニングが起きないので、面白いトークができる方程式があったら、教えてもらいたいですよ。今週会った人とか、誰かに言われた言葉とかを入れたら、トークの正解が出てくるようなシステムが欲しいです(笑)」と切望するほど、トーク作りには毎週のように骨を折っている。ネタ探しのため、なかば無理やりに金曜の夜に行動している時期もあったが、「そういう話はあんまり面白くないし、熱も込められない」と感じ、1週間の中で“何があったか”とじっくりと思い返し、ささいなことでもオチをつけたネタにする考え方や、面白さが伝わる話し方を学んでいった。その結果、春日のトークスキルが徐々に向上し、2015年7月に『人志松本のすべらない話』で最もウケた「MVS」を受賞するなど、大きな結果も残すようになった。

■「目の前の春日に同じ話を聞かせて笑わせてやりたい」(若林) 全国からリスナーの集まるイベント開催も希望

 これまで400回以上も放送してきたが、どちらかが海外に行くなど2人がそろうのが物理的に不可能な場合以外、この番組は生放送にこだわってきた。ロケで地方に行ってる時はもちろん、ハワイから生中継したこともあれば、『27時間テレビ』に出演したときはフジテレビの楽屋から生放送したこともある。若林は「自分たちから『地方でも生放送でやりたい』って言ったことはないんですけどね。(技術的に)できるからやってるだけで」と口にするが、春日は「生にこだわりたい思いはあります。聴いてくれている人と同じ時間を共有できているのがうれしいし、私も(学生時代の)リスナーの時にいつも生放送の人が録音だと、ガッカリしてました」と熱く語る。続けて、パーソナリティーとして深夜の生放送のメリットも明かしてくれた。

「深夜1時からの放送だと、聴いてる人も疲れてボーッとしてるじゃないですか。だから、あんまりしっかりしたことを言わなくてもいいし、滑っても聴き流してくれるんじゃないかって思いまして(笑)。収録の時は夕方に録音するのですが、トークで滑るとスタッフさんが疲れてないから、『滑ってましたよね』って気づかれてしまう。深夜だと話してる側がボーッとしてるから、聴く人も同じくらいボーッとして、深夜ラジオ特有のノリを楽しんでほしいですね」

 この番組の面白さの一つとして、若林が以前に番組で話した“鉄板”エピソードを絶妙なタイミングでさり気なく持ち出し、春日が「何度目だよ、その話は」とツッコミを入れるやり取りがある。長く聴いているリスナーにとって、繰り返されるこのやり取りがやみつきになっているのだが、当の若林は「リスナーには申し訳ないですけど、聴いてる人のことはそこまでイメージできてなくて(笑)。ただ目の前の春日に同じ話を聞かせて笑わせてやりたいな、っていう気持ちしかないんです」とうれしそうに笑顔を見せる。「何回も同じ話をするというお笑いが、なんで面白いか自分でも分からないけど、8年もラジオをやっているので開ける引き出しが一緒になってくる感じですね」と話すと、春日も「聴いてる人がどう思ってるのか想像できないですけど、喜んでもらってたらラッキーですね」と続けた。

 最後に、リスナーが気になっていることを直接オードリーにぶつけてみた。2014年の番組5周年記念の東京国際フォーラムでのイベント以降、ファンが集まるイベントが行われていないが、今後はイベント開催の予定はあるのだろうか?

「その思いはけっこうあります。熊本にテレビのロケで行ったときに、石材置き場で働いている人から『聴いてます』って言われたり、他の地域でもタクシーの運転手さんとかに聴いているって言われて。だから、全国からリスナーが集まるぐらい規模でイベントをやってみたいです。どのくらいの人が集まるか分からないから、最適な会場も決めにくいけど、8年も番組やってると『聴いてます』って言ってくれる人も増えてきて、自分もようやくリスナーに感謝の気持ちが芽生えてきました。だから、リスナーの顔を見たいというと聞こえがいいですが、みんながわざわざ交通費をかけても来てくれる価値のある、リスナー大集合のイベントをやりたいですね」(若林)

「やったほうがいいでしょうね。どうせやるならデカくやりたいですね。我々にこんなに人気があるんだぞということを、ニッポン放送に知ってもらいたいです(笑)。ただ、私も『聴いてます』ってけっこう言われますが、恥ずかしいというか『テレビを見てます』って言われるより困るというか…。もちろん、うれしさはあるんですけど、『聴かれてるのか』っていう感覚があって。『私がケツにあんなことをされたのを、この人に聴かれたのか』っていう(笑)」(春日)

 具体的な計画はないが、リスナーにとっては何ともうれしい言葉を聞くことができた。そして、最後にはもっとうれしいことを2人がそれぞれ語ってくれた。

「このラジオは、続けられる限りはずっと続けていきたいと思っています」

◆『オードリーのオールナイトニッポン』スペシャルウィークの26日には、ゲストに松本明子が登場。アイドル歌手としてデビュー後、バラエティータレントとして『進め!電波少年』などで活躍。最近は『ヒルナンデス!』の「ドケチ隊」でオードリーと共演している。普段は春日ともメールをやり取りするという松本から、どのようなトークが飛び出すか。



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