知らないと怖いお金の基礎知識④ 投資信託は初心者に優しいの?
※連載記事の第4回目です
①貯金・保険・投資の得意分野を理解する
②貯金・保険・投資の長所と短所を知る
③利益より重要な手数料の話
投資信託とは
これまで3回にわたって基本的な知識について話してきたので、具体的な商品をみる。
本などを読むと、投資の初心者には投資信託を勧めていることが多い。
実際のところ、投資信託には初心者向けとそうでないものがあるが、必ずしも銀行や証券会社の窓口で初心者に初心者向けの投資信託を勧めているかというと、そうではない。
投資信託の特徴
投資信託とは、投資家から集めたお金を、ファンドマネジャーという運用のプロ(と言われている人)が、投資家に代わって株式や債券などに投資する商品のことである。ファンドマネジャーは投資家が出し合ったお金の中から報酬をもらい、利益が出たら、お金を出した投資家で分け合う。
つまり、投資信託の特徴は、下記の2点である。
・投資家から集めた資金で投資をするので、自分一人では買えない多くの種類の株等に間接的に分散投資ができる
・自分の代わりに、ファンドマネージャーが運用をしてくれる
投資信託の分類
投資信託は、どの商品で運用するかによって、下記のように分類される。
・国内株式:主に日本株式に投資
・海外株式:主に外国株式に投資
・国内債券:主に日本債券(国債・社債など)に投資
・海外債券:主に外国債券(国債・社債など)に投資
・REIT:主に不動産に投資(国内・海外の区別あり)
・コモディティ:主に商品(小麦や原油や…)に投資
・バランス型:上記の複数を決まった比率で組み込んだもの
投資信託の見えない手数料
投資信託の目に見える手数料は、次の項に出てくるインデックスファンドとアクティブファンドで決まるが(一般的にインデックスファンドの方が手数料が低い)、上記の各分類ごとにも見えない手数料が異なってくる。
前回、手数料の原則は下記だと説明した。
・人手が掛かるものは手数料が高い
・複雑なものは手数料が高い
上記であげた7種類のうち、REITとコモディティは、短期の需給で値段が左右されるので、常に最新の情報をいち早くキャッチする必要があり、人手が掛かる。
また、海外株式や海外債券のうち、新興国のものは情報を手に入れることが難しくなるため、人手が掛かる。
そして、バランス型は複数のものを決まった比率で組入れるというルールがある分、それ以外のものより複雑な商品である。
なので、REIT、コモディティ、新興国株式、新興国債券、バランス型投信は、それ以外のものより手数料が掛かる傾向がある。
もし、目に見える手数料がそれほど高く見えない場合は、利益から見えない手数料として差し引かれるので、覚悟しておこう。
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投資信託の種類
上記では投資信託の分類を見たが、それぞれが大きく2つに分けられる。
インデックスとアクティブと呼ばれるものだ。
インデックス・ファンド
インデックスファンドとは、各分類ごとの市場の指標に連動した運用成績を目指すものだ。
各分類ごとの指標とは、例えば日本株式であれば日経平均やTOPIXであり、米国株式であればダウ平均などである。
日経平均に連動させるためには、日経平均に組み込まれているものと同じ銘柄の株を買えばいいだけなので、ファンドマネージャーは頭を使う必要はない。ファンドマネージャーが人間ではなく、コンピューターが自動売買しているだけという可能性もある。
インデックスファンドにはファンドマネージャーの個性は全く現れない。
インデックスファンドは「日本株式市場」「アメリカ債券市場」といった各分類の市場に投資する投資信託なのだ。
アクティブ・ファンド
一方、アクティブファンドは、株式市場の指標以上の利益を目指すものだ。
市場の平均以上の成績を出すために、ファンドマネージャーは独自に調査、分析などを行う。
利益が出るかどうかはファンドマネージャー次第となる。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーの手腕に投資する投資信託のことである。
どちらが初心者向け?
インデックスファンドとアクティブファンドは、どちらが初心者向けだろうか。
手数料
前回の手数料の話で見たように、手数料は人手が掛かると高くなる。
ファンドマネージャーが機械的に売買するインデックスファンドより、調査分析が必要なアクティブファンドの方が、手数料は高くなる。
運用成績
アクティブ投信は市場以上の運用成績を目指すが、実際には半数以上のアクティブファンドが市場平均を下回っているというデータがある。
市場平均を下回るということは、インデックスファンドよりも成績が悪いということだ。
さらに、短期的には市場を上回る事ができても、長期間市場を上回り続けるのは難しいという分析結果もあり、長期間アクティブファンドが好成績を残すことは難しいと言われているのだ。
とはいえ、半数以下ではあるが、インデックスファンドを上回る成績を残しているアクティブファンドもある。
肝はファンドマネージャー
要は、インデックスファンドを上回る成績を残しているアクティブファンドを見極められるかどうかだ。
果たして、初心者が「会ったこともない◯◯証券の△△さんがファンドマネージャーとして優秀かどうか」を判断できるだろうか。
自分で投資をしたことがない初心者が、他人の投資の腕を判断するのは不可能に近い。
もし「この人の手腕なら信用できる!」と思えるファンドマネージャーが見つかったら、その人が手がけている投資信託を購入するのが良い。
しかし、そういうファンドマネージャーが見つからないのであれば、手数料が安いインデックスファンドを購入する方がリスクが少ない。
アクティブファンドより、インデックスファンドの方が初心者向けと言われるのは、こういう理由からである。
まとめ
・投資信託のうち、REIT、コモディティ、新興国株式、新興国債券、バランス型投信は、それ以外のものより手数料が掛かる傾向がある
・バランス型ファンドは、それ以外のものより手数料が掛かる傾向がある
・アクティブファンドは、インデックスファンドより手数料がかかる傾向がある
・インデックスファンドは「日本株式市場」「アメリカ債券市場」といった各分類の市場に投資するもの
・アクティブファンドは、ファンドマネージャーの手腕に投資するもの
投資信託の選び方は、次回に続く。
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