スマートフォン専用ページを表示

メディア・パブ

オンラインメディアをウオッチ
<< 過熱するインフルエンサー・マーケッティング、「インスタグラム」が断トツの人気 | TOP
2017年08月25日

メディア接触の主導権争い、「フェイスブック」の独走に「グーグル検索」が奪回迫る

「検索」から「ソーシャル」へと。オンライン情報の接し方が様変わりしている。

 デジタルパブリッシャー(メディア)のコンテンツと出会うのも、検索エンジンではなくてSNSを介する場合が増えてきている。米国を先頭に大半の国では、検索エンジンはグーグル検索が、SNSはフェイスブックが寡占している。ということは、グーグルからフェイスブックへと、メディアへの影響力がシフトしていこうとしているのかも。

 この「検索」から「ソーシャル」への流れがモバイルシフトに乗じて加速化し、2年ほど前に米国では一つの転換期を迎えた。オンラインメディア(デジタルパブリッシャー)への外部トラフィックで、フェイスブックがグーグル検索に追い抜いついたからだ。米トラフィック解析会社Parse.lyが明らかにした。それ以降、両者の差は大きく開くようになり、一時、米メディアへの全流入トラフィックのうちの45%前後がフェイスブックから、35%前後がグーグル検索からとなり、フェイスブックが事実上独走態勢に入ったように思えたのだが・・・。

 ところが先週、久々にParse.lyのトラフィックデータを見て驚いた。図1の過去1年間の推移を見ると、この8月に入ってグーグル検索が37%、フェイスブックが39%と、両者の差が一気に縮まっている。

PerselyReferrer201708a.png
(ソース:Parse.ly)
図1 米メディアサイトへの外部トラフィックの流入元シェア。過去1年間(2016年8月~2017年8月)の推移を示している。Parse.lyが米国の代表的なメディアサイト(2500サイト超)を対象に計数した調査より。今回の計測では、グーグルAPMからのトラフィックがGoogle検索に含まれていない。

 さらに先ほど過去30日間の推移を細かく追ってみた。図2に示すように、2017年8月21日にグーグル検索が43%に跳ね上がり、34%に急降下したフェイスブックを一気に抜き去っていたのだ。8月13日にも瞬間風速的にグーグル検索がトップに躍り出ていた。突発的かもしれないが、「検索」から「ソーシャル」への流れに逆らう動きが出てきている。

 確かに昨年後半から今年にかけて、フェイスブックからメディア(パブリッシャー)サイトへのトラフィックが減り始めているとのニュースが頻繁に伝えられていた。フェイスブックによるニュースフィードのアルゴリズム更新で友達や友人の投稿を優先することになり、パブリッシャーの投稿コンテンツの露出頻度が減ったせいかもしれない。また流通プラットフォームであるフェイスブックへの依存が高まるにつれ、編集面や広告面でいろいろと制約が課せらようになり、これを嫌って一部のパブリッシャーがフェイスブックへの依存度を下げていこうと動き始めたことも影響しているかもしれない。

ExternalReferralTrafficParsely20170821.png
(ソース:Parse.ly)
図2 8月20日までの過去1か月間における、外部トラフィックの流入元シェアの推移

 もともと、メディアサイトへの外部トラフィックの主役はグーグル検索であった。3年ほど前までの推移(図3)を見ても明らである。そのため長い間、メディアサイトもブランド(企業)サイトもSEOに注力し、グーグル検索からのトラフィックをいかに増やすかに必死になっていた。ところがフェイスブックなどのソーシャルの台頭により、ソーシャルメディア対策がより重要になってきた。特にミレニアル世代に代表される若年層ユーザーと接していくには、ソーシャルからのトラフィックを増やしていかなければならないのは間違いない。

FBTrafficvsGoogleTrafffic.png
(ソース:Parse.ly)
図3 2012年春から2015年夏までの期間における、メディアサイトへのトラフィックの流入元シェアの推移。

 グーグルからすればグーグル検索からのトラフィックに頼るパブリッシャーを増やしていきたい。一方でフェイスブックは同SNSからのトラフィックに頼るパブリッシャーを増やしていきたい。両巨人プラットフォーマーによるメディア接触の主導権争いが、ますます激しくなりそう。

 以上は、あくまで米国などの海外での話。日本のメディア環境は違う。日本のメディアは海外ほど、フェイスブックなどのソーシャルメディアにあまり頼っていない。その代わり、外部からの流入トラフィックとしてアグリゲーターに強く依存している。


◇参考
・Referrer Dashboard(Parse.ly)
・Facebook v Google: Is Facebook Winning The Content Discovery War?
(Buzzsumo)
◇関連記事
  • ニュース接触の主戦場が「フェイスブック」か「グーグル検索」か、記事のトピック別で大きく分かれる
  • 爆発的人気を博したバイラルメディアに陰り、一方で伝統メディアは記事のバイラル化に拍車
  • 戦国時代突入のバイラルメディア、早くも淘汰始まり急落するサイトも
  • 英ガーディアン記事へのトラフィック誘導、フェイスブックがグーグルをしのぐ
  • 分散型メディア、動画コンテンツが先導し爆発普及の兆し
powered by newziaコネクト
Zenback読み込み中です。
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 01:28 | Comment(0) | 新聞 ニュース
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

Powered by Seesaa
Seesaaブログ
新着記事
(08/25)メディア接触の主導権争…
(08/18)過熱するインフルエンサ…
(07/27)フェイスブックの売上高…
(07/18)勢い増す「LINE」と「In…
(07/01)米国の「ポッドキャスト…
(06/27)編集者よりも「アルゴリ…
(06/18)ニュースメディアにも「…
(05/29)ニュース接触の主戦場が…
(04/28)米ネット広告売上が22%…
(04/05)若者が占拠していた「ス…
(03/23)米国で盛り上がるオーデ…
(03/04)月間ビュー数が億回超え…
(02/10)トランプ特需で有料購読…
(01/17)「音声アシスタント」を…
(12/29)「トランプ現象」の追い…
(11/21)日本人のニュースメディ…
(11/18)利用時間でデジタルがTV…
(11/14)トランプ次期大統領のニ…
(11/03)月間モバイル・オンリー…
(10/30)「分散型メディア」への…
カテゴリ
RSS配信 ブログ(202)
マーケティング 広告(336)
新聞 ニュース(694)
出版 雑誌(317)
TV  ビデオ ラジオ(276)
ポータル サーチエンジン(179)
メディア(92)
ケータイ モバイル(115)
市場(144)
その他(46)
日記(1)
Web2.0 SNS CGM(309)
ネットワーク(30)
ビッグデータ AI(4)
過去ログ
記事検索
 
プロフィール
名前:田中善一郎
E-mail:ztanaka@excite.co.jp
検索する
  • Amazonで検索
投稿する
  • Twitterに投稿
  • Seesaaブログに投稿