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財源は…前原氏「増税」枝野氏「赤字国債」

「社会保障・賃上げ」を巡る前原氏と枝野氏の理念や政策

アベノミクス対抗策 社会保障充実で「低所得層の底上げを」

 民進党代表選(9月1日投開票)で、前原誠司元外相(55)と枝野幸男前幹事長(53)がアベノミクスへの対抗策として掲げるのが、社会保障や福祉の充実による低所得層の底上げだ。共に個人消費を喚起して景気回復を狙う政策だ。ただ、年金安定化などに向け2019年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げるべきだとする前原氏に対し、枝野氏は赤字国債発行による介護職員や保育士らの賃金底上げを主張。手法や財源に違いが出ている。

     枝野氏が最優先課題として訴えるのが介護職員と保育士の待遇改善。社会保障政策ではなく「景気対策」と位置付けるのが特徴だ。

     枝野氏は「人手不足は低賃金だからだ。需要があって供給が不足していたら価格が上がるのが経済の原理だが、政治が低く抑えている」と繰り返し、「道路を造るより直接消費に結び付く賃上げの方が投資効果は大きい」と強調。「手にした収入のほとんどが地域の消費に回る。経済的にも財政的にも合理的だ」と述べ、1兆円規模の赤字国債発行に言及している。

     将来的な消費増税は否定しないが、「経済状況などから今は上げられる状況ではない」との立場だ。

     前原氏は基本理念として「オール・フォー・オール(みんながみんなのために)」を掲げる。「応分の負担をいただきながら、全ての世代の不安を解消する」として、貧困対策や個人消費拡大に向け、教育無償化や年金の安定化、介護職員や保育士の待遇改善などを訴える。

     枝野氏が主張する赤字国債発行には「自民党と何も変わらない」と反論。民主党政権下で「税と社会保障の一体改革」を担当した政調会長として「責任を持ちたい」と予定通りの消費増税を主張する。

     低所得者対策としては負担増の一部を払い戻す「給付付き税額控除」の導入を掲げる。ただ、自民、公明両党との合意に際して棚上げした「最低保障年金」制度の創設に関しては踏み込まず、「少なくとも基礎年金は減らさない」と述べるにとどめる。自民党内で検討されている幼児教育の実質無償化に向けた「こども保険」については、22日の公開討論会で「万が一に備えるのが保険。教育を保険で扱うのは笑止千万だ」と切り捨てた。【光田宗義】

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