まずは試してから
食品スーパーで社員として勤めている私はたまに店長の代わりにアルバイトの面接をすることがあります。
そこで疑問に思うことの一つです。 それは会社のアルバイトから正社員になれるチャンスがある「正社員登用制度」を期待して、将来の社員希望でアルバイトの面接を受けにくる人が多いことです。
こう言うと、「そんなことはほっといてやれよ」と言う声が聞こえてきそうなのですが、今、急増する中年フリーターが社会問題になっているだけに気になります。
もちろん本人に直接疑問を投げかけたりはしませんが心の中でそう思います。
社員募集の面接にも受かるのではないかと思われるアルバイト希望者
以前に店長不在のために私が面接をした彼もそんな一人でした。面接時の彼は、真面目でしっかりしている印象がありました。
恐らく社員募集で本社の面接に行っても採用されたのではないかと思いました。
「アルバイトから社員になれますか?」 彼からの質問に私は、「それほど数はないけれど、なった人はいます」と答えました。
彼がアルバイトの面接にきたのは、たまたまうちの店が人員不足でアルバイト情報誌に募集をかけてたのを見たからです。
しかし、うちの会社は時折、社員が辞めて行くので、その都度本社も社員の募集を求人誌や職安に出しています。
うちの会社の正社員の求人を目にするのはタイミング次第です。 つまり、ちょっとしたタイミングの違いで彼は最初から社員として会社に入ることが出来たのかも知れないのです。
しかしこの会社の事情というものは余計なお世話ということで口には出さないものなのです。
その彼は、真面目できちんと仕事をこなし、私たちは、「いい子が入ってきたなー」と喜びました。
その彼が1年ほど過ぎた後、「ちょっと言いにくいことですが・・・」と相談を持ち掛けてきました。
面接時に私に、「いずれは社員になりたい」と言った気持ちで1年以上頑張ってきたそうです。しかしいつまでたっても、「社員にならないか?」と言う声がかけられなさそうな気がしたそうです。
「どうして声をかけてくれないの?」
そう思うようになり、声がかからなさそうな現実に「私って能力的に無理なのかな?」と思うようになり向上心が折れそうになりました。
「いやいやちょっと待って!能力的には決して劣ってないよ」 私は彼の自分を卑下する言葉を否定しました。
もっと違う問題があります。その問題とは単純に言うと彼はあくまでもアルバイトとして採用されているということです。
冷たいかもしれませんが、こちらから「社員にならないか?」と声をかけるのは余程周囲から認められた存在でなければならないので、ハードルが高いのです。
「求人誌を見たのですが・・・・」
彼はうちでアルバイトをしながら社員として働ける会社を他で探していたそうです。そんな時にたまたま見つけたそうです。
うちの会社の他店の社員が辞めて、社員が足りなくなり、本社が求人を出していました。
その求人をたまたま見付けた彼は、「〇〇地区で社員募集しているそうですけど、僕たち応募出来るんですか?」と聞いてきました。
彼にとっては、一種の賭けだったと思います。 うちには何年もずっとアルバイトのままの人が何人もいるからです。
といっても、そういう人は私たちが声をかけても「もうちょっと経験を積みたい」と言って断ってくる人なので、ちょっと彼とは違うのですが(汗)。
つまり、現状に満足をしている人なので、そんなに遠慮をする必要はありません。しかし、そうは思っていても心理的に遠慮をしてしまうのでしょう。
そんな状況の中、自分はこれからこの会社でどうしたいかと言う意思をしっかり伝えてきた彼に私は、「大したものだな」と感心をしました。
そして、彼からの希望を、さっそく店長と本社に連絡すると、本社に面接に来てくださいということになりました。そして彼は面接に受かり、社員になることが出来ました。
見事に社員の椅子をゲットした彼
といっても今までにアルバイトの子を本社に紹介して採用されなかったことは一度もありません。
店舗が推薦するアルバイトは即戦力とみなされるのでしょう。 つまり、私が知る限り採用率100%です。
だからと言って彼に、「絶対に受かるよ」とは言えませんでした。「絶対受かる」と言って万が一落とされたら恨まれると思ったからです。
この出来事で同僚の女性社員と話をしました。同僚の女性社員は、「いいタイミングだったね」と言いました。
同僚女性社員は、他店の社員の空席をいち早く察知して、とてもいいタイミングで空席をゲットした彼に感心をしていました。
なぜならうちの会社は、最初から正社員として入るよりも、アルバイトから経験を積んで社員になる方がハードルが高いからです。
もちろんうちよりも大きな会社なら、社員の面接も受かりにくいと思うのですが、うちは「とりあえず入れてみよう」というノリで社員を採用をしているように思います。
とりあえず入れて見て、3カ月の試用期間で、「使えるかどうか」判断しているように思うのです。
だから、たまたま見た求人がアルバイトであったか社員かであったというタイミングの違いで大きく道が変わるのです。
ちなみに私がアルバイトとして今の会社に入っていたら社員になれる自信はありません。
なぜなら、こういった道は誰かが教えてくれると言うものではないのです。
道は誰かが親切に教えてくれるものではないのでしょう。よほどの事でない限り余計なお世話なことはしません。
自分で道は気づけということです。見付けたら早いもの勝ちです。 さらに道に気付いてもその道を行くかどうかはその人次第です。
もちろん周りが放っておかないような能力をアピールできるなら、誰かが社員への道へ引っ張っていってくれることもあるでしょう。
そうでなければ、その道を行く勇気。つまり自ら立候補する勇気が必要だと思います。
周囲に遠慮して言いたい事が言えないタイプである私にはこれらの事情から アルバイトから社員登用制度を利用して社員になるのはハードルが高いように感じます。
数多くの将来の社員希望のアルバイトが、そのままアルバイトとして終わる姿を見てきてつくづくそう感じます。
能力的に問題がないのにその選択。実にもったいないことをしていませんか?
求人雑誌などを見ると「正社員登用制度」と言う言葉が目につきます。それで、まずはアルバイトからという考えをもつ方も多いと思います。
しかし、うちの会社のように、社員が辞めるたびに〇〇地区での社員募集という求人が出ることもあるんです。
本当にタッチの差でスタート地点が変わってきます。そして、アルバイトから社員になるには、周囲に認めてもらうというハードルがあります。関所みたいなものです。
その関所がゆるゆるならいいのですが、キツキツの関所であることもあるんです。
それでも、社員を採用する時の面接とアルバイトを採用する時の面接では、社員を採用する時の面接の方が難しいんじゃないの?と思われるでしょう。
しかし、私の今まで見てきた、将来の社員希望で入ってくるアルバイトさんは、おそらく社員募集の面接でも受かったと思います。
全員、能力的にも問題はないと思います。だから、その選択が実にもったいなく感じます。
スタート地点はしっかり調べた方がいい。
だからと言って、実際にうちの店のアルバイトにこのような話をするのも、まるで「あなたはスタート地点を見間違えたんだよ」と捉えられるかもしれないので言えない問題です。
私にとってはブログでしか書けない内容です。現実には余計なお世話と思われるからです。
中年フリーター増加が社会問題になっているようですね。余計なお世話だと思うのですが気になります。
「正社員登用制度」の制度自体は良いことです。しかし、ほんのちょっとしたタイミングの違いで、アルバイトで採用されるか社員で採用されるか決まってしまう。
「正社員登用制度」でアルバイトからスタート。入りたい会社がその道しかないのなら仕方がないと思います。
でも、そうでないこともあります。1か月後に違う求人で違う道が用意されるかもしれません。
こういった道は誰かが親切に教えてくれるものではないと思います。自分で、本当にその会社はアルバイトからしか入れないのか?調べなければその道は見えることはないでしょう。