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連載コラム内田麻理香「科学しちゃうぞ!」
なぜメレンゲは泡立つのか?
2014/2/15
お菓子などで幅広く利用されているメレンゲを作ったことはありますか?
卵の卵白を泡立て器で撹拌(かくはん)して、徐々に空気を混ぜ込んでいくと、最初は大きな粗い泡ができます。その泡は徐々に細かくなり、しっかりしたツヤのある気泡に変化します。しかし、メレンゲ 作りは、油分や砂糖の使用への制限など、生クリームの泡立てに比べると難しい作業と言えます。まずは、卵白に含まれるたんぱく質の「気泡性」と「空気変性」の二つの性質に注目しながら、メレンゲを「科学」していきましょう。
泡立てには「気泡性」が大きなポイント
泡立ては、液体の中に気体が分散した気泡性の状態です。この気泡を作るには、液体に空気を取り込むために表面張力を小さくすることが必要です。表面張力とは、別の物質と接しにくい度合いを示します。表面張力が大きいと液体が空気と接しにくいので、空気をたくさん抱え込むことが難しくなります。身近な例を挙げると、水が泡立ちにくいのは、表面張力が大きい物質であるためです。しかし、卵白には、表面張力を小さくするたんぱく質が含まれているので、たくさんの気泡を取り込むことができ、メレンゲを作ることができるのです。
泡立てを安定させる「空気変性」
卵白は、「泡を持続させる力」も備えています。空気に触れることで膜状に硬くなる成分オボアルブミンを生み出す「空気変性」によって、気泡を安定化させ、しっかりとしたきめ細かいメレンゲを作ることができます。
古い卵は、新しい卵よりも粘性が低く表面張力が小さいために泡立てやすいのですが、泡の安定性は悪くなります。また、泡立てるときに温度を高くすることでも表面張力が小さくなり、泡立てやすくなるのですが、やはり泡の安定性が悪くなります。したがって、安定したメレンゲを作るためには、新鮮な卵を使い、泡立てはじめは湯せんして温度を高くし、途中から冷やして泡の安定度を高めることがベストな方法と言えます。
このように「泡を立てる」と「泡を持続させる」ことは、相反する関係にあります。