汚泥“多い時、月に3トン廃棄”

8月18日、岐阜県瑞浪市の中央自動車道で起きた土砂崩れで、土砂の中に近くの陶磁器原料メーカーが廃棄した土の汚泥が大量に混じっていた問題で、会社が「多いときには月に3トンほどの汚泥を廃棄したと記憶している」と県に説明していることがわかり、警察は廃棄物処理法違反の疑いがあるとみて捜査を進めています。
8月18日の大雨で、瑞浪市釜戸町の中央自動車道には斜面が崩れて大量の土砂が流れ込み、4台の車が巻き込まれて6人が重軽傷を負いました。
これまでの岐阜県の調査で土砂には近くの陶磁器原料メーカー「丸釜釜戸陶料」が斜面に廃棄していた不要になった原料の土の汚泥が大量に混じっていたことがわかっています。
県の調査に対し、会社側は40年前から袋に詰めるなどして汚泥を廃棄していたと答えているということですが、さらに、「多いときには、月に3トンほどの汚泥を投棄していたと記憶している」などと説明していることがわかりました。
このため、警察は廃棄物処理法違反の疑いがあるとみて、会社の関係者から話を聞くなど投棄された汚泥の実態解明に向けて捜査を進めています。
一方、県の担当者が瑞浪市釜戸町にある会社の本社に立ち入り、聞き取りを行ったほか、書類を調べてどれだけの汚泥がどのように投棄されたか調査をしました。
また、崩れた斜面に雨水がしみこまないよう会社が進めているシートの設置などの応急対策についても確認したということです。
県は崩れた斜面には、まだ汚泥が残っていて、土砂崩れが再発する恐れがあるとしていて、汚泥の全量の把握と捨てられた範囲の特定を進め、土砂崩れの再発防止の対策を急ぎたいとしています。
一方、瑞浪市や多治見労働基準監督署によりますと、汚泥の中にはこのメーカーが捨てた半導体の原料の結晶シリカパウダーという発がん性のある物質が混じっていることがわかったということです。
瑞浪市によりますと、この物質は長期間、大量に吸い込むと将来的に肺ガンやじん肺になる恐れがあるということで、市は土砂が流れ込んだ現場近くの住民34世帯に、23日防じんマスクを配りました。
市の担当者は「吸い込んだからすぐがんになるというものではないが、汚泥が乾燥し、空気中を舞うと吸い込むリスクが増えるのでマスクを着用し注意してほしい」と話しています。
地区の男性は「掃除の際に乾いた土砂が舞うので、マスクをいただけるのはありがたい。ほかの住民にも作業の際にはつけるよう呼びかけたい」と話していました。
一方、岐阜県も粉じんの空気中の濃度を測定する特殊な車両を現場周辺に置いて、環境基準を上回っていないか確認するとしています。

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