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法華狼の日記

2017-08-21

[][]1945年までに「国体」への忠誠を叩きこまれた日本国民に、江戸時代を記憶していた老人はいなかったのだろうかという疑問Add StarBUNTENdimitrygorodok

終戦記念日にまつわるドキュメンタリーやドラマを見つづけていて、ふと疑問に思った。

戦前から戦中にかけて、おおかたの日本国民は天皇制を絶対視して、天皇現人神として崇拝していたことになっている。

しかし植民地出身の「国民」はさておいても、幼いころには天皇の存在すら知らなかった老人もいるのではないだろうか?


とりあえず江戸時代の終わりを大政奉還と考えると、1867年のこと。それから1945年までは78年くらいだから、敗戦時に85歳くらいであれば物心ついたころは江戸時代だった人がいたことになる。

現在よりも寿命が短かった当時でも、それくらいの長寿なら存在しているはずだ。とりあえず首相経験者では西園寺公望が1849年に生まれて1940年に死んでいる。

しかし簡単に思いついた範囲では該当者が出てこなかった。私が思いつかないだけで、心情が記録に残っているような人もきっといると思うのだが。


もし天皇中心の国家が最近に作られたものと認識する人がいて、帝国が戦争に勝利しつづけるかと思いきや、最終的に大敗したことを見とどけたなら、同時代に何を思っただろうか。

進駐してきたマッカーサーを国民が心酔したように時代ごとの強者になびいただけだろうか。あるいは平家物語方丈記の書き出しのような心情になっただろうか。

そのようなことが、ふと気になった。

u.tu.t 2017/08/22 01:06 頭山満(1855―1944)はどうでしょう?

hokke-ookamihokke-ookami 2017/08/22 05:45 なるほど、ありがとうございます……と感謝しつつ「ギリギリかー……もうちょっと、あとすこし……」と思ってしまう自分もいます。
ただ、現在からは右翼の大物と考えられていますが、このエントリの観点からすると、頭山本人の意識では志士あがりな明治政府の連中と大差なかったのではないか、みたいなことを思いますね。

ちなみに坂口安吾の敗戦後の文章とかそれっぽいなという認識があるのですが、富豪の子孫で父親が自由民権側の政治家ではありつつ、本人は20世紀生まれなんですよね。

s3731127306s3731127306 2017/08/22 12:48 また間接的な指摘になりますが、過去をもってきて現在を相対化するというのならば、加藤周一氏の「羊の歌」に、加藤氏が1941年12月8日の夕方に新橋演舞場で見事な文楽の演技を見て、非常に感動を受けた、というエピソードが書かれています(「ある晴れた日に」)。
この本には、「近代の超克」にかぶれた横光利一が加藤氏の高等学校の同級生に気の毒なぐらいコテンパンに批判されてしまうエピソード(「縮図」)、16世紀フランス文学の専門家の渡辺一夫氏が他のフランス文学の教授たちとちがって熱狂の渦にまきこまれなかったこと(加藤氏は渡辺氏のことを「天から降ってきたような」と絶賛している)などがかかれています(「仏文研究室」)。
わたしも読む前は、インテリのバタくさい本かなと、思ったのですが、まあ騙されたとおもって読んで見てください、色々な意味で損はしないと思います。

miyakawa_takumiyakawa_taku 2017/08/22 22:09 1858年生まれの尾崎行雄が、不敬罪により弾圧されるきっかけとなった演説で、裕仁を「三代目」と称したことを思い起こしました。少なくとも、「国体」を天壌無窮のなんとやらではなく、近代の構築物とみなす視点はもっていたものと思います。

LL 2017/08/22 22:49  こんばんは。90年代に歴史の先生が「ついこの間まで幕末維新期、江戸時代を目撃した老人が生きていて話が聞けたものだ。♪トコトンヤレトンヤレナとか歌いながら馬に乗った武士が通ったのを見ていたそうだ」という話をしながら史料を見せて下さいました。まあ、少し前といっても結構前なんでしょうけどね。
文学者の名前とか挙げて見たくなったのですが、夏目漱石や幸田露伴って1867年生まれで江戸時代は知らないんですよね。近代文学者で江戸時代も生きた方は少なそう。逆に、幕末の戯作家などで明治に亡くなった方は、「ケッ、てやんでえ」「しゃらくせえ」とか書いているかもしれません。

hokke-ookamihokke-ookami 2017/08/22 23:59 s3731127306さんへ
情報ありがとうございます。


miyakawa_takuさんへ、
おお、ありがとうございます! ほぼ完璧に求めていた人物です! 100歳は超えてないため、Wikipediaの下記リストには掲載されていないのですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/高齢で死去した著名人一覧
いずれにせよ、不敬罪がらみでは知っていましたが、生没年はまったく意識していませんでした。なるほど江戸時代生まれという意識が反映された可能性は充分ありそうです。

ちなみに上記リストだと足利紫山という臨済宗管長が適合するのですが、いまいちインターネットには情報が見つかりません。日露戦争で生まれた孤児へほどこしをしたりといった逸話は出てくるのですが、戦後まで生きて管長として権威を発揮した人物だけに、影響を受けた別人の情報ばかり引っかかる。著作も仏教関係のものばかりで、どうも日記のたぐいは残していないらしい。


Lさんへ
>まあ、少し前といっても結構前なんでしょうけどね。

わはは、それはそうでしょうね。その教師の年齢にもよるでしょうし(高齢になると十年くらいだと最近に感じられるもの)。

>逆に、幕末の戯作家などで明治に亡くなった方は、「ケッ、てやんでえ」「しゃらくせえ」とか書いているかもしれません。

ちょうど『この世界の片隅に』との比較で情報を探している映画『百日紅』で主人公となった葛飾応為は江戸末期を生きた絵師ですが、生没年未詳なんですよね……ぎりぎり明治を目撃できるかどうかという年齢ですが。

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