0716
昨日、女の子にフラれた。いや、フラれたと言っていいのかわからないけど、多分もうダメなのだろう。なんだか腑に落ちない感じで、ものすごいショックというわけでもなく、自分のイメージするフラれたという気持ちにはならなかった。
そもそも彼女のことをどれくらい好きだったのか、わからない。だから、それほど好きじゃなかったのかもしれないが、その日の夜はなんだか眠れなかった。
昨日は二度目のデートだった。あらかじめ僕は彼女に対して、好きだからデートに行って欲しいと伝えてあったので、向こうに僕が好意を持っているのは知っているはずだった。しかし、彼女は、デートの前日に行った街コンの話をし、「自分の需要が歳を経ることに減っていく」とタラレバ娘を例に挙げて、話す。さらには、元彼に束縛され、共依存になったとなどというかなり重い話をされ、それにつられてこちらもパーソナルな少し重い話をした。
ここで思ったのだ。あれ、彼女は僕をそういう対象としてみていないんだと。いや、まぁ、それ自体はもういいのだ。どうしようもないことだから。けれども、自分に対して好意を持っている相手を目の前にして、街コンに行ったという話をする感覚には正直、辟易とした。また、お決まりの話のように元彼の話をするのもなんだかなという感じである。あの時は正直に「まだ、その元彼のことが好きなんでしょ」とか言ってあげた方が良かったのだろうか。今ひとつわからない。そもそも、そうした「傷を抱えた私」という女性にどういう風に接するべきなのかわからない。彼女はこれからどうするのだろうか。一生、よくわからない、束縛男のことを思って生きていくのだろうか。おそらくそうなのだろう。
別れ際、我慢できなくなって、僕はあなたのことが好きなのに、街コンの話をされるのはちょっとといった話をした。そうすると、正直、そんな真面目に考えていなかったという返事。曖昧な、なんだか、昔飲んだ薄いカルピスみたいだった。
電車で帰ってて送られてきたLINEには、「弟みたいに思ってだけど、失礼だったね」的な文言が。なんだか、呆れかえってしまって、なんとも言えない。しかし、多分、それでも僕は彼女が好きだったのだ。こうやって嫌いな理由をいろいろ探すほどに、彼女のことを好きだったのだ。
僕は坂の上から武蔵小杉のタワーマンションを見つめながらそう思った。坂の上にいるから、あの光り輝くタワーマンションと同じ位置にいると思っていたが、そうではなかった。家は坂を下ったところにある。それでも、今日も坂を登って、あのタワーマンションに手を伸ばす。
手を伸ばせばいつか届くはずだから。女々しすぎるのかな。