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【社会】

夏休み思い出クルーズ出航 都職員、施設の子ら視察船招待

子供たちから届いたお礼の手紙や寄せ書き=一部画像処理

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 虐待を受けたなどの事情から、夏休み中もずっと児童養護施設で過ごす子供たちがいる。家族との楽しい時間も、旅行の機会もない。そんな現状を知った東京都の女性職員の発案で、都の視察船を使って子供たちを東京湾の遊覧に招待している。招待を始めて三年。今年も子供たちは笑顔で船に乗り、楽しいひとときを過ごした。 (木原育子、森川清志)

 都港湾局のロッカーに、大切に保管されている手紙がある。「ふねからのけしきはすごくきれいで、すてきでした」「初めて船に乗れて楽しかった」。幼い字で一生懸命に書かれたお礼の手紙には、船の絵を描いたり、お気に入りのシールが貼られていたり。

 視察船への招待を発案したのは、都職員の浜佳葉子(かよこ)さん(55)。「施設に帰った後も、思い出しながら書いてくれたんだと思うとうれしい」と表情を緩めた。

 浜さんは二〇一三年から一年間、少子社会対策部長として虐待の問題などに向き合った。施設や養育(里親)家庭にたどり着くまで、さまざまに傷ついた子供たち。「行政にできることって何だろう」と悩んだ日々を振り返る。

 そんな時、施設職員から「夏休みに家へ帰れない子もいる。博物館とかに無料で招待してもらえるとありがたい」という話を聞いた。その後、港湾局総務部長に異動し、視察船「新東京丸」の活用を思いついた。

 ただ、要人の視察時などに使う新東京丸は都民も乗船できるが、十五歳以上に限定していた。一年ほどかけて規則を変え、乗船希望者を募って一五年の夏休みに試行した。

 一六年からは養育家庭も招待し、三年間で計約三百人が遊覧を楽しんだ。「いろんな大人があなたのことを大事に思っている」。今、都選挙管理委員会事務局長の浜さんは、そんなメッセージが伝わればと願っている。

子供たちから届いた手紙や寄せ書きを手にする都職員=木原育子撮影

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◆里親にも「特別な時間」

 八月上旬、養育(里親)家庭の了承を得て、視察船に同乗させてもらった。子供たちのはしゃぐ姿が印象的だった。

 四組十三人の家族が乗り、竹芝桟橋(港区)から、一時間余りかけ、レインボーブリッジなどを見て青海(江東区)で下船した。

 「見て見てママ、パパ。あんなに大きな船が横切っていく」。船内で中学二年の女子(14)が歓声をあげると、母(58)と父(60)が笑顔を見せた。

 女子が二歳の時、里親になった。中学進学時、児童福祉法の規定により「十八歳になると一緒に暮らせなくなる」と伝えた。以来、女の子は感情的になったり、ちょっとしたことで不安になったりするという。夫婦は「葛藤があるんだと思う。だから、こういう家族の特別な時間は忘れられない思い出になる」と話した。 (木原育子)

 

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