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「都議選が終わったら丁寧にお答えします」
小誌が報じた加計学園からの200万円の“闇献金”疑惑について、記者会見の場でこう明言していた前自民党幹事長代行の下村博文氏(63)。あれから約1カ月が過ぎても説明責任を果たそうとしない下村氏を、市民団体が東京地検特捜部に政治資金規正法違反の疑いで刑事告発した。
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地検関係者が語る。
「当初検察幹部は、金額が低いことから冷ややかな反応でしたが、告発は受理する方向です。加計側から受領した200万円だけでなく、2年間で計約1400万円のパーティー券代が下村氏を支援する政治団体『博友会』の収支報告書に不記載であるとされており、立件に向けては金額が1つの焦点となりそうです」
当の下村氏は、自民党東京都連会長として臨んだ7月2日の都議選での大惨敗以降、批判の嵐に晒された。
「投票日の3日前に下村氏の疑惑が報じられたことが、結果に大きく響いたと言われる。落選した候補からの突き上げは相当なもので、下村氏が都連会長を辞めれば済む話ではなく、落選中の生活の保障や公明党との関係修復など課題は山積しています。下村氏の地元・板橋区でも、元秘書だった現職都議2人も敢えなく落選し、厳しい状況のようです」(自民党関係者)
落選した元秘書の1人、松田康将氏は、「(下村氏の)疑惑は関係なく、私が勝ち切れなかっただけ」と言いつつも、「代議士とは選挙直後に一度会ったきりで、その後は連絡もないです。次の都議選を目指す方向ですが、先のことはまだ不透明。遅くとも10月からは何か仕事を探して働かなければ」と複雑な心境を吐露する。
博友会関係者は「下村氏の当事者意識のなさは今に始まった話ではない」としてこう語る。
「2年前に文春が下村氏の政治献金問題を報じた時の事後対応も同様でした。学習塾の経営者出身の下村氏は、東京に拠点を置く政治団体の博友会だけでなく、塾業界などの支援を受けて全国に6つの博友会を立ち上げました。これが政治資金規正法に反していると国会でも追及を受け、下村氏は改善策を公言しました。ところが、その後は地方の博友会の活動は休止して放置したままです。今まで下村氏を支えてきた地方の塾経営者らへのフォローもありませんでした」
博友会の会員でもある学習塾関係者がこう嘆く。
「下村氏が官房副長官だった当時、塾業界からジャブジャブと献金を貰っているなどとメディアに批判され、下村氏は『ジャブジャブというほど貰っていない』などと言って、一部で顰蹙を買っていました。文科大臣になってからは博友会の幹事会で、『下村大臣を総理大臣に! 万歳!』という恒例の掛け声とともに散会するほど期待を寄せていましたが、不遜な態度のせいで、次第に塾業界とも距離ができつつあるのです」
今や総理候補どころか、「小池百合子都知事の人気が続けば、次期衆院選での当選も危うい」(前出・自民党関係者)状況だという。
下村事務所に改めて一連の疑惑について質したが、「東京地検特捜部に告発がなされており、コメントは差し控えさせていただきます」と書面で回答した。
驕れる者は久しからず、ということか。
(「週刊文春」編集部)