<当社の翻訳方針をご紹介しています。>
【発明を実施するための形態】(DESCRIPTION OF THE EMBODIMENTS)では、次のことに留意して翻訳しています。
●定型句を入れる
冒頭に次のような定型句を入れています。
The embodiments will now be described with reference to the accompanying drawings, wherein like reference numerals designate corresponding or identical elements throughout the various drawings.
ちなみに、私が勤めていた米国特許事務所では、このような定型句を”boilerplate“と呼んでいました。
●“the embodiment of”を加える
以前の記事「「本発明の~」は~according to the embodiment of the present invention」で述べたように、「本発明の(に係る)~」は、“the embodiment of”を加えて”according to the embodiment of the present invention”とし、「本発明の一実施形態の(に係る)~」という意味になるようにしています。
●要素には冠詞を付ける
参照番号の付いた名詞には冠詞を付けないというやり方もありますが、弊社では冠詞を付けるようにしています。初出の名詞は”a resin molding machine 101″のように不定冠詞を付け、それ以降は”the resin molding machine 101″のように定冠詞を付けています。複数形の名詞は初出で無冠詞、2回目以降では“the”を付けます。
●複数の実施形態間で共通する要素の冠詞
第2実施形態(Second embodiment)以降で、第1実施形態(First embodiment)と同じ要素が出てきた場合、基本的には“the”を用いてその要素を導入しています。例えば、”device 100″が、First embodimentとSecond embodimentの両方に出てくる場合、Second embodimentでは初出でもthe device 100としています。ただし、First embodimentと内容がかなりかけ離れていたりして、“a”を使用した方が「しっくりくる」場合は、“a”を使用するなど、臨機応変に対応しています。
●“comprise”を使わない
DESCRIPTION OF THE EMBODIMENTSでは、クレーム用語である“comprise”を絶対に使わないようにしています。クレームで“comprise”が使用されている箇所と対応する表現などがある場合は、【発明の開示】(サマリの記載方法)の場合と同じように、“comprise”を“include”、“be made of”、“contain”などに置き換えています。
例:
サンプリング装置1aは、さらに、サンプリング部2、サンプリング用パルス発生部3、A/D変換器4、間引き手段5、トリガ信号発生部6、パラメータ設定部9から構成される。
米国特許翻訳社訳例:The sampling apparatus 1a further includes a sampling unit 2, a sampling pulse generating unit 3, an A/D converter 4, a thinning device 5, a trigger signal generating unit 6, and a parameter setting unit 9.
ただし、「~から構成される」の訳としてよく見かける”be composed of”は使用しないようにしています。これは、限定的性格の強い“consists of”、“consists essentially of”と同義に解釈されるおそれがあるためです(AFG INDUSTRIES V. CARDINAL IG (Fed. Cir. 2001))。AFG INDUSTRIES V. CARDINAL IGはあくまでもクレーム表現に関しての判例ですが、弊社では念のためクレーム以外でも“be composed of”は使用しないことにしています。
●図面の参照表現
図面への参照表現は、次のようにしています。
-「図~に示すように、」⇒ as shown in FIG. -,
-「図~を参照して、」⇒ referring to FIG. -,
-「図~に戻って、」⇒ referring back to FIG. -,
※弊社の「英文明細書マニュアル」の詳細については、英文明細書マニュアルをご覧ください。
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