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「われわれの民族教育は正当」悪夢一転、チマチョゴリ女子も感涙…独裁称賛に公金支出を許した朝鮮学校訴訟判決の中身
衝撃事件の核心更新「すべての意志ある人が質の高い教育を受けられる国を目指していこうではありませんか。このために、財源をきちんと確保しながら、子ども手当の創設、高校の実質無償化、奨学金の大幅な拡充などを進めていきたいと思っております」
同年10月、政権交代を果たした民主党の鳩山由紀夫首相(当時)は所信表明演説でこう述べている。ただ、鳩山氏が掲げたこうした友愛的政策、特に朝鮮学校を含めて無償化の対象とすることには同じ党内からも反発の声があった。
21年末には、中井洽(ひろし)拉致担当相(同)が「(北朝鮮に)制裁をかけていることを十分考慮してほしい」として、川端達夫文科相(同)に朝鮮学校の除外を要請しており、結局、22年4月の無償化法施行時は適用が見送られた。
同年11月には北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃が発生し、菅直人首相(同)が朝鮮学校の審査凍結を指示している。
菅首相は23年8月に審査再開を指示するが、結論が出ないまま民主党は下野。24年12月に誕生した安倍晋三首相の自公政権が朝鮮学校を無償化対象とするために必要な文科省令の規定を削除(争点となった省令改正)し、朝鮮学校10校を不指定としていた。
「平和な社会」呼びかけるべき相手は…
「行政の不当な差別行為を司法が取り消す画期的な判決だ」「われわれの民族教育は正当であり、民族教育は法的保護に値する権利であることが証明された」
7月28日。大阪訴訟の閉廷後に大阪市内で開かれた原告側の記者会見では、怒りを表明した広島訴訟とは一転して、大阪朝鮮学園の声明が朗々と読み上げられた。
保護者の1人は涙ながらにこう訴えた。
「良識のある日本のみなさま、同じ子を持つ親として、ともに偏見や差別のない、憎しみのない、いがみ合いのない、平和な社会をこれからともに目指していきませんか」
原告が歓喜にわいた同じ日の深夜、北朝鮮からはまたしても弾道ミサイルが放たれ、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。まず最初に「平和な社会」を呼びかけるべき相手はだれなのか。
国は8月10日、大阪地裁判決を不服として控訴。広島訴訟ではこれに先立つ1日、全面敗訴の原告側が控訴している。高裁レベルではどのような判断が下されるだろうか。