岩手にお住まいの種苗業を営んでいる方から
「長谷川さんは日本の農業の未来についてどのようにお考えなのか?」
というご質問を頂いた。

これはもう何度も同じことを書いて生きているので繰り返しになるのだが「勿体ない」の一言に尽きる。

日本は「勿体ない」があまりにも多すぎる。
これは教育文化的な背景に既存する。日本人は「プレゼンテーション能力」が絶望的に足りない。義務教育時代から、欧米諸国と同じように「トーキング」「ディベート」などの授業を積極的に取り入れていくべき。あまりに「交渉」と「アピール」が弱すぎるのではないかと感じている。

話がそれるが…例えば私の住んでいる千葉市。
素晴らしい住環境。この環境下で都内まで30~40分。しかも妥当な物価。

普通に考えて、人口が増え続ける東京の近郊にある以上、千葉市はどんどん成長し人口が増えているものかと勝手に思っていたが、調べてみると…10年近く子供の数が減少し続けていることが分かった。

単純にこれは政治の失敗。
と言うか政治家の失敗。千葉市の政治家は全員、真剣に反省すべきこと。何のアピールも出来ていない。
15年も連続で国会議員に選んでもらってる民進党議員などは一度真剣に猛省した方がいい。何の役にも立っていない。こんな存在感ゼロの人間に年間1億円の税金が使われ…(以下略)。



さて、質問にお答えする。

日本人は「とってもいいものがあるのにそれをアピールしない」ことをまるで「良い事」のように扱う。これは完全に間違い。

「いいもの」は「いい」のであって、それはアピールしないのであれば「ない」のと一緒。
産業もそう。
素晴らしい食文化もそう。
世界に冠たる観光文化もそう。

そんな中で、私がじれったい思いを抱いているのが「農業分野」だ。

知っている方もいるだろうが、日本の農作物は、実は世界的に最高ランクの評価を受けているものがある。例えばイチゴ。日本の農家はバカみたいに露店で安い値段で叩き売りしている。子供たちを呼んでは信じられない値段で「イチゴ狩り」をさせている。

しかし、ある品種のイチゴは海外で日本の数十倍の値段で売買されている。
世界的にこんなにも甘み成分のあるイチゴは存在していないからだ。

日本は「いいものを安く」「お客様は神様であります」という大間違いの文化が根付いている。もちろん良い部分でもあるのだが、どうか間違えないでほしい。
日本の原理原則は「資本主義社会」である。資本主義の大原則は「良いものは高く」「ダメなものは安く」である。これは世界中でそうなのだ。

だってそうだろう。
いいサービスを提供するためには時間も手間もかけている。
その分の対価をもらわなければ割に合わなくなる。割に合わない投資は株主たちに叩きのめされる。普通の話だ。

例えばアメリカで生活すれば分かる話だが、そこら辺のスーパーに「考えられないほど安い日本のコシヒカリ」が売っている。

どういうことか?

日本のコシヒカリは美味しい。それは誰でも知ってる。
なので、アメリカの農家に日本のコシヒカリを作っている農家が種米を「提供」したのだ。
アメリカは土地はある。金もある。
なので大量生産。
毎年アメリカでは新米のコシヒカリが市場に出回っている。超安い。


なにやってんだ(怒)、と。


そういうのは、ちゃんと高い金額で売ればいいのだ。ネゴシエートの達人のような弁護士を雇い、こちら側も利益を得られるように交渉するのが筋だ。世界的にそれが普通なので、別に向こうもちゃんと利益が計算できるのであれば金は払う。それで関係も悪化しない。

「提供」してどうする!「提供」して!!

日本は終始このパターンだ。
「いい人」は食いつぶされて終わりだ。
きっといつか尖閣諸島も奪われる。竹島と同じ運命だろう。
ちゃんと「交渉」するのは負担にはなるが、生産者の責任でもある。そこまで品種改良に汗をかいて来てくれた方々への礼儀だ。

私は日本には成長戦略の可能性がいくつか残されていると判断している。

まずは「観光資源」。これは世界的にすでに評価されている。
そして「食文化」という資源。こちらももはや説明の必要がないレベルで世界的に評価されている。世界中でどこに行っても日本食は食べられる。

その基盤を支えているのが農業だ。
信じられないほどの「ソフト」を持っているにもかかわらず、それをうまく活かすための「ハード」が整っていない。
日本国内ではもう面倒くさいのでこれでいい。
が、対外国に対して今のままではいけない。
日本の農作物ほど繊細で見事なものはなかなかない世界の富裕層相手に「Japanese vegetables」は必ず勝負になるが、マーケティングもマネタイズも広告戦略も全くなっていない。

理由は簡単。

農家の方々がやってるからだ。

「農作物を育てる」能力と「営業力」「広告宣伝力」「ネゴシエーション」「企画・立案」「運営」などの能力は全く別物だ。それぞれのプロをちゃんと雇い、世界展開すべきだと思う。
電通のようなコネだらけの日本にしか役に立たない連中ではなく、ちゃんとアメリカの大手の広告代理店にちゃんとした金を支払い、日本の「Japanese vegetables」をブランディングして展開すれば、極めて優秀な商品化できるポテンシャルがある。

単純に言うと…今、世界でトヨタ車をはじめとする日本車が席巻しているが…
将来的には日本の農作物の未来にはそのポテンシャルがある
、というのが私の見方。

それくらい日本人は「モノづくり」が上手い。
そして、絶望的に「商品のアピール力」が下手。ど下手。

農家の方々に言いたい。
今、日本人の若者たちは農家から離れていってるそうだが…




笑っといてやれ。




ITなどは机に座って楽かもしれないが、海外の天才たちにそんなに対抗できるわけない。
これから劇的に伸びる可能性があるのは絶対に農作物の方だ。海外展開すれば絶対に勝負できる。そのソフトは確実にある。

私が今、もし起業してビジネスをやるのであれば農業分野は絶対に視野に入れる。そんな分野。

この意見がリップサービスなどでないことは、海外に住んだことのある日本人であれば誰でも知っていること。
以上が私の「日本の農業」への意見。

農家の皆様方、いつか仕事が一緒に出来る日が来れば…絶対に今まで見たこともないような展開を一緒にしよう!私で出来る助言であれば何でもする。