「ダークトライアド」という概念に出会って考え込んでいます。
「ダークトライアド」とは人の邪悪な性質を表す3つのパーソナリティー。ナルシシズム、マキャベリズム、サイコパシーを総称して言います。
このブログでは過去にナルシシズムに凝っていたりサディズムについても少し調べたりしました。
「承認」という、明らかに善人の武器であるものを掲げて売るなかで、否応なしにそれにはまりきらない人格の人びとにも出会いました。
「悪」が少しずつ現代心理学の力で明らかになっていきます。研究によればこうした邪悪な性質の持ち主は前世紀後半から今世紀初めにかけて少しずつ増えているそうです。若い人たちに増え、とりわけ女性の伸び率が高いそうです。
(でも、犯罪発生率は減っているんですけどね。)
「悪」は否応なくあります。またわたしたちの中にも「悪」を賛美し、魅力的だと感じる感性がたしかにあります。
わたし自身は正直、「悪」については苦手意識をもっていました。できればお近づきになりたくないほうです。
ですが今は、「悪の性質」についてもっと知りたいと願います。
「悪」について理解することは、ひょっとしたら究極の「赦し」につながるのかも?と思いました。もちろん自分自身の欲得も希望も度外視することができれば、ですけれど。
「ダークトライアド」については和文Wiki はいささか情報不足なので、英文Wikiを全訳してみました。(「続き」参照)
元の記事が印刷して本文だけで10Pになる長文ですので、訳文も長文になります。誤訳等ありましたらご指摘いただければ嬉しく思います。
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以下、英文Wikipedia "Dark Triad"より。下線、太字は筆者。またところどころ行間にツッコミが入っています
ダークトライアド(Dark Triad)
ダークトライアドは3つの人格特性に焦点を当てた心理学の概念である。その3つとは:ナルシシズム、マキャベリズム(英文ではmachiavellianismマキャベリアニズム)、サイコパシーである。「ダーク(暗い、暗黒の)」という語を用いるのは、これらの特性をもつ人々は邪悪な性質をもっているという含意がある。
ダークトライアドに関する研究は応用心理学とりわけ法の執行の分野、また臨床心理学、ビジネスマネジメントで用いられる。これらの特性で高スコアになったものは犯罪を犯したり、社会的苦痛をもたらしたりする可能性が高い。またとりわけ組織のリーダー的立場にあれば、組織に重大な問題を発生させたりする可能性が高い(詳しくは職場でのサイコパシー、ナルシシズム、マキャベリズムを参照)。
3つのダークトライアド特性はいずれも概念上は別々のものである。ただし経験的エビデンスによれば、これらは重複して現れる。これらは無慈悲で操作的な人間関係スタイルと関連する。
・ナルシシズムの特徴:尊大さ、プライドの高さ、利己主義、それに共感の欠如。
・マキャベリズムの特徴:他人を操作・搾取する、道徳規範への嘲笑と無視、自己の利益と人を欺く行為への熱中。
・サイコパシーの特徴:反社会的行為、衝動性、身勝手さ、思いやりのなさ、残忍さの継続的出現。
―マキャベリズムの人は人を搾取するのだ。「搾取する性格」って本当にあるんですね。日常生活のなかで、「それは搾取だ!」という言葉が被害者のあなたにひらめいたとしても、あなたが左翼的なわけではありません。
―心理学で「操作はいけない」「いや、よい操作と悪い操作がある」と時折論争になりますが、マネジメントという作業は操作のかたまりなので、そんなことを言っていられない。でもその人の性格に起因する悪質な操作というのはあるのかもしれない。たとえば自殺した角田美代子被告のような――
歴史
グラスゴー・カレドニアン大学で行われた因子分析によれば、5つの人格特性(ビッグ・ファイブ)の中の「協調性」が低いことは、ダークトライアドと最も強い関連がある。また「神経症傾向」と「誠実性」の欠如はダークトライアドの一部の特性と関連した。
1998年、McHoskey、Worzel、Szyartoは、正常なサンプルでのナルシシズム、マキャベリズム、サイコパシーは程度の差こそあれ取り換え可能だと主張し、論議をよんだ。Delroy L.Paulhus とMcHoskeyはその後のアメリカ心理学会(APA)会議でこの見方について論争し、科学文献の中で高まり続ける研究の熱気と質をさらに鼓舞した。Paulhus とWiliamsは、3つの特性の間に十分な行動上、性格上、認知上の違いがあることを発見した。これらは別々の構成物であることを示唆した。彼らは、これらがなぜ、どのように重複して現れるのかを解明するにはさらなる研究が必要だと結論づけた。
起源
「氏か、育ちか(nature versus nurture)」という長い論争のたねになっていたテーマがダークトライアドに応用された。ダークトライアド特性の起源は何かを解明する研究が開始された。「ビッグ・ファイブ」の研究と似た方法で、ダークトライアド特性の成長に生物学(氏)と環境因子(育ち)の相対貢献度を調べるため、実証研究が行われた。
研究者たちが性格に対する遺伝因子と環境因子の相対的影響度(加えてより一般的な個体差)を詳細に調査した試みの1つに、「ふたご研究」の名の大まかにグループ分けされた広汎な研究手法がある。例えば、あるふたご研究のアプローチでは、研究者らは一緒に育てられた一卵性(MZ)のそっくりのふたごを、一緒に育てられた二卵性(DZ)の、すなわち普通のきょうだいと同様のふたごと比較した。このデザインではどちらのタイプのふたごも一緒に育てられたので、どのふたごの組も100%共通の環境にあったとみなされた。一方、一卵性のふたごは100%共通の遺伝子をもっており、それに対して二卵性のふたごは50%しか遺伝子を共有していないわけである。このため、どの性格特性をとっても、一卵性のペアでの相関(環境と遺伝子いずれも100%共通する)を得たあと、そこから二卵性のふたごでの相関(環境を100%、遺伝子を50%共有する)を差し引けば遺伝子の影響度を得られるわけである。この差は遺伝子の影響度の50%を示すものであり、2倍にすれば、100%の遺伝子の影響度を示す数字となる。これは遺伝率(遺伝率係数とも呼ばれ、h2と表記する)の指標を得る1つの道筋である。同様に、MZ-h2は、共通の環境が及ぼす影響の推定値とみなすことができる。最終的に、個体差と環境は行動の総量の主原因であると考えられるため、h2の和および共通の環境の影響度を1から差し引くと、その答えは特異な、あるいはなんの共通性もない環境の影響度と同等になる。
生物学
ダークトライアドの特性はいずれも、実質的な遺伝学的構成要素をもっていることがわかった。これまでに観察されたダークトライアド間の関連性およびダークトライアドとビッグ・ファイブ間の関連性は、遺伝子的な個体差に強く決定される。このうちサイコパシー(h2=.64)とナルシシズム(h2=.59)はいずれも相対的に大きな遺伝的構成要素をもち、マキャベリズム(h2=.31)の遺伝性はそれほど大きくない。
環境
生物学的因子と比べ、環境因子の影響度は微妙であり、ダークトライアド特性の発達に関して個体差の原因をつくる程度は小さい。ただし有意な差をつくりだしてはいる。共通点のないあるいは特異な環境因子(上記「起源」の項の末尾に定義と数学的微分)の影響は、3つのダークトライアド特性における有意な分散値(ナルシシズム=.41、マキャベリズム=.30、サイコパシー=.32)をもたらす要因となっており、このうちマキャベリズム(r=.39)のみが、共通の環境因子に有意に関連することがわかっている。いずれもより具体的な研究が必要だが、一部の学者は後者の知見について、この特性(マキャベリズム)が前章でみたように比較的遺伝性の低い特性であることも併せ考えると、マキャベリズムは経験の影響をもっとも受けやすいダークトライアド特性であるということを示すと解釈している。マキャベリズムの可塑性という考えは少なくとも、遺伝因子に起因する相違が少なければ少ないほど他の因子に帰すべき相違が多いこととして理解できなくもない。ここで「他の」因子とは伝統的に環境因子または事実上、経験因子とよばれるものとされてきた。
―マキャベリズムは遺伝より環境由来なんだそうです。周囲にそういう人格の人が多くいてお手本を示しているとそうなる、ということですかね。「コン・ゲーム」とかね。
進化論
ダークトライアド特性の発達の道具とよばれ、生物学的因子と環境因子の双方に影響を与えてきた可能性のある第3の説がある。それは進化説である。進化論的な行動はダークトライアド人格の発達の予測因子となるだけではなく、そうした性格の開花をも予測する。確かに、ダークトライアド人格を呈する人は社会できわめて大きな成功を収める。しかしこの成功は多くの場合短命に終わる。ダークトライアド特性をめぐる進化論上の議論の主なものは、交配(mating)戦略に重きを置く。この議論の焦点は生活史戦略(life history strategy)である。生活史戦略は、個体により繁殖戦略が異なると提起する。交配に重きを置いた戦略は「速い(放縦な)人生」戦略と呼ばれ、養育(parenting)に重きを置いた戦略は「遅い繁殖」戦略と呼ばれる。ダークトライアド特性は速い生活史戦略に関連することを示す証拠はいくらか存在するが、中には矛盾した結果もみられ、3つのダークトライアド特性のすべてがこの戦略に関連するわけではない。3つの特性をより詳細にきめ細かいレベルで分析することによってこれらの矛盾した結果を説明しようと試みる詳細な研究アプローチが行われている。研究者たちは、ダークトライアドの一部の構成要素は「速い人生」戦略に関連するが、他の構成要素は「遅い」繁殖戦略に関連しているとみる。
―速い繁殖と遅い繁殖。企業や野球チームにもありますね。育てないでよそからとってくるだけ、あるいは育てるのが得意。優秀な人をどんどん採用しては離職させる人材戦略というのもありますね。
―承認をするリーダーは明らかに「遅い繁殖戦略」のほうです。
―ただし彼らの中に二枚舌のマキャベリアンが紛れていないとも限らないと思います。IQが高くて長期的にはそのほうが繁栄するのだと理解でき、自分の不誠実に振る舞いたい衝動を抑えることができる人なら、承認と言う美徳を実践できるかも。
無症候性次元と(人格)障害
一般に、臨床医はこれらの人格特性を病的なものとみなし、治療を必要とするものとして、また本質的に望ましくないものとして取り扱う。例:社会的に非難されるものとして、あるいは個人的に非生産的なものとして。しかしながら、適応的特性が非適応的特性を伴って現れることもあると議論する者もいる。上記に見たような進化論説では、ダークトライアドを異なる交配戦略を示すものとみなしているわけである。これらの特性の遺伝子プールの中での発生頻度から考えて、少なくとも局所的な適応ができるとみたほうがよさそうだ。
これらの特性の日常的なバージョンは学生とコミュニティのサンプルでもみられる。日常生活を何とか送っている人々の中にも高いレベルのダークトライアド特性の持ち主がいる。研究によればこれらのサンプル
「ダークトライアド」とは人の邪悪な性質を表す3つのパーソナリティー。ナルシシズム、マキャベリズム、サイコパシーを総称して言います。
このブログでは過去にナルシシズムに凝っていたりサディズムについても少し調べたりしました。
「承認」という、明らかに善人の武器であるものを掲げて売るなかで、否応なしにそれにはまりきらない人格の人びとにも出会いました。
「悪」が少しずつ現代心理学の力で明らかになっていきます。研究によればこうした邪悪な性質の持ち主は前世紀後半から今世紀初めにかけて少しずつ増えているそうです。若い人たちに増え、とりわけ女性の伸び率が高いそうです。
(でも、犯罪発生率は減っているんですけどね。)
「悪」は否応なくあります。またわたしたちの中にも「悪」を賛美し、魅力的だと感じる感性がたしかにあります。
わたし自身は正直、「悪」については苦手意識をもっていました。できればお近づきになりたくないほうです。
ですが今は、「悪の性質」についてもっと知りたいと願います。
「悪」について理解することは、ひょっとしたら究極の「赦し」につながるのかも?と思いました。もちろん自分自身の欲得も希望も度外視することができれば、ですけれど。
「ダークトライアド」については和文Wiki はいささか情報不足なので、英文Wikiを全訳してみました。(「続き」参照)
元の記事が印刷して本文だけで10Pになる長文ですので、訳文も長文になります。誤訳等ありましたらご指摘いただければ嬉しく思います。
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以下、英文Wikipedia "Dark Triad"より。下線、太字は筆者。またところどころ行間にツッコミが入っています
ダークトライアド(Dark Triad)
ダークトライアドは3つの人格特性に焦点を当てた心理学の概念である。その3つとは:ナルシシズム、マキャベリズム(英文ではmachiavellianismマキャベリアニズム)、サイコパシーである。「ダーク(暗い、暗黒の)」という語を用いるのは、これらの特性をもつ人々は邪悪な性質をもっているという含意がある。
ダークトライアドに関する研究は応用心理学とりわけ法の執行の分野、また臨床心理学、ビジネスマネジメントで用いられる。これらの特性で高スコアになったものは犯罪を犯したり、社会的苦痛をもたらしたりする可能性が高い。またとりわけ組織のリーダー的立場にあれば、組織に重大な問題を発生させたりする可能性が高い(詳しくは職場でのサイコパシー、ナルシシズム、マキャベリズムを参照)。
3つのダークトライアド特性はいずれも概念上は別々のものである。ただし経験的エビデンスによれば、これらは重複して現れる。これらは無慈悲で操作的な人間関係スタイルと関連する。
・ナルシシズムの特徴:尊大さ、プライドの高さ、利己主義、それに共感の欠如。
・マキャベリズムの特徴:他人を操作・搾取する、道徳規範への嘲笑と無視、自己の利益と人を欺く行為への熱中。
・サイコパシーの特徴:反社会的行為、衝動性、身勝手さ、思いやりのなさ、残忍さの継続的出現。
―マキャベリズムの人は人を搾取するのだ。「搾取する性格」って本当にあるんですね。日常生活のなかで、「それは搾取だ!」という言葉が被害者のあなたにひらめいたとしても、あなたが左翼的なわけではありません。
―心理学で「操作はいけない」「いや、よい操作と悪い操作がある」と時折論争になりますが、マネジメントという作業は操作のかたまりなので、そんなことを言っていられない。でもその人の性格に起因する悪質な操作というのはあるのかもしれない。たとえば自殺した角田美代子被告のような――
歴史
グラスゴー・カレドニアン大学で行われた因子分析によれば、5つの人格特性(ビッグ・ファイブ)の中の「協調性」が低いことは、ダークトライアドと最も強い関連がある。また「神経症傾向」と「誠実性」の欠如はダークトライアドの一部の特性と関連した。
1998年、McHoskey、Worzel、Szyartoは、正常なサンプルでのナルシシズム、マキャベリズム、サイコパシーは程度の差こそあれ取り換え可能だと主張し、論議をよんだ。Delroy L.Paulhus とMcHoskeyはその後のアメリカ心理学会(APA)会議でこの見方について論争し、科学文献の中で高まり続ける研究の熱気と質をさらに鼓舞した。Paulhus とWiliamsは、3つの特性の間に十分な行動上、性格上、認知上の違いがあることを発見した。これらは別々の構成物であることを示唆した。彼らは、これらがなぜ、どのように重複して現れるのかを解明するにはさらなる研究が必要だと結論づけた。
起源
「氏か、育ちか(nature versus nurture)」という長い論争のたねになっていたテーマがダークトライアドに応用された。ダークトライアド特性の起源は何かを解明する研究が開始された。「ビッグ・ファイブ」の研究と似た方法で、ダークトライアド特性の成長に生物学(氏)と環境因子(育ち)の相対貢献度を調べるため、実証研究が行われた。
研究者たちが性格に対する遺伝因子と環境因子の相対的影響度(加えてより一般的な個体差)を詳細に調査した試みの1つに、「ふたご研究」の名の大まかにグループ分けされた広汎な研究手法がある。例えば、あるふたご研究のアプローチでは、研究者らは一緒に育てられた一卵性(MZ)のそっくりのふたごを、一緒に育てられた二卵性(DZ)の、すなわち普通のきょうだいと同様のふたごと比較した。このデザインではどちらのタイプのふたごも一緒に育てられたので、どのふたごの組も100%共通の環境にあったとみなされた。一方、一卵性のふたごは100%共通の遺伝子をもっており、それに対して二卵性のふたごは50%しか遺伝子を共有していないわけである。このため、どの性格特性をとっても、一卵性のペアでの相関(環境と遺伝子いずれも100%共通する)を得たあと、そこから二卵性のふたごでの相関(環境を100%、遺伝子を50%共有する)を差し引けば遺伝子の影響度を得られるわけである。この差は遺伝子の影響度の50%を示すものであり、2倍にすれば、100%の遺伝子の影響度を示す数字となる。これは遺伝率(遺伝率係数とも呼ばれ、h2と表記する)の指標を得る1つの道筋である。同様に、MZ-h2は、共通の環境が及ぼす影響の推定値とみなすことができる。最終的に、個体差と環境は行動の総量の主原因であると考えられるため、h2の和および共通の環境の影響度を1から差し引くと、その答えは特異な、あるいはなんの共通性もない環境の影響度と同等になる。
生物学
ダークトライアドの特性はいずれも、実質的な遺伝学的構成要素をもっていることがわかった。これまでに観察されたダークトライアド間の関連性およびダークトライアドとビッグ・ファイブ間の関連性は、遺伝子的な個体差に強く決定される。このうちサイコパシー(h2=.64)とナルシシズム(h2=.59)はいずれも相対的に大きな遺伝的構成要素をもち、マキャベリズム(h2=.31)の遺伝性はそれほど大きくない。
環境
生物学的因子と比べ、環境因子の影響度は微妙であり、ダークトライアド特性の発達に関して個体差の原因をつくる程度は小さい。ただし有意な差をつくりだしてはいる。共通点のないあるいは特異な環境因子(上記「起源」の項の末尾に定義と数学的微分)の影響は、3つのダークトライアド特性における有意な分散値(ナルシシズム=.41、マキャベリズム=.30、サイコパシー=.32)をもたらす要因となっており、このうちマキャベリズム(r=.39)のみが、共通の環境因子に有意に関連することがわかっている。いずれもより具体的な研究が必要だが、一部の学者は後者の知見について、この特性(マキャベリズム)が前章でみたように比較的遺伝性の低い特性であることも併せ考えると、マキャベリズムは経験の影響をもっとも受けやすいダークトライアド特性であるということを示すと解釈している。マキャベリズムの可塑性という考えは少なくとも、遺伝因子に起因する相違が少なければ少ないほど他の因子に帰すべき相違が多いこととして理解できなくもない。ここで「他の」因子とは伝統的に環境因子または事実上、経験因子とよばれるものとされてきた。
―マキャベリズムは遺伝より環境由来なんだそうです。周囲にそういう人格の人が多くいてお手本を示しているとそうなる、ということですかね。「コン・ゲーム」とかね。
進化論
ダークトライアド特性の発達の道具とよばれ、生物学的因子と環境因子の双方に影響を与えてきた可能性のある第3の説がある。それは進化説である。進化論的な行動はダークトライアド人格の発達の予測因子となるだけではなく、そうした性格の開花をも予測する。確かに、ダークトライアド人格を呈する人は社会できわめて大きな成功を収める。しかしこの成功は多くの場合短命に終わる。ダークトライアド特性をめぐる進化論上の議論の主なものは、交配(mating)戦略に重きを置く。この議論の焦点は生活史戦略(life history strategy)である。生活史戦略は、個体により繁殖戦略が異なると提起する。交配に重きを置いた戦略は「速い(放縦な)人生」戦略と呼ばれ、養育(parenting)に重きを置いた戦略は「遅い繁殖」戦略と呼ばれる。ダークトライアド特性は速い生活史戦略に関連することを示す証拠はいくらか存在するが、中には矛盾した結果もみられ、3つのダークトライアド特性のすべてがこの戦略に関連するわけではない。3つの特性をより詳細にきめ細かいレベルで分析することによってこれらの矛盾した結果を説明しようと試みる詳細な研究アプローチが行われている。研究者たちは、ダークトライアドの一部の構成要素は「速い人生」戦略に関連するが、他の構成要素は「遅い」繁殖戦略に関連しているとみる。
―速い繁殖と遅い繁殖。企業や野球チームにもありますね。育てないでよそからとってくるだけ、あるいは育てるのが得意。優秀な人をどんどん採用しては離職させる人材戦略というのもありますね。
―承認をするリーダーは明らかに「遅い繁殖戦略」のほうです。
―ただし彼らの中に二枚舌のマキャベリアンが紛れていないとも限らないと思います。IQが高くて長期的にはそのほうが繁栄するのだと理解でき、自分の不誠実に振る舞いたい衝動を抑えることができる人なら、承認と言う美徳を実践できるかも。
無症候性次元と(人格)障害
一般に、臨床医はこれらの人格特性を病的なものとみなし、治療を必要とするものとして、また本質的に望ましくないものとして取り扱う。例:社会的に非難されるものとして、あるいは個人的に非生産的なものとして。しかしながら、適応的特性が非適応的特性を伴って現れることもあると議論する者もいる。上記に見たような進化論説では、ダークトライアドを異なる交配戦略を示すものとみなしているわけである。これらの特性の遺伝子プールの中での発生頻度から考えて、少なくとも局所的な適応ができるとみたほうがよさそうだ。
これらの特性の日常的なバージョンは学生とコミュニティのサンプルでもみられる。日常生活を何とか送っている人々の中にも高いレベルのダークトライアド特性の持ち主がいる。研究によればこれらのサンプル
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