菊村栄(きくむら・さかえ)………石坂浩二
かつてその才能をもてはやされたシナリオライター。認知症になった元女優の妻の介護に疲れ果てていたとき、『やすらぎの郷La Strada』から入居の誘いを受ける。夫婦での移住を決意した矢先、妻があっけなく他界。その部屋でひとり暮らすことを決意し、『やすらぎの郷La Strada』を訪れる。しかし、入居メンバーから次々と難題を持ち掛けられて…。(※役者名50音順)
白川冴子………浅丘ルリ子
『緑の天使』でデビューした“お嬢”の愛称で呼ばれている往年の大女優。栄とは『ゴールデン街の天使』の打ち上げ以来20年ぶりに再会。栄が入居している203号に以前入っていたが幽霊騒動のため現在の108号室に移る。浮世離れした終末設計のため預金残高は危険水域に達している。及川しのぶ………有馬稲子
かつて日本人歌手として初めてカーネギーホールでコンサートを開いたシャンソンの女王。308号室。声が出なくなって歌をあきらめ、栄のドラマにも出演したことがあるが、芝居がダメで酷評を受けた。バンドのピアニストだった貝田英信は30年近くになるソフレ(添い寝フレンド)。水谷マヤ………加賀まりこ
16歳の時に『青い果実』でデビューした大女優。105号室。若い頃ぜいたくを散々してきたので何もない暮らしを好み、生活の無駄は全部捨てるという思想に凝っている。昔から相手の心の中を読むことに長けており、そのためか男は長続きしなかった。口調はきついが決して悪気はない。名倉みどり………草刈民代
『やすらぎの郷』創立者であり元大手芸能プロダクション『加納グループ』の総帥・加納英吉の娘で、『やすらぎの郷』総務理事。太平洋航空の元キャビンアテンダントで、夫は理事長の名倉修平。入居者たちへ来た仕事のオファーの管理もしている。栄の妻・律子の弔問にも足を運ぶ。三井路子………五月みどり
『夜、咲く花』で一世を風靡し、歌手から女優へ転身。304号室。90年代に栄の書いた『可愛い女』でギャラクシー賞をとった。霊感があり、栄の203号室の前の住人であり亡くなった女優・栗山たかこと共に考案した“女の三つのターニングポイント”をテーマにした物語を創作。松岡伸子………常盤貴子
『やすらぎの郷』のコンシェルジュで入居者の世話を全て仕切っている責任者。名倉みどりと同じく元キャビンアテンダント。太平洋航空が一時破綻しかけた時、『やすらぎの郷』にリストラされてやってきた。入居者のプライバシーを守ることが何よりの目的。父親は元財務官僚。名倉修平………名高達男
元明北医大の院長で『やすらぎの郷』理事長。名倉みどりの夫で、『やすらぎの郷』創立者の加納英吉の義理の息子にあたる。施設内にある病室棟で、日常の健康診断をふくめて週5日つめている。曰く、「無理してストレスを溜めるより好きにやる方が健康に良い」。井深凉子………野際陽子
栄の妻・律子の親友で、栄の書いた『老女組合』に出演した女優。208号室。役者時代の“見られる暮らし” に飽きてやすらぎの郷で晩年を送ることを決めた。“濃野佐志美”のペンネームで、施設内で見聞きしたネタをもとに小説を書いている。高井秀次と昔同棲していたことがある。高井秀次………藤 竜也
男女ともに惚れる寡黙な元任侠スター。美大出身で、様々な女優のヌードを一本の樹にデフォルメした絵を描いてきた通称“マタタビスター”。どんな権威も恐れず、しかし下積みの目下の人間には真摯に礼儀正しい。様々な女優と関係を持ち、井深凉子とは同棲していた過去がある。菊村律子………風吹ジュン
栄の亡き妻。舞台女優として劇団に属し、その天然さが愛され、“トロコ”という愛称でブレーク。しかし撮影の事故で腰を痛めてから体力が落ち、ある舞台で台詞が全く出ずに芝居を中断させてしまったことを機に女優業を引退。晩年は認知症が発症してしまい、金婚式を前に他界。財前ゆかり………松岡茉優
夕方4時から夜の9時半まで『やすらぎの郷』内で営業しているバー・カサブランカのバーテンダー。いつも笑顔で周囲を和ませることから愛称は“ハッピー”。父親は漁師をしており、祖父はやすらぎの郷の一つ山向うにある小さな村で『山家』という料理屋を営んでいる。真野六郎………ミッキー・カーチス
昔一時売った個性派俳優。通称マロ。101号室に居住。『山から谷へ』でギャラクシー賞をとり世間にチヤホヤされるも、その後賭博行為で何度も捕まり、しばらく名前をきかなくなっていた。女優陣のいろいろなスキャンダル事情に詳しく、大の噂好き。大納言とよく共にしている。九条摂子………八千草薫
戦前からの生き残りの大スターで『やすらぎの郷』最初の入園者の一人。乙女のような清純さを持ち続ける永遠のマドンナ的存在で“姫”の 愛称で親しまれている。栄の執筆した『祗円物語』で主演女優賞を受賞。第二次大戦で軍隊にとられた千坂監督こそ彼女の永遠の恋人だと囁かれている。岩倉正臣………山本 圭
東日テレビの大納言シリーズで70年代、飛ぶ鳥を落とす勢いだったスター。201号室に居住。新大納言シリーズが当たらなくなり、中納言シリーズで再びブレークし、少納言シリーズで決定的にこけて、その後麻布に『大納言』という居酒屋を出すが、それも潰れて世の中から消えた。白鳥洋介………上條恒彦
有名なトランペッターで作曲家。菊村栄と同年で同じ頃デビューし、いくつもの栄が手掛けたドラマの音楽を作曲してきた。アメリカでスタジオを開いていたが、妻・ジュディが亡くなったことで気力を失い、急に日本が恋しくなったことで帰国し『やすらぎの郷』に入居。榊原アザミ………清野菜名
菊村栄がかつて心を惑わされた女優・安西直美の孫。容姿は若い頃の祖母の生き写しで、現在小説家を目指している。白川冴子を通じて栄と連絡を取り合うようになり、東日本大震災で亡くなった祖母を題材にした「手を離したのは私」というシナリオを栄に見てもらう。「やすらぎの郷」入居者たち
「やすらぎの郷」で働く人々