イラク軍は、過激派組織ＩＳが最大の拠点としてきたイラク第２の都市モスルを９か月にわたる奪還作戦の末、先月、解放しました。

そのさなかのことし５月、ＩＳとの関係を疑われて拘束された住民にイラク軍の兵士が暴行を加えたり拷問で死亡させたりしていた、とドイツの有力誌シュピーゲルが報じたため、イラク政府は調査委員会を設けて実態を調べていました。

イラク首相府は１７日、調査の結果、報道には不正確な部分もあったものの一部の部隊による人権侵害が確認されたとして、関係者をすでに拘束し、今後、裁判で罪を問うと発表しました。

モスルの住民の多くはイスラム教スンニ派で、シーア派主導の政権から不当な扱いを受けている、と以前から根強い不信感を持っています。
そうしたなかシーア派主導の政府軍による暴行が確認されたことで、宗派対立がさらに深まり、ＩＳとの戦いで大きな被害を受けたイラクの復興の妨げになることも懸念されます。