これだけは伝えておくか。
先日の晩若い演出家に伝えたこと。

これと同じことを「紳竜の研究」で紳助兄やんがいみじくも言っている。
「一分野一箇所」。

先日の晩も映画史の話になって、「小津安二郎って知ってる?」「いやぁ、名前だけは・・・」と言うもんだから、伝授しておいた。
「一監督一本」の法則。

なんか教科書に載ってそうやな、という監督は、必ず一本だけ観るようにする。
しかもちょっとマイナーな作品がいい。
市川崑なら『東京オリンピック』あたりがいい。
黒澤明なら『赤ひげ』くらいでいい。
んで業界人と映画監督トークになったら、
「市川崑ですか?『東京オリンピック』観ましたが、長かったですねぇ」

これで相手の印象が変わる。
「こいつ、映画知ってる」。
一種の印象操作にすぎないのだが、これは大きい。

あと、ひとりだけやたらめったら詳しい監督を決めておく。
三池崇史は本数が多すぎるので、寡作の作家でいい。
「もう僕は塩田明彦監督が大好きで!『害虫』と『カナリア』なんか最高ですよ!ただ『黄泉がえり』はイマイチでしたけどね!」

これでもう相手の印象は固まる。
「こいつ、マニアだ」。

マニアでも何でもない、他は一切観てないのだ。


例えば僕は最近のアメリカ映画を一切観ない。
良く竹内さんから「観た方がいいですよ?」と言われても「いや、観る必要がありません」と突っぱねる。
「『スターウォーズ』はエピソード4.5.6以外は認めない!」と言ったら、なんか納得しちゃうのね。
本当はめんどくさいから観てないだけなんだけど。

その分だけチャップリンとか、グリフィスの『イントレランス』観たら最近のハリウッド映画なんて観てられませんよ!とか言ってたら、相手は黙ってしまうのだ。
本当はめんどくさいだけなのだが。


「不勉強」だと思われないテクニックである。
若い演出家のみなさん、参考にしてください。