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【社説】

最低賃金改定 生活できる額へ速く

 二〇一七年度の最低賃金の引き上げ幅は二十五円となる。時給で決める方式となった〇二年以降最大だった昨年度を超え3%のアップ。だが、非正規労働で生活するには、とても十分とはいえない。

 まず、言っておきたいことがある。政権は最低賃金の引き上げでアベノミクスの下支えを狙う。だが、これを法律で定めるのは憲法二五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するためだ。それを忘れてほしくない。

 最低賃金は、企業が払う賃金の最低額だ。働くすべての人に適用され、これを下回る賃金は違法となる。労使が参加する国の中央最低賃金審議会が毎年、改定の目安額を決める。改定はいわば非正規労働者の“春闘”といえる。

 審議会が示した目安額(時給)は、全国平均で二十五円引き上げ、八百四十八円とする。安倍政権が三月に公表した「働き方改革実行計画」に掲げる「年3%程度ずつ引き上げ時給千円を目指す」との方針に沿った決着だった。

 二十五円の引き上げは昨年度を上回った。安倍政権は引き上げを求めた成果と胸を張るが、目標の千円まで開きがある。政府は毎年のように「千円」を目標に掲げるが、実現への歩みは遅い。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査ではパート労働者の時給は〇八年から既に千円を超えている。業種や地域によっては、千円実現が十分可能なのではないか。

 八百四十八円では、普通に働いても年収は二百万円に届かない。国税庁の民間給与実態統計調査では、年収二百万円以下は約千百三十万人いる。民間労働者の二割強が、この収入で踏ん張って生活している。引き上げがこのままのペースでは千円到達にはあと六年ほどかかる。非正規の人の正社員化を進めることは無論として、この賃金で家計を支える非正規労働者が増えていることを考えれば、一日も速く目標額に到達すべきだ。

 国は都道府県を四ランクに分けランクごとに目安額を決めた。現在、東京は九百三十二円で、最低額の宮崎、沖縄との差額は二百十八円。だが、今改定ではさらに四円差が広がる。審議会で労働側は、三年以内に最低額を八百円超にするよう要望した。地域差の縮小も同時に実現したい。

 賃金アップには、経営体力の弱い中小零細企業の業務効率化などへの支援や、大企業の下請けに対する不当に低い取引価格など下請けいじめの適正化を進めたい。 

 

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