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【社会】

終戦の日 不戦の誓い次世代へ 毎日「平和のブログ」10年目

 七十二年前の八月十五日、東京都江東区の永井至正(よしまさ)さん(85)は、旧満州(中国東北部)から引き揚げる途中で、解放に沸く朝鮮の平壌駅構内にいた。兄を特攻隊で失い、命からがら日本にたどり着いたかつての軍国少年は戦後「再び戦争はさせない」と強い思いを抱いた。永井さんは戦争体験を次世代に語り継ぐため、この九年間、毎日、平和への思いをブログにつづっている。 (片山夏子)

 「毎日、毎日、あの戦争は、特攻隊で死んでいったのは何だったのかを考える。そして今生き残ったもののできることは何か自問する」。十五日、永井さんは自宅のパソコンで自身のブログ「満州っ子 平和をうたう」に書き込んだ。終戦の年がよみがえる。

 永井さんは旧満州の公主嶺(こうしゅれい)市で母と姉と暮らしていた。一九四五年八月九日、旧ソ連が侵攻し、当時十三歳だった永井さんは二日後、家族と共に貨車に飛び乗った。ぎゅうぎゅう詰めで蒸し暑く、食べ物もトイレもない。体力の無い人から死んでいった。十五日夜、終戦を平壌で知った。

 ブログは二〇〇八年六月に始め、旧満州での暮らしなどをつづった。昨年八月十五日には、特攻隊員として二十歳で戦死した兄の神島利則さんのことや、関東軍でロシア語の暗号解読をして戦犯としてシベリア抑留された兄の四郎さん(享年五十一)のことに触れ「『再び戦争はさせない』の思いいっぱい」と書いた。

 最近、ブログを見た旧満州での友人の子や孫から連絡が来る。昨年末、長崎県の三十代女性から「夫の曽祖母が幼い祖父を連れ、満州から引き揚げてきた。夫のルーツをたどりたい」とメールが来た。

 「戦争体験者の子や孫の世代から『祖父や父が特攻隊や満州でのつらい体験を語らなかったので、戦争のことを知りたい』といった真剣なメールがたくさん来る。ブログはもうやめられない」。永井さんは、次の世代とつながっていると感じている。

 十五日はこう締めくくった。「近い将来、戦争体験者がほとんどいなくなる。お子さんやお孫さんたちにあの戦争をしっかり伝えること、そしてその人たちがまた次の世代に伝えることを念じたい」

(東京新聞)

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