1.7月14日の朝日新聞は連載「歴史と向き合う 第2部 戦争責任」の一環として報道の戦争責任を特集しました。

06/07/14 朝日

結論から言うと内容に乏しい。3月の、読売の特集に70点つけるなら30点ぐらい。
お前が言うな!渡辺恒雄~読売新聞の戦争責任を問う
ここで「新聞の戦争責任論というと、…責任を感じて戦後、新聞社を辞めた人(むのたけじ氏など)に間接的に批判させる形ばかり」と書いたら今回もむの氏が登場しました。こんな予想が当たってもちっとも嬉しくない(苦笑)

2.この特集の前にパル判事と昭和天皇をとりあげていたのがいかにも朝日ですが、それらに比べても程度が低いですね。当時の記事を切り張りして、多少の当事者の証言を加えただけ。たとえば読売の特集のように、こうした問題に詳しい学者に厳しく批判させるようなことがなぜできないんでしょうか。

過誤を鏡にして 藤森研(編集委員)
朝日新聞の緒方竹虎・元主筆は戦後、「大新聞が適当な時期に話し合い、一致して当たれば、郡の横暴を防ぎ得たのではないか」と振り返った。

しかし言論統制や社間競争の下で、伊藤正徳・元時事新報編集局長は太平洋戦争期を念頭にだが、言論機関が一致していたらという仮定は「死児の齢を数ふる以上の徒事である」とした。

答えを求めて、秋田県横手市に、むのたけじさん(91)を訪ねた。敗戦時に、新聞記者としての責任をとって朝日新聞を辞めた人だ。〔中略〕

たとえば、近隣国などへの憎悪や敵意をあおることが、いかに平和にとって危険なことか。あるいは、権力者の発表を検証せずに報じることが、いかにその後の歴史に無責任となりうるか――。

新聞の戦争への責任は、過去の話ではない。自戒したい。

「近隣国への憎悪や敵意をあおること」を批判するならまず、反日を煽り続ける中国・韓国・北朝鮮にこそいってほしいものですな。
しかもこう言いながら、この特集のすぐ前の頁で小沢一郎インタビューをでかでかと載せる神経を疑います。編集委員の山田厚史・星浩は小沢に好き放題言わせているだけで、小沢の過去の言動との矛盾や党内不一致の検証が全然ないんですが。

3.結局、自社の戦争責任を正面から認められないんですね。お得意の日独の戦争責任の比較も、こと新聞の問題になると沈黙する。
特殊指定キャンペーンで新聞が必死に守ろうとしている新聞の専売店制度が、実は戦時統制の産物だったことも絶対に書かないわけです。

ところで朝日調査で「報道の戦争責任」が天皇を上回るでとりあげた世論調査の後、こんな投書が載っていました。

06/05/08 朝日「声」

戦争の責任は報道機関にも 無職 片岡保之(東京都杉並区 69歳)
戦争を体験していない若い人はともかく、私と同じ60代や70代の人も、こんなに甘い点をつけるとは意外なことです。戦後のマスコミが、国民を戦争へと誘導した報道内容とその責任を息長く伝えず、結果として隠蔽してしまったためとしか思えません。

このあと新聞の戦争責任について投稿が続きましたが、だんだん話がずれていった感じです。

まあ、今回の特集で参考になったのはこの部分ぐらいですかね。
米国立公文書館から山本〔武利・早大〕教授が収集した資料に、米国が日本兵捕虜に聞き取りをした調査結果があった。天皇、軍、メディアについて、不信感を抱いているかどうかを258人に聞き、44年にまとめたものだ。

メディアに不信感があると答えた捕虜は38%。天皇(0%)、政府(8%)、軍(31%)のどれよりも高い数字だった。