地元でつかんだ渡辺G1 2度目V オールスター 【いわき平】

賞金ボードを手に笑顔を見せる優勝した渡辺一成。右はゲストの八代亜紀、左はいわき平競輪場イメージガールのかをりさん=東京中日スポーツ提供
賞金ボードを手に笑顔を見せる優勝した渡辺一成。右はゲストの八代亜紀、左はいわき平競輪場イメージガールのかをりさん=東京中日スポーツ提供
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決勝でゴールする1着の渡辺一成(中央)、2着の新田祐大(左)、3着の浅井康太(右)
決勝でゴールする1着の渡辺一成(中央)、2着の新田祐大(左)、3着の浅井康太(右)
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 いわき平競輪で熱戦を繰り広げたG1「第60回オールスター」(優勝賞金4400万円)は15日、最終11Rで決勝が行われ、渡辺一成(福島、34歳、88期)が新田祐大マークから差して勝利した。渡辺は昨年2月の全日本選抜(久留米)以来2度目のG1制覇。4番手から捲った新田が2着。残り2周半で竹内雄作が落車(失格)し、先行の深谷知広マークとなった浅井康太が3着。5日間の総売上額は106億7867万円余りで目標(107億円)をほぼ達成した。

■ヒーロー

 福島両者のマッチレースは、渡辺一成に軍配が上がった。地元バンクでG1制覇という最高の結果を手にしたが、満面の笑みとはならなかった。「自分は新田君について行っただけで、実力ではない。内に入ったから勝てただけ。喜びは半減ですね」

 赤板3角で竹内が転倒し、地元トリオが中部ラインの4番手を確保。2角手前から新田が捲りを決めると、渡辺は、新田が最後の踏み直しをするために空けたインコースを突いてV。確かに流れが向いたかもしれない。だが、しっかりと勝ち切れたのは日々、ナショナルチームで猛練習を続けてきた努力の結晶。堂々と胸を張っていい。

 これで今年のグランプリ(GP)出場が決定。来年もこの地元バンクでの開催が決まっているオールスターは、追われる立場として迎えることになる。だがそんなプレッシャーについては、今大会3日目のシャイニングスター賞の共同インタビューで発した言葉を再び繰り返した。「ここで緊張していたら、(2020年の)東京五輪で勝負できないですから」。誰にも負けない強いハートを武器に、さらなる成長を目指していく。 (森川)

 ◆渡辺 一成(わたなべ・かずなり)1983年8月12日生まれ、34歳。福島県双葉町出身。福島県立小高工高卒。88期生で在校38位。2003年7月、京王閣でデビュー。12年4月、G2共同通信社杯(名古屋)でビッグ初V。16年2月、全日本選抜(久留米)でG1初V。自転車競技では08年北京、12年ロンドン、16年リオと3大会連続で五輪に出場。通算成績は806戦228勝。通算取得賞金は4億5805万2900円。身長176センチ、体重80キロ、血液型A。

■戦い終わって

 新田祐(2着)落車から自分たちの展開にすることを考えて、対処できた。しっかり仕掛けられた。

 浅井康(3着)4番手に新田君がいて、車間を切ると行かれるのでどうすることもできなかった。

 脇本雄(4着)落車をよけるのに固まってしまった時点でだめでした。

 坂口晃(5着)落車で位置はよくなったが、自分の仕事が難しくなった。

 原田研(6着)落車でパニックになって、追い上げをやめてしまった。

 山崎芳(7着)1角でバックを踏んだところで新田君がダッシュしたので離れた。

 深谷知(8着)落車の後、気持ちの切り替えができなかった。粘られないようにと踏んだが、相手に行かれているし力不足。

 竹内雄(失格)気持ちだけ先走ってお客さんにも迷惑を掛けた。申し訳ない。

■決勝戦VTR

 新田がSを取り、新田-渡辺-山崎、脇本、原田、深谷-竹内-浅井-坂口で周回。残り2周半で深谷が新田を押さえた直後に、竹内が深谷に追突して落車。深谷-浅井-坂口、北日本3車、脇本、原田となり深谷が成り行き先行。ほぼ一本棒から終1半で新田がダッシュし、3角で先頭に立つと渡辺とのマッチレースに。新田が4角手前で膨れ、内を突いた渡辺がG前逆転。深谷の番手から出た浅井が3着。

 2017/08/16付 西日本スポーツ