9月にリリースが予定されているWindows 10 Fall Creators Update(以下Win10 FCU)のプレビューが大詰めにさしかかったところだが、Microsoftから新たなWindows 10に関する発表があった。米国時間の8月10日にアナウンスされた「Windows 10 Pro for Workstations(以下Win10Pro WS)」だ。Win10Pro WSは、ワークステーション向けにチューニングされたWindows 10 Proという位置づけ。今回は、このWin10Pro WSの詳細を見ていこう。
Win10Pro WSの最大の機能としては、最大4ソケットのプロセッサをサポートし、最大メモリ容量も6TBにまで拡張されていることが挙げあられる。現在のWin10 Proは、最大2ソケットのプロセッサしかサポートしておらず、最大メモリ容量も2TBまでになっている。
現状、Windows 10に関しては、ソケット数の制限はあるが(Homeは1ソケット、Proは2ソケット)、コア数/スレッド数に関する制限はない(OSとして最大256スレッドとなっている)。一方、Windows Server 2016は、ソケット数に制限はなく、スレッド数は最大512となっている。さらに、最大メモリ容量に関しては24TBに拡張されている。Windows Server 2016から、ソケット数での課金から、コア数での課金に変更されている。
OS | CPUソケット数/論理プロセッサ(LP)数 | 最大メモリ容量 |
---|---|---|
Windows 10 Home(32ビット版) | 1ソケット/32LP | 4GB |
Windows 10 Home(64ビット版) | 1ソケット/256LP | 128GB |
Windows 10 Pro/Enterprise/Education(32ビット版) | 2ソケット/32LP | 4GB |
Windows 10 Pro/Enterprise/Education(64ビット版) | 2ソケット/256LP | 2TB |
Windows Server 2016 Datacenter(64ビット版のみ) | 512LP | 24TB |
Windows 10 Pro for WorkStation(64ビット版のみと思われる) | 4ソケット/LPに関しては不明 | 6TB |
Windows 10の各エディションでサポートしているCPUソケット数と最大メモリ容量。比較対象として、Windows Server 2016の仕様も入れた |
Win10Pro WSの特徴としては、高い信頼性が挙げられている。これを実現する機能として、Windows 8.1やWindows Server 2012から搭載されていた「ReFS」(Resilient File System)をデフォルで利用できるようにしている。
ReFSは、NTFSよりも高い回復性や可用性を実現しているのが特徴だ。例えば、ReFSでは、ファイルシステムが破損しても、破損した部分だけを抽出して、その部分だけをメタデータなどから修復する。この場合も、ドライブ全体をオフラインにして修復するのではなく、破損した部分だけをOSが修復するため、修復にかかる時間も短くなり、ドライブ全体をオフラインにすることもない。また、ReFSでは、データの整合性を逐次チェックしている。もちろんエラーが見つかれば、できる限り修正を行う。
ReFSの最大ボリュームサイズは4.7ZB(ゼタバイト。テラバイト、ペタバイト、エクサバイトの次の単位)に拡張されている。NTFSは最大256TBなので、およそ1800万倍。当面ここが問題になることはないだろう。
なおReFSは、NTFSの機能上位版というわけではない。NTFSでサポートされていたデータ圧縮/暗号化や、データ重複排除など、一部の機能がReFSではサポートされていなかったりする。このあたりは、Microsoftとしては、将来的にNTFSが持つ機能をReFSでサポートしていこうと考えてはいるのだろう。ただ、ファイルシステムの移行は、Microsoftだけで進められるわけではないという問題もある。多くのアプリケーション ベンダーがReFSをサポートすることで、進んでいく。現状では、まだまだReFSはスタンダードとはいえない。
ReFSが最もその能力を発揮するのが、複数のハードディスクやSSDなどを組み合わせて、大容量の仮想的なドライブを構築するストレージプールだ。ストレージプールでは、複数のドライブを組み合わせ、耐障害性を高めたり、SSDなどを組み合わせて階層化ストレージを構築したりできる。階層化ストレージでは、1つの仮想ドライブをSSDとハードディスクで構成し、アクセス頻度の高いデータはSSDに保存し、アクセス頻度が落ちてくると自動的にHDD領域にデータを移動する。
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