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アーティストから転身!「HALCALI」YUCALIがケータリングプランナーになったワケ

2015.9/28

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中学3年生でヒップホップユニット「HALCALI」としてデビューしてから、アーティストとして活躍してきたYUCALIさん
実は2015年の秋から、得意の料理を活かしたケータリング事業を本格的に開始するといいます。

「目の前の人に喜んでもらうことは、音楽も料理も同じ」
そう言って楽しそうにキッチンに立つYUCALIさんは、2015年の春には結婚もし、新たな転機を迎えています。


料理を通して、彼女ならではのどんな世界を創っていくのか、その心のうちを伺いました。

〈YUCALIさん考案の「ハロウィンパーティにもおすすめ!YUCALI考案『サンマとぶどうのタルタル』」もこちらでご紹介しています〉

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音楽とケータリングは「ライブ感」がすごく似てる

———秋にケータリング事業を本格的にするそうですね?

YUCALI 本格的なデビューは秋以降かな。一人で料理するのでそれほど多くは作れないのですが、アパレルやお店のオープニングイベントや、なにかの作品展に、作った料理をお届けする予定です。

———ケータリングの会場にはYUCALIさんもいらっしゃるんですか?

YUCALI そのつもりです。料理が足りなくなったらサーブもするし、「これはなにが入ってるんですか?」って聞いていただいた時に説明したり、ちゃんと食べてくれてるかなあって見守ったり(笑)。
私がつくるケータリングは、一言で説明できないものが多いんですよ。フルーツやハーブや野菜など、いろんなものを合わせてうまれる味を活かしたメニューが好きで。
食べてくれた人が「なにが入ってるんだろう、なんかぷちぷちするー!」なんて驚いて笑顔になるので、すごく嬉しいです。
先日はお花屋さんのレセプションパーティにケータリングしたんですが、旬の野菜やフルーツを使った2種類のお料理を50人分と、ピクルスをどさっと作りました。

———50人分をひとりで作るってすごいですね!

YUCALI 今まで一番多かった時は、9種類の料理を30人分ずつ作りました。でも、大人数の料理を作るのはいいんですが、盛りつけが大変で。
その時はお洋服屋さんだったので、お洋服が汚れないように一口でぱっと食べられるものにしたくて、ひとつひとつ串に刺しました。その作業はさすがに一人ではできずに手伝ってもらいましたね。

———中学3年生でHALCALIとしてデビューし、アーティストとして活躍されてきたYUCALIさんですが、なぜ音楽活動から離れてケータリング事業を始めたんですか?

YUCALI 理由は特にないんですけどね。今はただ料理がすごく楽しいので、気持ちがケータリングに向いちゃってるかもしれません。
もちろん音楽も大好きなので、もうやらない!ってわけではなく、どっちもやっていくつもりです!
食卓には音楽も大事だから、いずれはケータリングを提供しつつ、音楽もかけたり演奏したり、食と音楽を融合したイベントができれば楽しいなって考えています。

———音楽とケータリングの融合ですね!そのふたつは似ていますか?

YUCALI  似てるような気がしますね。歌は、ライブがお客さんと向き合う場所で、ケータリングはその感覚に近いかな。
「どうやったらお客さんが喜んでくれるかなあ」と考えながらライブの構成を決めていくのと、ケータリングのメニューを決めていくのはちょっと似てる。
ケータリングの場合は、試作の時に一口分が大きくて食べるのが大変だったから、次はもう少し小さくカットしよう、とか。そして実際作ったものを食べてもらって、目の前で反応が見られるし、コミュニケーションもできる。
もしかしたら、そんなライブ感が好きなのかもしれないですね。

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お正月に「大量の厚焼き卵」を焼くのが、私の担当でした

———ケータリング事業を始めるきっかけはなんだったのでしょう?

YUCALI ずっと食べることと料理が好きで、よくお店で食べたものを家で再現したりしていたんです。
実家がケーキ屋なこともあり、食に携わる人が周囲にたくさんいたので、すごく興味があったんだと思います。
いつか自分のお店が持てたらいいなあと、ふわっとした夢が心のどこかにありましたね。
中学3年で歌手デビューしてから音楽が中心だったんですが、2年前に料理の勉強をしたいと思いたって、栄養士の学校に通いはじめたんです。

———調理師じゃなくて、栄養士なんですね。

YUCALI 調理師の技術はずっと料理を続けていったら学べるかもしれないけど、栄養学は教えてもらわないとわからないかなと考えて、栄養士にしました。
野菜や果物の栄養バランスが整っているパーティ料理を、自分らしくアレンジして出せたら楽しいだろうと思ったんです。
それでも、初めは料理は趣味だったんですよ。Instagramで「#cali飯」というタグをつけて自作の料理写真を、友達限定で公開していたんです。
生ハムの手まり寿司とか、キッシュとか。それをみんなが食べたいと言ってくれて女子会を開くようになったんです。
そうしているうちに、もっと多くの方に食べてもらえたらいいなと思ってきたというのも、ケータリング事業を始める大きなきっかけですね。

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———そもそも料理はいつ頃から作っていたんですか?

YUCALI 小さい頃から好きでしたね。お菓子を作ったり、母の作る晩ご飯に1品プラスして私も作ったりすると、家族がすごく喜んでくれて。
実家のケーキ屋さんから材料をもらってきてお菓子を作ったり、台所に立っていることが多かった気がします。
今でも作った料理を実家にお裾分けしに行くと、おばあちゃんからLINEで感想が来たりするんですよ。『今日のカボチャは甘くて美味しかったよ』とか、喜んでくれることがすごく嬉しいですね。

———初めてつくった料理はなんだったんですか?

YUCALI 初めてはたぶん小学校低学年の頃に作った卵焼きです。
それからは毎年お正月に大量の厚焼き卵を焼くのは私の担当でしたね。お正月には親戚がたくさん家に来るので、振る舞っていました。

小学校の夏休みの自由研究も料理でしたよ。ほぼ毎日お菓子を作って、写真を撮って、レシピを書いて……どら焼きとか作っていましたね。
おじいちゃんが「重曹をいれるとふくらむんだぞ」と教えてくれて、「重曹ってなに……?」とわけもわからず買ってきて作ってみたり。
それが発展して、いろいろ料理を作るようになったんでしょうね。

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毎回場所が変わることで、面白いレシピアイデアが生まれる

———YUCALIさんならではのケータリングコンセプトはなんですか?

YUCALI ひとつは、塩分は控えめにしていることかな。ケータリングはパーティ料理なのでお酒と一緒に楽しむっていうことがほとんどなのですが、お酒が進むのはやっぱり塩分が多いものが多くて。
でも、あえて塩分は控えてなるべくスパイスやハーブ、フルーツなどで香りやアクセントをつけるようにしています。
私自身、ハーブや珍しい食材を使ってみたり、色んな組み合わせの料理を考えるのが好きなんです。
シンプルな素材の味なんだけど、色んな食材が混ざることで味が複雑になるっていうのが楽しいですね。

でも、なかには失敗もあって。例えば最近だと「“菌”同士だから相性がいいはず!」というアイデアで作った「キノコとヨーグルトのサラダ」はマヨネーズを使わないサラダにしたかったんですが、色々試しすぎて迷走ぎみでしたね……(笑)。

———ケータリングの料理と家族への料理とは違いますか?

YUCALI 家族が食べるものは「冷蔵庫にあるものでなにができるかなー」と工夫することが多いけど、ケータリングは好きに食材を選べるので、季節のものを沢山使ったりっていうのはより意識していますね。

———ご家族はYUCALIさんのケータリング事業についてなんて言われていますか?

YUCALI みんな応援してくれています。母はすごく嬉しいみたいで、いつも手伝いにきてくれます。「なんかやることないの?」なんて言って、洗い物をやってくれたり、一緒に台所に立つと楽しいです。
旦那さんには、試作したら食べてもらっています。
彼はデザインの仕事をしてるので、お皿のレイアウトについて意見をくれたり、ケータリングで串につける旗をデザインしてくれたりと、空間作りの専門的なアドバイスをくれますね。

———YUCALIさんにとってケータリングの魅力ってなんですか?

YUCALI お店を持つことと違って毎回場所が変わることですかね!場所がその都度違うので、「この場所だったらこういう料理が合うかな」といろんなアイデアが考えられるんです。
お花屋さんのレセプションでは、お花に見立てカラフルなサラダを作りました。
ずっと同じ場所にいたら思いつかないかもしれない発想が湧いてくるのが面白いんです。

それに、食べている人の表情や反応がすぐに見られて、会話ができるのもいいですね。
ケータリングではふだんの食卓の料理とは違って、あまり馴染みのない食材に触れてもらえるし、「こんな素材が入ってるんですね、面白い!」なんて感想がすぐに聞けるのが嬉しいんです。
私からも「このハーブを使うと美味しいんですよ」と食材の紹介ができるのも楽しいです。

———料理そのもの以外に、お皿にもこだわっているとか?

YUCALI そうなんです!食器がすごく好きで、たくさん持ってるんですよ。旦那さんに「家におさまらないから買っちゃダメだよ」って言われるくらい(笑)。
だから我慢しているんですけど、陶器市とか好きなんですよね。栃木の益子焼の陶器市に行ったり、金沢の陶器市に行ったり、自分で陶芸したり……お皿を集めるのも趣味です。
いつかお皿とかエプロンとかのキッチン道具のプロデュースもしてみたいですね!日本の職人さんにかわいい菜箸をつくってもらいたいな。

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音楽×ケータリングのイベントを実現させたい

———ケータリング事業を始めたら、将来やってみたいことはありますか?

YUCALI ケータリングの食事とその空間のプロデュースできたら楽しいなと思っています。
料理ができるミュージシャンたちのイベントを企画して、ライブもやるし、食事もできるみたいなの楽しくないですか!? パフォーマンスする人もファンの人も一緒に楽しめるといいですよね。
屋内に限らず、ツリーハウスの下とか、大きな公園とか、居心地の良い場所で美味しい料理を食べられたら贅沢だなあと思うんです。

いずれは違う国の料理も勉強してみたいですね。外国の料理も“素材の組み合わせ”が面白い!メキシコ料理ならトマトとパクチーにライム絞って……みたいな。
いつかはメキシコに行って現地の料理教室でちゃんと学んで、それを持ち帰って自分なりにアレンジしたり、日本料理とコラボさせてみたりしたいな。

でもまずは、美味しいと言ってもらえる料理をしっかり届けていけるように、日々いろんなアイデアを出して積み重ねていきたいです。

Interview/Text: 河野桃子
Photo: 鮫島亜希子〈nomadica〉

YUCALI

ユカリ/1987年7月18日生まれ。 東京都目黒区出身のHALCAとYUCALIの2人組ガールズヒップホップユニットHALCALIのメンバー。小学生の頃から都内のダンススクールに通い、「FEMALE RAPPER オーディション」で見事グランプリに輝き、2003年にO.T.Fの全面プロデュースのもと「タンデム」でデビュー。2013年より、兼ねてから興味のあった食の分野を学び栄養士の資格を取得。現在ケータリングブランド「#cali飯」の活動を展開中。

http://qreators.jp/qreator/yucali

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