(2)
翌朝、信也と幸一は示し合わせたように9時に起きてきた。
夫はとっくに会社へ出掛けた後で、ダイニングテーブルに腰を下ろし、コーヒーを啜りながら一人朝刊に目を通していた美恵子は、二人を目にすると朝食を作りにキッチンへ入っていった。
テーブルに腰を下ろした二人はもう今日の遊びの話を始めている。
自分のを含めて3人分のハムエッグを作っていた美恵子は、信也の屈託のない笑い声を耳にし、昨晩の出来事は本当は夢だったのではないかと、寝起きの時に感じたように改めてそう思った程である。
今朝、目を覚ました時も美恵子は昨晩の出来事は夢だったのではないかと思った。
パジャマのボタンが外れ、胸が大きく肌蹴ていた以外はセックスの痕跡が見当たらなかったからである。
上体を起こし、ベッドを出ようと脚を動かして初めて、美恵子は膣の奥に異様な感覚を感じた。
その感覚は今未だ膣の中に何か物が入っているといった感じではなく、何時間か前に奥襞に強い圧力と刺激を受け、未だにそれを引きずっているようで美恵子が今までに感じた事の無い感覚だった。
射精直前の子宮口に突き刺さらんばかりの肉棒の凄まじさをマジマジと思い出した美恵子は今感じているその感覚が、まさに信也の肉棒を受け入れていたからに他ならないと改めて実感した。
翌朝、信也と幸一は示し合わせたように9時に起きてきた。
夫はとっくに会社へ出掛けた後で、ダイニングテーブルに腰を下ろし、コーヒーを啜りながら一人朝刊に目を通していた美恵子は、二人を目にすると朝食を作りにキッチンへ入っていった。
テーブルに腰を下ろした二人はもう今日の遊びの話を始めている。
自分のを含めて3人分のハムエッグを作っていた美恵子は、信也の屈託のない笑い声を耳にし、昨晩の出来事は本当は夢だったのではないかと、寝起きの時に感じたように改めてそう思った程である。
今朝、目を覚ました時も美恵子は昨晩の出来事は夢だったのではないかと思った。
パジャマのボタンが外れ、胸が大きく肌蹴ていた以外はセックスの痕跡が見当たらなかったからである。
上体を起こし、ベッドを出ようと脚を動かして初めて、美恵子は膣の奥に異様な感覚を感じた。
その感覚は今未だ膣の中に何か物が入っているといった感じではなく、何時間か前に奥襞に強い圧力と刺激を受け、未だにそれを引きずっているようで美恵子が今までに感じた事の無い感覚だった。
射精直前の子宮口に突き刺さらんばかりの肉棒の凄まじさをマジマジと思い出した美恵子は今感じているその感覚が、まさに信也の肉棒を受け入れていたからに他ならないと改めて実感した。
ベッドから出た後、家事の為に家の中を歩いたので今はもうその感覚は消えてしまったが、今朝方の感覚からして信也に肉棒で貫かれたのは紛れも無い事実だと美恵子は改めて思った。
夫が寝ている隣で叔母の私を犯すように抱いた信也の大胆さには驚くが、その事を知ってからも何の抵抗もせずにそのまま抱かれ続けた自分にも美恵子は今更ながら驚いていた。
幾らでも抵抗は出来た筈なのにそれを全くしなかった。
抵抗したり、声を出したりして夫に知られるのが怖かった事も確かに有ったと思う、がしかし何故夫に知れるのを恐れたのだろうか?
昨晩美恵子が下腹部の異様な感覚に目覚め、肉棒で貫かれている事に気付いた時点では雅に犯されている最中だったのに。
犯されていながら隣に寝ている夫にその事を知られてはならないと、声を出さないように必死に我慢をしていたのである。
このままではいけないと思いながらも信也の行為を止めさせる事も叱責する事も出来なかっただけでなく、その行為を許しあたかも加担するように犯され続けてしまったのである。
否、犯されていたのは眠っている間だけで、異変に気付いて目を覚ましてからは何等抵抗もしなかった訳であるから、犯されたと言うよりは寧ろ成り行きでそのまま抱かれたと言った方が正しいのではないだろうか。
何故そんな事になってしまったのだろう?
何故自分は抵抗もせずに信也に抱かれ続けたのだろう?
美恵子は出来上がったハムエッグをお皿に盛り付けながら、自問したその答えを見付けあぐんでいた。
焼きあがったパンにバターを塗ると美恵子はハムエッグ、野菜サラダと共にテーブルへ運び、またキッチンへ戻った。
紙パックのアイスコーヒーとグラスを3つ、お盆に載せて戻って来ると二人と向かい合う席に腰を下ろした。
「さぁ、食べましょう」
「頂きまぁ~す」
信也、幸一そして美恵子の三人の朝食が始まった。
アイスコーヒーを飲みながら美恵子は時折向かいに座る信也の顔をチラッ・チラッと盗み見た。
美恵子同様信也も気になるらしくこちらの顔色を窺うように眼球を動かす。
たまに二人の目が合うと信也は素早く目線を外し、平静を装って何事も無かったように口をモグモグさせる。
美恵子もそうだが、信也もやはり心中穏やかではないようである。
それはそうである、叔母と甥なのに身体の関係を持ってしまったのだから無理も無い。
しかも寝込んでいる夫の傍らで身体を繋いだのである。
最初は確かに犯されたのかもしれないが、抵抗も叱責もしなかったのだから信也は勿論だが自分も弁解の余地はないと美恵子は思っていた。
未だほんの子供だと思っていた甥の信也が、寝込んだ夫の傍らで叔母の私を犯すような大胆な行動を取るなんて・・美恵子は未だに夢だったような気がしていた。
あのような大胆な行動も信じ難いが、20も年上の叔母の私を抱く信也の気持ちも美恵子には理解出来ずに信じられない思いだった。
そして何より信じ難いのは何の抵抗もせずにそのまま抱かれ続け、何度も達してしまった自分自信だった。
何故抵抗しなかったのだろう?
何故おとなしく抱かれ続けたのだろう?
美恵子はキッチンで抱いた疑問を再び自分に問い掛けて見た。
会話らしい会話も無く、重苦しい雰囲気の中で食事は続いた。
息子の幸一はまだ小学生なので母と信也の気まずそうな雰囲気には気付かなかったと思うが、美恵子は味も良く判らないままで食事を終えた。
美恵子が食べ終わった食器を洗っていると、信也が飲み終えたグラスを持ってキッチンに入ってきた。
美恵子は緊張の余り手を止めて身を硬くした。
美恵子の背後に佇んでじっとしている信也からも緊張感が漂って来る。
「もっ・・もう飲んだの?」
いたたまれずに美恵子の方から声を掛けた。
「うっ・・うん・・」
後ろからグラスを差し出した信也の手が微かに震えていた。
「あっ・あのぉ~~・・」
「えっ・・なぁに・・」
グラスを受け取った美恵子は、後ろを振り返らずに聞き返した。
「昨晩の事だけど・・」
「えっ・・えぇ・・」
「あんな事をして・・御免なさい・・」
「・・・・・」
美恵子は返事をしなかった。
「叔母さんの事・・前から好きだったから・・だから・・気が付いたらあんな事をしてて・・本当に御免なさい」
「信也君・・止めさせなかった叔母さんも悪かったわ・・」
「うぅん、叔母さんは何も悪くはないよ・・悪いのは僕だよ」
「もういいわ・・済んだ事ですもの・・忘れましょう・・叔母さん忘れるから、信也君も忘れて・・いい?」
「・・・・・」
返事が返ってこないので美恵子は仕方なく身体を回して背後に立つ信也と向き合った。
「無かった事にして忘れるのよ・・いいわね?」
「む・無理だよ・・もう叔母さんの事が忘れられないよ」
信也は泣きそうな顔で見詰めた。
「そ・そんなぁ・・駄目・忘れなきゃあ駄目よ・・」
「・・・・・」
信也は怒ったような顔をして美恵子を睨んだ。
「いい?・・忘れるのよ・・」
「判ったよ・・叔母さんは忘れられるの?」
「忘れるわ・・だから信ちゃんも忘れて・・」
これ以上話をしても無駄だと思ったのか信也は美恵子に背中を向けて歩き始めた。
「いい?・・忘れるのよ」
美恵子は背後から念を押した。
返事の代わりに美恵子には信也が溜息交じりにひとりごちた囁きが聞こえた様な気がした。
「忘れられる筈がないだろ」
美恵子には確かにそう聞こえた。
“忘れられる筈がないだろ・・忘れられる筈がないだろ・・・・そうよねぇ、やはり忘れられないわよねぇ・・”信也から手渡されたグラスを洗いながら美恵子は聞こえた気がした言葉を頭の中で反芻していた。
“信也には無かった事にして忘れろと言ったが、果たして自分は忘れられるんだろうか?”美恵子は改めて自問してみた。
“忘れられるかではなくて、忘れなくてはいけないんだわ”美恵子は溜息交じりにふぅ~と息を吐いた。
そして忘れなくてはいけないと言う思いと共に、もうどうなっても構わないとさえ美恵子に思わせた子宮口に突き刺さらんばかりの信也の肉棒が与えてくれたあの凄まじい快感と、枕に顔を押し当て快楽に必死に堪えていた恥ずかしい光景を思い出した。
頬はほんのり熱を帯び、美恵子はキュッと子宮が収縮する感じがして身体をブルッと震わせた。
いつ夫に気付かれるかも知れない異様な状況の中で犯される被虐的な喜びをあの時美恵子は確かに感じていたと思った。
抵抗して声を出せば夫が気づいた筈なのにそれをせず、寝込んでいる夫の傍らで、今雅に夫を裏切っているんだと思いながらそのまま犯され続ける不思議な快感さえも覚えていたのを思い出した。
それに、叔母と甥の許されない間柄で身体を繋いでいるんだと言う背徳的な思いも確かに感じていたし、自分より20も年下の青年に抱かれているんだという思いも間違いなく感じていたと思った。
色んな条件が重なった結果として、昨晩の出来事があのような形で最後まで進んだのだと思うが、今思い出しただけで思わず身震いしてしまったあの信也の肉棒が与えてくれた凄まじい快感さえ無ければ違った結果になっていたのではないかと美恵子は思った。
“忘れなくてはいけないんだわ・・無かった事として忘れないと・・”美恵子は自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。
それから何事も無く3日が過ぎた。
美恵子は信也に対して未だ多少のわだかまりは残っていたものの、極力意識しないで接するように努めていた。
がしかし、血の繋がった叔母と甥として決して許されないあのような行為があってから未だ何日も経っていないので、幾ら忘れようと意識して努めても、何かの拍子にふと想い出してしまう事も有る。
何気なく信也の方を向いて、じっと見詰められていたりすると意識しない積りでもついつい想い出し、慌てて目を逸らせてしまう事も何度かあった。
逸らせた後で、忘れられずに意識しているような印象を与えて逆効果だったなと思ったが、目を逸らせた後に幾らそう思っても後の祭りだなと美恵子は何度も思ったものだ。
隣のベッドで眠る夫は鼾を掻いているのに自分は中々寝付けず、いけないと思いながらもついあの夜の事を想い出してしまう毎夜だった。
忘れなければ・・忘れなければ・・と心に念じれば念じるほどより鮮明に想い出してしまう。
それでなくても寝付けないのに、ひとたび想い出すと早く寝なければと言う思いも空しく余計に眠れなくなってしまう。
早く寝て全て忘れてしまおうと願う美恵子の気持ちとは裏腹にあの快感が忘れられない身体が疼く事も有った。
知らないうちに股を擦り合わせている自分に気付いて恥ずかしくなったが、いけないと思いながらも自然に股間に近づいていく自分の手を美恵子は如何する事も出来なかった。
自分がそんな状態なのだから、きっと信也も少なからず悶々とした思いで日々を過ごしているに違いない。
自分が忘れようとして忘れられないのに、信也に早急に忘れろというのも無理な話だと美恵子はこの頃思い始めていた。
毎日顔を合わせていては忘れようにも忘れられないのも致し方ない気がする。
あと何日か経てば信也は帰っていく。
顔さえ合わせなければお互い直ぐに忘れてしまうに違いない。
意識して無理に忘れようとはせずに、時間が忘れさせてくれるのを待とうと美恵子は思い始めていた。
夫が寝ている隣で叔母の私を犯すように抱いた信也の大胆さには驚くが、その事を知ってからも何の抵抗もせずにそのまま抱かれ続けた自分にも美恵子は今更ながら驚いていた。
幾らでも抵抗は出来た筈なのにそれを全くしなかった。
抵抗したり、声を出したりして夫に知られるのが怖かった事も確かに有ったと思う、がしかし何故夫に知れるのを恐れたのだろうか?
昨晩美恵子が下腹部の異様な感覚に目覚め、肉棒で貫かれている事に気付いた時点では雅に犯されている最中だったのに。
犯されていながら隣に寝ている夫にその事を知られてはならないと、声を出さないように必死に我慢をしていたのである。
このままではいけないと思いながらも信也の行為を止めさせる事も叱責する事も出来なかっただけでなく、その行為を許しあたかも加担するように犯され続けてしまったのである。
否、犯されていたのは眠っている間だけで、異変に気付いて目を覚ましてからは何等抵抗もしなかった訳であるから、犯されたと言うよりは寧ろ成り行きでそのまま抱かれたと言った方が正しいのではないだろうか。
何故そんな事になってしまったのだろう?
何故自分は抵抗もせずに信也に抱かれ続けたのだろう?
美恵子は出来上がったハムエッグをお皿に盛り付けながら、自問したその答えを見付けあぐんでいた。
焼きあがったパンにバターを塗ると美恵子はハムエッグ、野菜サラダと共にテーブルへ運び、またキッチンへ戻った。
紙パックのアイスコーヒーとグラスを3つ、お盆に載せて戻って来ると二人と向かい合う席に腰を下ろした。
「さぁ、食べましょう」
「頂きまぁ~す」
信也、幸一そして美恵子の三人の朝食が始まった。
アイスコーヒーを飲みながら美恵子は時折向かいに座る信也の顔をチラッ・チラッと盗み見た。
美恵子同様信也も気になるらしくこちらの顔色を窺うように眼球を動かす。
たまに二人の目が合うと信也は素早く目線を外し、平静を装って何事も無かったように口をモグモグさせる。
美恵子もそうだが、信也もやはり心中穏やかではないようである。
それはそうである、叔母と甥なのに身体の関係を持ってしまったのだから無理も無い。
しかも寝込んでいる夫の傍らで身体を繋いだのである。
最初は確かに犯されたのかもしれないが、抵抗も叱責もしなかったのだから信也は勿論だが自分も弁解の余地はないと美恵子は思っていた。
未だほんの子供だと思っていた甥の信也が、寝込んだ夫の傍らで叔母の私を犯すような大胆な行動を取るなんて・・美恵子は未だに夢だったような気がしていた。
あのような大胆な行動も信じ難いが、20も年上の叔母の私を抱く信也の気持ちも美恵子には理解出来ずに信じられない思いだった。
そして何より信じ難いのは何の抵抗もせずにそのまま抱かれ続け、何度も達してしまった自分自信だった。
何故抵抗しなかったのだろう?
何故おとなしく抱かれ続けたのだろう?
美恵子はキッチンで抱いた疑問を再び自分に問い掛けて見た。
会話らしい会話も無く、重苦しい雰囲気の中で食事は続いた。
息子の幸一はまだ小学生なので母と信也の気まずそうな雰囲気には気付かなかったと思うが、美恵子は味も良く判らないままで食事を終えた。
美恵子が食べ終わった食器を洗っていると、信也が飲み終えたグラスを持ってキッチンに入ってきた。
美恵子は緊張の余り手を止めて身を硬くした。
美恵子の背後に佇んでじっとしている信也からも緊張感が漂って来る。
「もっ・・もう飲んだの?」
いたたまれずに美恵子の方から声を掛けた。
「うっ・・うん・・」
後ろからグラスを差し出した信也の手が微かに震えていた。
「あっ・あのぉ~~・・」
「えっ・・なぁに・・」
グラスを受け取った美恵子は、後ろを振り返らずに聞き返した。
「昨晩の事だけど・・」
「えっ・・えぇ・・」
「あんな事をして・・御免なさい・・」
「・・・・・」
美恵子は返事をしなかった。
「叔母さんの事・・前から好きだったから・・だから・・気が付いたらあんな事をしてて・・本当に御免なさい」
「信也君・・止めさせなかった叔母さんも悪かったわ・・」
「うぅん、叔母さんは何も悪くはないよ・・悪いのは僕だよ」
「もういいわ・・済んだ事ですもの・・忘れましょう・・叔母さん忘れるから、信也君も忘れて・・いい?」
「・・・・・」
返事が返ってこないので美恵子は仕方なく身体を回して背後に立つ信也と向き合った。
「無かった事にして忘れるのよ・・いいわね?」
「む・無理だよ・・もう叔母さんの事が忘れられないよ」
信也は泣きそうな顔で見詰めた。
「そ・そんなぁ・・駄目・忘れなきゃあ駄目よ・・」
「・・・・・」
信也は怒ったような顔をして美恵子を睨んだ。
「いい?・・忘れるのよ・・」
「判ったよ・・叔母さんは忘れられるの?」
「忘れるわ・・だから信ちゃんも忘れて・・」
これ以上話をしても無駄だと思ったのか信也は美恵子に背中を向けて歩き始めた。
「いい?・・忘れるのよ」
美恵子は背後から念を押した。
返事の代わりに美恵子には信也が溜息交じりにひとりごちた囁きが聞こえた様な気がした。
「忘れられる筈がないだろ」
美恵子には確かにそう聞こえた。
“忘れられる筈がないだろ・・忘れられる筈がないだろ・・・・そうよねぇ、やはり忘れられないわよねぇ・・”信也から手渡されたグラスを洗いながら美恵子は聞こえた気がした言葉を頭の中で反芻していた。
“信也には無かった事にして忘れろと言ったが、果たして自分は忘れられるんだろうか?”美恵子は改めて自問してみた。
“忘れられるかではなくて、忘れなくてはいけないんだわ”美恵子は溜息交じりにふぅ~と息を吐いた。
そして忘れなくてはいけないと言う思いと共に、もうどうなっても構わないとさえ美恵子に思わせた子宮口に突き刺さらんばかりの信也の肉棒が与えてくれたあの凄まじい快感と、枕に顔を押し当て快楽に必死に堪えていた恥ずかしい光景を思い出した。
頬はほんのり熱を帯び、美恵子はキュッと子宮が収縮する感じがして身体をブルッと震わせた。
いつ夫に気付かれるかも知れない異様な状況の中で犯される被虐的な喜びをあの時美恵子は確かに感じていたと思った。
抵抗して声を出せば夫が気づいた筈なのにそれをせず、寝込んでいる夫の傍らで、今雅に夫を裏切っているんだと思いながらそのまま犯され続ける不思議な快感さえも覚えていたのを思い出した。
それに、叔母と甥の許されない間柄で身体を繋いでいるんだと言う背徳的な思いも確かに感じていたし、自分より20も年下の青年に抱かれているんだという思いも間違いなく感じていたと思った。
色んな条件が重なった結果として、昨晩の出来事があのような形で最後まで進んだのだと思うが、今思い出しただけで思わず身震いしてしまったあの信也の肉棒が与えてくれた凄まじい快感さえ無ければ違った結果になっていたのではないかと美恵子は思った。
“忘れなくてはいけないんだわ・・無かった事として忘れないと・・”美恵子は自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。
それから何事も無く3日が過ぎた。
美恵子は信也に対して未だ多少のわだかまりは残っていたものの、極力意識しないで接するように努めていた。
がしかし、血の繋がった叔母と甥として決して許されないあのような行為があってから未だ何日も経っていないので、幾ら忘れようと意識して努めても、何かの拍子にふと想い出してしまう事も有る。
何気なく信也の方を向いて、じっと見詰められていたりすると意識しない積りでもついつい想い出し、慌てて目を逸らせてしまう事も何度かあった。
逸らせた後で、忘れられずに意識しているような印象を与えて逆効果だったなと思ったが、目を逸らせた後に幾らそう思っても後の祭りだなと美恵子は何度も思ったものだ。
隣のベッドで眠る夫は鼾を掻いているのに自分は中々寝付けず、いけないと思いながらもついあの夜の事を想い出してしまう毎夜だった。
忘れなければ・・忘れなければ・・と心に念じれば念じるほどより鮮明に想い出してしまう。
それでなくても寝付けないのに、ひとたび想い出すと早く寝なければと言う思いも空しく余計に眠れなくなってしまう。
早く寝て全て忘れてしまおうと願う美恵子の気持ちとは裏腹にあの快感が忘れられない身体が疼く事も有った。
知らないうちに股を擦り合わせている自分に気付いて恥ずかしくなったが、いけないと思いながらも自然に股間に近づいていく自分の手を美恵子は如何する事も出来なかった。
自分がそんな状態なのだから、きっと信也も少なからず悶々とした思いで日々を過ごしているに違いない。
自分が忘れようとして忘れられないのに、信也に早急に忘れろというのも無理な話だと美恵子はこの頃思い始めていた。
毎日顔を合わせていては忘れようにも忘れられないのも致し方ない気がする。
あと何日か経てば信也は帰っていく。
顔さえ合わせなければお互い直ぐに忘れてしまうに違いない。
意識して無理に忘れようとはせずに、時間が忘れさせてくれるのを待とうと美恵子は思い始めていた。
| ホーム |