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18頁 ちい散歩+蛭子能収+藤岡弘、
武仁倉将一(むにくら しょういち) 「散歩はねえ、ぼくの欠かせない生活の 一部であり、生きる糧だねえ。 一銭にもならないけどね。はっはっは」 1 表紙 2 1・2 青空に雀チュンチュン ム「いや~、いい天気だなあ」 3・4 自宅平屋引き戸玄関前 ムニ、伸びをして、 ム「こんな日は散歩するにかぎるよねえ」 5 ムニ、住宅地の路上に出る。 ム「ぼくの名前は武仁倉将一(むにくら しょういち) 近所のみんなはムニさんって呼んでるよ」 6 ム「まあ、後で知ったんだけど、無職ニートって 意味もあるらしいんだよねえ。いや~、まいったなあ、 その通りなんだけどね。はっはっは」 7 前方に猫発見 ム「お、野良だな。おはよう!」 8 猫、警戒して近寄らず。 ム「・・・・」 3 1 ムニ、ビシッと小石を投げ、猫の額に当たる。 猫「フギャッ!!」 2 猫逃げる。 ム「愛想のない猫だなあ。ははは」 3 ムニ、路上を歩きながら、 ム「以前は散歩なんかまるで興味なかったんだけどねえ、 あるときひどい腰痛になってね、医者に行っても わからないって言うんだよねえ」 4 ム「一年後にも同じことがあって、別の医者に行ったら これまたわからないって言われてねえ」 ♪むにくり むにくら~と 5・6 公園前 ム「あ~、これはおそらく足腰の筋力低下に よるものだな~と思い当たってね、 それから歩くことにしたんだよねえ」 ム「なんたってそれまでは、自分の部屋から 便所くらいしか歩かない生活が何年も続いたからねえ、 足腰も弱るよねえ、ははは」 7・8 ムニ、公園でカメラ撮影。 ム「で、散歩しては気に入った景色とか写真に 収めているうちに、それがやけに楽しくてねえ。 今ではほぼ毎日出歩いてるんだよねえ」 ム「もちろん、お金にはならないけど、お金になっても 続かないもんは続かないからねえ」 4 1 ムニ、公園のベンチに座り、 ム「なんでもない平日の昼とかで、 静かな所が落ち着くんだよねえ。 2 ム「しかも充実感というか充足感というのか、 それが気分良くてねえ、部屋でゴロゴロしていた 10年は何だったのかって思っちゃうよねえ。はっはっは」 3 近隣住民の通勤風景。 ム「でも、朝の出勤時間辺りは避けた方がいいねえ。 勤め人のピリピリとか、ドヨーンとした 負の感情を感じるからねえ」 4 ム「夜中の散歩は静かだけど、景色を愛でるには 足りないし、早朝か昼前がいいかな」 夜の様子。真っ暗。 5 公園の上の青空 ム「それから天気も大事だよねえ。澄み切った 青空の下と曇りでは、気分は変わるからね、うん」 6 公園の木々の様子。 ム「季節もやっぱり、春と秋が無理なく最適だよねえ」 7・8 公園を出る。 ム「ビギナーなら手始めに、通い慣れた通勤通学路や 買い物への道を避けて、敢えて他の道を選ぶといいね。 意外と知らない景色を目にして新鮮だよ」 5 1・2 細い路地に入り、 ム「散歩はやっぱり大通りよりも裏道、路地裏だね。 路地裏には迷路に入って行くようなワクワク感が あるからね」 ム「もちろん、人々が生活している一角であって、 秘境でも魔境でもないけど、なんか楽しいんだよねえ」 5 ムニ、男に後ろから声をかける。 ム「こんにちわ~」 6 ムニ、通り過ぎ、振り返りつつ、 ム「あれ~、背を向けてるなあ。照れ屋なのかな。はは」 7・8 ムニ、広い通りに出て、 ム「路地を出ると違う世界に到達したような新鮮な気分に なるんだよねえ。これがまた最高なんだよねえ。 あ、遠出のときは地図があった方がいいね」 後方の路地の一角が、炎と煙を上げている。 6 1 ム「それから、写真を撮るときは 気をつけないと誤解もあるよ」 2 ム「こないだ猫を撮ろうとしたらね、猫の後ろに 塀があって、その塀の向こうでおばちゃんが 洗濯物を干してるんだよ」 回想・物干しのおばちゃんがムニを見てる。 3 回想・ムニ、警官相手に ム『猫を撮っていたんであって、 パンツじゃありませんよ』 ム「いやあ、あのときは焦ったなあ」 4 ム「つい先日はねえ、暗くなった頃に細い通りで 若い女性が前を歩いていたんだけどね」 回想 5 ム「ぼくが彼女の前に通り過ぎようとしたら、 彼女、足早になってね、彼女の前に行けないんだよねえ」 回想 6 ム「はは~、なかなか勝気な子だなーと思って、 よし、競争だ! とぼくも早く歩いたんだけど」 回想・女性、後ろのムニにギクリとする。 7・8 回想・女性、ムニの前で走り出す。 ム「彼女、走り出しちゃってねえ、いやいや、 早歩きだから競い甲斐があるんだろうってのにねえ。 こっちも走ったら大人気ないし、敵うわけないよねえ。 はっはっは」 7 1 ムニ、角を出て、走って来た車にぶつかりそうになる。 ム「おっと、これはサプライズだ!」 2 ム「当たり前だけど、車には気をつけないとね。 人間万事塞翁が馬、一寸先は闇だからね」 3 こないだは実際に人がはねられたのを見たからねえ」 回想・見通しの利かない角で、 ムニに青年がぶつかりよろける。ドン ム『おっと、失敬!』 4 青年、走って来た車にぶつかる。ドン! ム『あ!」 5 ム『ひき逃げだ!待てっ!!』 車を追うムニ。 6 ム『くそっ、やはり車には勝てないか』 息切れで立ち止まる。 7 ム『ちょっと休憩させてくれ』 公園のベンチに座る。 8 ム『おお! 見事な夕焼けじゃないか! サンキュー神様!』 カメラを手にする。 ム「しばらく夕焼けに夢中になったなあ」 8 1 神社前 ム「神様といえば、どこにも神社ってあるよねえ」 2 ムニ、鳥居をくぐり、 ム「ぼくはね、行く先々の神社であいさつするんだ」 3・4 木々が生い茂る境内の景色。 ム「混み入った住宅地に、緑深い神社は路地裏とは また違った安堵感を与えてくれるんだよねえ」 5・6 ム「ほら、こういう樹齢何百年かありそうな 御神木とか、神社ならではだよねえ」 7 ム「あ、参道は端っこを歩くのが礼儀だよ」 8 ム「あいさつや願い事は、二礼二拍手一礼だよ」 拍手を打つ。 9 1 ム「え、お賽銭? はっはっは、小銭を欲しがる神様 なんて冗談だろう、それは神様じゃなくて 妖怪じゃないのかい? はっはっはっは」 2 神棚の鏡が倒れる。 ドテ 3 寺の前を通る。 ム「寺はねえ、坊主が胡散臭くてねえ、 昔から生臭坊主っていうし、 世が世なら焼き討ちしちゃうかな、はっはっは」 4 ム「でも、仏像はいいよね。おだやかな顔でね。 代わり映えしないけど」 5 ム「死体にたかって澄まし顔って、ちょっとぼくには 耐えられないけど、強いんだろうねえ」 6 ム「もっとも、神社も御利益で客寄せしてるから、 宗教なんて俗の極みだよねえ」 7 廃屋のような家の前 ム「人が住んでいるのかいないのか、廃屋のような 古い家を見つけたときは得した気分だねえ。 ただの貧乏な家もあったけどねえ。ははは」 8 廃屋前に立ち、 ム「静寂の中、時の移り変わりを体現したような、 風情を感じるよねえ」 10 1 ムニに幽霊がおんぶ。 ム「ときには悲しい気分になって体が重くなったり するけど、それもひとつの郷愁かもしれないねえ、うん」 2 ム「なんか腹減ったな・・・・おっと、夢中で歩き回ってる うちにもう昼か、何か食おうかな」 3 ム「お、あそこにラーメン屋がある、寄ってみよう」 4 店の前 ム「長く商売を続けてきたのか、ちょっと古さを 感じるのがいいねえ」 中華三光 5 店内 ム「ちわー」 店主「いらっしゃい」 6 ムニ、カウンターで、 ム「大将、お勧めは何かな?」 店「あー、うちはネギミソが売りかな~」 7 ムニ、手元のメニューを見ながら、 ム「そうかぁ、じゃあチャーハンにしようかな」 8 ムニ、出されたチャーハンを前に、 ム「チャーハンはね、強火で手早く炒めるのがコツだけど、 油の量も大事だよねえ」 と、手振りで説明。 店「・・・・」 11 1 ム「え、ラーメン? いやぁ、ちょっと油が心配でね、 控えてるんだ」 2 店の外 ム「いや~、散歩途中は腹が減るのか、チャーハンを 三杯も頂いてしまったよ。うまかったなあ。ははは」 店「お客さん、お勘定」 3 ム「そうだ、食後のコーヒーに行こうか」 4 喫茶店前 ム「喫茶毒花、か。地元の名店かな」 5 店内 入店チリリン ム「こんちわー」 女性「いらっしゃいませー」 6 ムニ、小さなテーブル席に着き、 ム「コーヒー一つね」 女性「はーい」 7 ム「有名チェーン店とはまた違った、こじんまりとした 佇まいで、店独自のこだわりを感じさせるねえ」 8 店主がカウンター越しにコーヒーを注いでいるのが見える。 ム「厳選された豆からカップに注がれるまでのひとときも いわゆる癒しになるよねえ。見えないけど」 12 1 女性「おまちどうさまでしたー」 ム「はーい、ありがとう」 2 ム「うん、いい香りだ」 3 ム「これに砂糖、シロップ、 ミルクをたっぷり入れて・・・・」 4 ム「コーヒーなんて苦い豆茶、焦げ湯だからねえ、 そのままじゃ飲めたもんじゃないよねえ」 5 ム「うむ、コーヒーはやっぱりブラックに限る」 6 店の外 ム「さ、まだ陽は高いし、散歩再開だ!」 女性「あの、お代を・・・・」 7 前方はやや傾斜 ム「平地でもよく見ると、地面には起伏があるものでね」 8 坂の前 ム「坂の存在は人生を感じさせて刺激的だよねえ」 1 坂の前 ム「ゆったりした坂は道路」 2 階段の前 ム「急勾配は階段にしたりね」 子を乗せた自転車をこいでいる。 ム「おお、頼もしきは母だなあ」 子を担う母は日増しに強くなり 将一」 5 坂を上がり始め、 ム「おー、ここの坂は急だねえ」 6 途上、止めてあった車を下に向けて押して、 ム「む、動かんな」 7 民家の庭先にあった車のタイヤを発見、 ム「ちょっと借りますよー」 8 ムニ、タイヤを転がす。コロコロ 14 1 タイヤは落ちて 2 勢いよく電柱や塀に当たり、跳ね返りながら、 3・4 民家に飛び込み、ドンガラガッシャーン!! ム「おほ、急な坂は激しいなあ、あっはっはっは」 5 ム「坂は下りるときは楽なのに、 上がるときはきついよねえ、 上がるときも楽ならいいのにねえ、 自然が現実の厳しさを教えてくれてるよねえ」 6 ム「それにしても、こんなとこまで家を建てるなんて、 みんな貧乏なのかなあ。かわいそうに」 7 ムニ、腕時計を見ながら、 ム「さて、汗もかいたことだし、そろそろ銭湯開始! なんてね。はっはっは」 8 ム「スーパー銭湯と違って、長年地域密着のとこは 夕方からだからね。ほら、長い煙突が目印になるね」 遠くに煙突。 15 1・2 銭湯前 ム「やっぱり我々の世代には、この宮型造りって いうんだっけ? この造りだねえ。様式美だなあ」 3 ム「大先輩方も開始前から並ぶし、 いや~、みんな元気だなあ」 老人「にいさん、並んでるよ」 4 ム「今時はお風呂セットも用意されてるから、 手ぶらで来られるのもいいよねえ」 5 戸を開けて、 ム「そして脱衣場の様子」 6 脱衣所全景 ム「昭和には始まったであろう木造家屋の雰囲気を そのまま残して」 7 ム「傍らには昭和を感じさせる旧式の体重計」 8 ム「マッサージチェア」 9 ム「小さな冷蔵庫にロッカーが並ぶ、と」 16 1 ムニ、服を脱いで、 ム「こんなときのために下着は用意しといた方がいいね」 2 ム「浴場ではケロリンの桶で軽く体を洗い」ザザー 3 ム「さっそく浴槽に浸かる」 横にはジャグジー風呂 4 まん前からボコンとあぶく。 ム「おっと、マイジャグジーだ。はっはっは」 5・6 ム「やっぱり銭湯には富士山が・・・・ないね」 壁には何も無く、下に小さな広告が貼ってある。 7 ム「最近は富士山じゃなくて洋風の絵の所も あるからねえ、あれは無粋だよねえ、 むしろ何も無い方が潔いいかもしれないなあ、うん」 8 脱衣所でコーヒー牛乳 ム「いわゆる文化施設の一つだねえ。 これからも残してほしいねえ」 17 1 外 ム「おーっと、ゆっくりしているうちに 陽が落ちてしまったなあ」 2 信号待ち ♪夕焼~け小焼けーの赤信号~か ム「さっぱりしたところで、行く先はわかってるよねえ」 3・4 居酒屋前 ム「古い居酒屋に一人訪れる、これも定番だよねえ」 5・6 店内 長めのカウンターにテーブル6つ程 客数人 ムニは入り口付近のテーブル ム「開店早々でも常連がいたり、 微笑ましい光景だよねえ」 7 ム「そこで最初の生ビール、と」合掌 女性「はいどうぞ」 8 ム「んぐんぐ」 9 ム「プハー!」 18 1 ム「一人ゆったり、ほてった体を生ビールで冷やす、 最高の一瞬だよねえ。さっきコーヒー牛乳飲んだけどね」 2 ム「もちろん、酒は適量、程々で、ほろ酔いが肝腎だよ。 肝(臓)腎(臓)というくらいだからね。 最近知ったんだけど」 3 店の外 夜 ム「というわけで、外はすっかり暗くなったけど、 心は明るいままなんだなあ」 4 ム「田舎と違って星は少ないけど、なんだか微笑んで くれてるような、いい夜になったねえ」 5・6 自宅前 ム「さて、明日はどこを歩こうかなあ。 ただいまー」 7・8 自宅玄関正面 中から声 「朝からこんな時間までどこほっつき歩いてたんだい!? 職安くらい行ったのかい?」 「うるせえ! 刑務所行くよりマシだろ!!」 終 これを載せた翌日金曜夜に漫画喫茶に入る前、 店の階下の踊り場で、降りてきたおばちゃんとすれ違う 直前に、上がって来た俺に気づいて視線をこっちに 向けた(らしい)瞬間、おばちゃんが2段程足を踏み外して、 前方の窓の下の壁に手を着く間もなく突っ込んで、 頭を激しく打って倒れてしもた。 ゲゲ、これはサプライズだ!とたまげて、どっちかってーと アクシデントか。入れ歯洗浄剤とか。おばちゃんに声かけても 反応無く、頭を抑えた状態で横になって動かない。 こっちは携帯無いから慌てて上の漫画喫茶行って 救急車呼んでもらった。 店員のあんちゃんはいつも通り淡々とゆっくりな反応 だったから、理解できたかチト心配になりながら、 ほっとくわけにもいかんから、また階下に下りておばちゃん の横に戻るも当然無為無策であわわの気分。 店員は確認に来るでもなく、ちとイラついて、もう一回 店に入ると店員は電話で救急車一台注文の様子。 また階下に行って、やっぱりどうなってるのか店員に聞きに 行くと、警察と消防に連絡したとのことで、 「今、(店員の役目があるので)出られないんです」 と言われて、そういやそうだっけと、でも、いつも通りの 落ち着きに、わかってねえんじゃねえのか、あ、俺に一切 押し付けようとしてやんなと思いつつ、でもやっぱり どうにもなんないし、仕方ないわいなと無理に納得して、 10分ほどで警官一人が自転車で到着、数分して救急隊員 6人くらい(忘れた)で、おばちゃんは隊員の呼びかけに 声は出してたし、いくつかの確認で大丈夫そうだと判断の 上、救急車に搬送の次第。 おばちゃんとは無縁ながら目撃者ってんで、警官と救急隊員に 住所氏名電話を聞かれて、さすがに付き添いはいらない ってんでホッとして入店。 店員のあんちゃんによると、おばちゃんはおそらくさっき 出て行った客で、酔っ払ってるような、ヨタヨタで本棚にも 頭ぶつけて、泥酔客はお断りとしてお引取り願ったから、 その人だろうとのこと。 それにしてもたまげたなもう。こっちは気が小さいんだから、 自分が無事でも出くわしたくないわいな。 車だけでなく、階段も気をつけなくてはいけないんだなあ、 と思った出来事でした。 2014年04月11日 俺ニート1ヶ月にして 精神の限界を迎えるwwwwwwwwwwwwwwww 1 名無しさん :2014/04/08(火)14:07:10 ID:uM58ZIEm6 親の小言に周囲の視線 こんなの耐えられないわ やっぱり先輩方は格が違う http://alfalfalfa.com/archives/7200370.html 2014年09月20日 知らない町って散歩するとめっちゃ楽しい http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/kankon/1361268607/ http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4747598.html
by huttonde
| 2014-04-03 18:40
| 漫画ねた
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