30度以下。 やれば できるじゃないか。 それでいいのだ。
by huttonde
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時代劇 6
まもなく、薩摩の部隊が弥兵衛宅の門前まで来た。
庭内では弥兵衛と妻、倅の弥助、知らせて来た老婦人や
同じく作業中だった農夫らと、牛の世話をしていた
下男の留吉、三左衛門や兼吉ら十一人が平伏して、
入ってきた隊長と副長らしき二人を出迎えた。
隊長は白く長い熊毛陣笠をかぶり、西洋式軍服に
陣羽織姿で大小二本を腰に差して短い杖を持ち、
副長も同じく陣羽織で黒毛陣笠をかぶっている。
後ろには銃を水平に構えた兵四人が
それぞれ離れて立った。
隊長が三左衛門らを見下ろして、
「我らは官軍薩摩藩軍の特別宣撫隊じゃ。
会津領内で秩序回復ば任務に巡回しちょる。
領民に危害をかたす(加える)気は毛頭ねぃが、
賊軍会津に組んもんは、民百姓といえど許さん。
必要とあれば更に部隊ば派遣して徹底的に取り締まる」
隊長は前列真ん中に伏す三左衛門を見て、
「おはんが庄屋(名主)の主(あるじ)か」
三左衛門は思わず、
「おは・・・・へ、へぃ、三左衛門にごぜぇます、
隣にいるのが父弥兵衛と弟の弥助でごぜぇます」
と声も大きく平伏し、弥兵衛と弥助も伏した。
「こん村の辺ぃに賊軍の兵は来るか」
「いえ、この辺は戦もねえので、兵は見てねえです」
「うむ・・・・とこいで、おい達ははうばう九州より
来ちょるで、何かと入用じゃ。協力してくれんか」
「へ、へぇ」
三左衛門が弥兵衛を見ると、弥兵衛は、
「あ、あのう、そこに用意しましたのが、
我が家に貯め置きました米一俵と、
辺りで採れました野菜に、酒が一樽にごぜぇます。
僅かですが遠路の疲れを癒して頂きたく存じます、へぃ」
傍にゴザが敷かれ、それぞれが積まれている。
「うむ・・・・」
不服らしき顔の隊長に弥兵衛は、
「あの、お城も離れた山ん中の小せぇ村ですので、
なかなか物も手に入らず、酒は村の祝いごとに
取っておいたものにごぜぇます。
なにとぞお納め下さいまし」
「うむ、献上品か。なかなかよかもんじゃ。
遠慮なくもろうとくが、他でもよか」
「他、でも・・・・?」
弥兵衛が不審そうに言葉を継ぐと、
三左衛門が袂から紙の包みを取り出し、
「これを、御受け取り下さりませ」
と、隊長に両手で差し出した。
隊長が受け取って包みを広げると、
一分金と二分金が三枚ずつあった。
「自給自足の村で金目のものはありませんが、
いざというときのために取っておきました」
「うむ、よか心がけじゃ、もろうとく」
隊長の笑みに同じく三左衛門が笑みを返すが、
「となると、じゃ」
「へ?」
「すっぺ(全部)出すしょちもん(正直者)は
ないじゃろ」
「へ? え?」
三左衛門が聞き返せないまま、隊長が副長に指図すると、
副長が複数の兵と共に家の中に土足で上がり込んだ。
「あ、ちょっと・・・・」
弥兵衛らが慌てるが、副長らは構わず家の中で各部屋の
襖を開け、扱いも荒く箪笥や押入れを物色し始めた。
兵達は着物や小道具類などを運び出して来て、
「大した物はねごちゃです」
と、副長が隊長に長い綱に繋がれた一文銭の束を見せた。
三左衛門は、
「お待ち下され、いかに官軍といえども、
家に土足で踏み込んで物を運び出すなど、
まるで物盗りではねえですか」
「無礼もん! 立場を弁えろ!」
副長が抜刀して怒鳴りつけた。
隊長は軽く止めの手振りをして三左衛門の頭上まで
進むと、持っていた杖で思い切り三左衛門の頭に
叩きつけた。
三左衛門は衝撃と激痛で、
額を両手でかばいながらふさぎ込んだ。
額が切れたらしく、
三左衛門の手の隙間から血がにじんでいる。
隊長は弥兵衛達を見回しながら、
「いいか、ゆうておくぞ、
ここは凶賊会津の領内で、
おはんらはその領民じゃ。
これまで畏れ多くも天朝に逆らい、
官軍に楯突いたあの賊どもば支えたのは、
ひとえに領民の無知と卑屈さにある。
本来なら村ば焼き、皆殺しにするとこじゃ。
よく反省して今後はおい達に協力せい。
わかったな!」
との怒号に弥兵衛達は、
「はいー」
と深く平伏した。
「とこいでな弥兵衛」
と、隊長は弥兵衛に、
「物ば運ぶにも兵の手も塞がっちょるで、
牛が要る。貸してくれんか」
「・・・・え、牛・・・・」
隊長が杖で指した先には、弥兵衛宅の隣の牛小屋があり、
茶色の一頭が顔を出している。
弥兵衛が慌てたように、
「あれは、この村で畑のために村で融通して
おりまして、いなくなると困るものでして・・・・」
「いっとき借りるだけじゃ。問題なかろう」
「へぇ・・・・」
隊長に指示された兵二人が牛小屋に移動した。
隣家の小さな窓から房太郎と次郎太が
隣の牛小屋の様子を覗き見ている。
兵二人が、
「くせぇなあ・・・・また貧相な牛だな」
「ふん、こげんボロ牛しかおらんか」
と、扱いも荒く牛を引き出そうとすると、
牛は嫌がるように大きく鳴いて辺りに響いた。
すると、道子夫人の赤子が泣き出した。
兵二人は泣き声に気付き、隊長に目をやると、
同じく気づいたらしい隊長が杖で指図した。
兵二人は泣き声のする離れた民家に移動し、
引き戸を開けた。
中には、三畳程度の土間に大小の農機具が所狭しと
置かれ、そこに老いた男と中年の男がおり、
隣の囲炉裏のある四畳半程の板の間には、
老婆と中年女性とまだ幼い男女の子供二人に、
さいが座っている。目の前に赤ん坊はいないが、
泣き声は続いている。
「おい達ぁ官軍の薩摩軍じゃ。
赤ごんこの泣き声がしたが・・・・」
住人が伏している中、兵二人が土足で上がると、さいが、
「お待ち下さい、官軍でも土足でいい決まり
なんてないでしょう、ちゃんと脱いで下さい」
と食ってかかった。
三左衛門の娘であるさいは、戦死した塚越富五郎の
妻であり、まだ二十歳前の明るく芯の強い女性で、
鉞子(よきこ)や年上の次郎太達にも良き姉役のような
存在で、一行に同行してからは母堂邦子と道子夫人、
鉞子の身の回りの世話役になっていた。
兵も憤慨して、
「おはんらこそここで何をしちょるか。
おい達が来てなぜ出迎えに並ばんか」
と、立ち上がって止めようとするさいを遮って
障子を開けた。
隣の六畳間には、母堂と国子を抱いた道子夫人、
鉞子(よきこ)と房太郎がいた。
それぞれがまた頭を下げた。
赤ん坊の国子は激しく泣いている。
さいは怯まず、
「あなた方が来るなんて聞いてませんよ。
あなた方が騒々しく来るから赤ん坊が
泣き止まないんですよ、出てって下さい」
房太郎は困惑顔で俯いている。
(次郎太の野郎、肝心なとこでどっか行きやがって・・・・)
そこで母堂邦子が口を開いた。
「あの、官軍の兵隊さん、うちはご覧の通り大所帯で、
幼い子が三人もいるもので、すぐにお迎えできませなんだで、
なにとぞお許し下さい」
と、改めて平伏した。
「あの、もしよろしければ・・・・」
母堂は押入れを開けると風呂敷包みを取り出し、
包みを解いてたたまれた着物二反を手にして、
「わが家の大事なもので、決して高くはありませんが、
色も生地も良きものでして、もしあなた様に大事なお方が
おられましたら、土産として持ち帰るのも一興と存じますよ。
非礼のお詫びに差し上げましょう」
と、兵1に差し出した。
「着物か・・・・」
兵1は受け取るも考えあぐねている。
「では、これも付けましょう」
と、母堂は懐から櫛を取り出し、
「ほら、あなたも」
と、道子夫人にも声をかけると、
道子も慌てて懐から櫛を取り出し、母堂に渡した。
「あなた方は男だから分からないかもしれませんが、
この櫛も職人さんの手作りで良い物なんですよ。
お母様にでも差し上げれば喜ぶと思いますよ」
と、母堂は着物と櫛を兵二人に差し出した。
兵1は「うむ、もらっとくか・・・・」と受け取るが、
兵2は「おいは・・・・いらん」と断った。
「なぜだ。もらえばよかろうが」
「おいは物乞いじゃなか」
と、立ち去ろうとする兵2に兵1は、
「おい、待て、おいが物乞い言うんか」
と腹を立てた。兵2は、
「官軍が敵の領民に物乞いしたと噂が広まれば、
後々の憂いとなるじゃろ」
「憂いは我ら官軍が賊を討つことで終わりじゃ、バカめ」
言い合う兵達の様子を伺う母堂ら住人達。
「隊長に知れたら事だぞ、戻ろう。邪魔しもした」
兵2は振り返って母堂らに軽く一礼すると出て行き、
「おい、待てや」
と兵1も後に続いた。
一息つく道子や房太郎達。
「さすが母上様、兵を返す機智、お見事にございます」
道子夫人が感心して笑顔になった。
「なんの、武士の妻で母なれば、ね」
母堂も笑顔を返した。が、
「・・・・西軍も色々あるようね」
「ちょっと失礼」
と、房太郎が囲炉裏の部屋に移り、さいに、
「姐さん、次郎太は?」
「いえ、見てないけど」
房太郎が外へ出て辺りを見回すが、次郎太はいない。
(あの野郎、何が『おまえだけじゃ心配だ』だよ)
房太郎が遠く部隊と三左衛門らのやりとりの様子を
垣根越しにのぞき見る。
「うむ、家族か」
戻って来た兵から報告を受けた隊長は、
「弥兵衛、この村の世帯は」
「へぇ、ここは二十五です」
「人数は」
「たしか百六十人程だったかと・・・・」
「出迎えは十一人か」
「いえ、いきなりだったもので、皆に知らせるに
至りませんで、決して逆らうとかではありませんので、
なにとぞお許し下さい」
弥兵衛は慌てて平伏し、
「では、今からでも村の者を・・・・」
「もうよか」
隊長は杖を振ると、門の外で待機中の兵達が
入って来て整列した。



隊長は副長にコソコソ話して、副長が兵士達に、
「これより二人一組で各家に回って、支援ば要請しろ。
抵抗する者は会津の諜者じゃろから逮捕じゃ。
逆らったら処罰も仕方なか。遠慮無用」
副長の命令に弥兵衛は慌てて、
「お待ち下され、会津の村々は何年も重い年貢で
決して裕福ではありません、家々を回ったところで
金目の物など無く、採れた野菜くらいしか
差し上げられません、嘘でねえです」
隊長は無表情に、
「三左衛門」
「へぇ」
三左衛門は額に血が残ったまま俯いている。
「おはんの親父はこげなことばゆうておるぞ。
主としてどう思う」
「へぇ・・・・残念ながら事実でごぜぇます」
「弥兵衛、おはんは庄屋の主の親であったな」
「あ、はい」
「以前は主であろうおはんが、
村の貧しさば喧伝するとは何事か。恥を知れ」
顔をこわばらせる弥兵衛の横で三左衛門が、
「三左衛門、庄屋として繰り返し申し上げますが、
ここ数年、領内のいかなる村も裕福にあらず、
皆暮らしに追われておりますが、
それでも村同士互いに助け合い、同じく
村の者が不足すれば融通して励まして、
共に生きております」
「綺麗事は好かん。徳川方諸藩に一揆が
頻発しておるのを知らんか。
それもこれも徳川方が旧弊にこだわって
民を犠牲にしおったからじゃ。
それを打ち砕いたのが官軍じゃ。
会津もまた潰すべき一つじゃ」
「・・・・薩摩は裕福でございましたか」
三左衛門が睨むように隊長を見上げた。
「なに」
「民を犠牲にして幕府に成り代わろうとしたのが
薩長ではないのですか」
「利いた風な戯言ゆうな。逆賊を気取るか」
と、隊長が怒鳴りつけた。
副長が、
「準備整いました」
「よし、行け」
隊長が副長に、副長が兵達に
「出発」と号令すると、
二人一組の兵達が四方の各民家に向かった。
「うわっ、また来るんか」
房太郎は慌てて家に戻り、
「御母堂様、奥方様、また兵が来ます」
二人に叫んだ。
「逃げますか?」
道子夫人が母堂に聞いたが、
「・・・・間に合いませんね・・・・」
兵二人が戸を開けると、
先ほどと同じく母堂らが座っている。
「わしらぁ官軍の薩摩軍である。おはんら賊軍の土民ども、
金目のもんは全部差し出せ。隠すとためにならんぞ」
兵の怒号に赤子の国子が再び泣き出した。
やはり土足で上がり込んで横柄な態度の兵士に母堂が、
「先ほど兵隊さんがいらっしゃって、
お土産を持たせましたが・・・・」
「知らん、わしらぁ手ぶらじゃ、出せ」
「出せと申されましても、裸になるわけには・・・・」
「かまわん、無いなら脱げ。もろうてやる」
さいが立ち上がって再び強気に、
「官軍は盗賊なんですか、
それとも薩摩軍が盗賊なんですか」
「黙れっ小娘」
と、兵は持っていた銃の銃床で
さいの頭部側面を打ちつけた。
さいは瞬時に手でかばうも衝撃は強く、よろけ倒れた。
道子夫人に抱かれた国子が激しく泣いている。
房太郎もたまらず顔を上げて、
「て、天下の官軍兵士が一領民のおなごを殴るとは、
薩摩こそ賊軍ではないですか」
「うぜらしっ」
と、房太郎もまた銃床で殴りつけられ、
倒れると兵二人から横っ腹を蹴られ踏まれた。
と、兵が一人倒れ、また一人も倒れた。
房太郎が見ると、次郎太が脇差を持って立っていた。
房太郎は痛む上半身を起き上がらせて、
「次郎太、いたのか」
「ちょっと様子見に行ってた」
と、脇差の血を兵士の服で拭き取っている。
「もうちょい早く来てくれよ」
二人の兵の首からは血が流れている。
房太郎は困惑して、
「でも、おめえ・・・・派手にやりやがって
・・・・どうすんだよ」
「どうもこうもねえだろ。殺るしかあんめえ」
と、次郎太は素っ気ない。
さいの上半身を抱えた鉞子(よきこ)も心配そうに、
「ジロさん、後のこと考えなきゃ・・・・」
「考えても殴られたり、あるいは・・・・でしょう」
「まぁ・・・・」
「んも〜、次郎太はひねくれもんなんだから」
さいも呆れ顔になった。
と、道子夫人が眉間にしわを寄せて
つらそうにうつむき、
「道子?」
母堂が声をかけたのと同時に後ろへ倒れかけ、
慌てて母堂が支えた。
「道子!」
鉞子とさいも道子に寄り添った。さいが、
「目の前で人が斬られたことに耐えきれず
気を失ったのでしょう」
母堂も、
「確かに、目の当たりにするなんて、
私も初めてです・・・・」
と、袂から手ぬぐいを取り出して口に当てた。
鉞子も同じく手ぬぐいを口に当て、
吐き気をこらえた。
心配そうな房太郎が次郎太に、
「頭(かしら)に許し得たのか」
「そんな余裕あるわけねえよ・・・・とりあえず運ぼう」
次郎太と房太郎が、兵士の遺体を家の裏に運び出し、
「ほれ房太、脇差もらっとけ」
と、たすき掛けをして兵の脇差を自分の腰に差し、
共に部屋に戻ると、次郎太は残された兵の銃を
拾い上げて銃口や各部を確かめた。
「こりゃエゲレス銃か。
(弾は)元込めだわ。ありがてぇ」
「使うのか」
「脇差でいいのか?」
とちらりと目を向き、銃を遠くへ構えて見せた。
母堂も心配して、
「次郎太、村の人達を巻き込まないようにして下さいよ」
次郎太は片膝ついて、
「は、連中が再びここへ来ないうちに、
始末して参ります。では」
と一礼して房太郎と外に出て、
遺体の弾盒(だんごう・弾入れ)から
弾を抜き取りながら次郎太は、
「もう充分巻き込まれてるけどな」
「余計なことを・・・・始末して参りますなんて
調子いいことこきゃがって、どうすんだよ、
奴らあと十八人はいたはずだぞ」
「百人なら無理だろうが、やりようだろう。
覚悟決めろよ」
「追い詰めてくれるなあ」
二人は細い通りを小走りに進みながら、
「まあ、多勢に無勢だ。
あいつら二人一組で家廻ってるだろ。
近いとこから脇差で削って行こう」
房太郎が次郎太の二本の脇差に気づき、
「あれ、おめえ、二本持ってんのかよ」
「ああ、自分のとさっきの兵のやつだ。
おめえ自分のどうした」
「どうしたって、脇差差してたら、
奴らに斬られてたか撃たれたかもしんねえよ」
「なるほど・・・・って、言うわけねえだろ。
おめえいつも差してねえだんべ」
「まあね」
房太郎は苦笑した。

・・・・
「無いで帰うと思っとうのか」
隣の家の中で怒鳴り声が聞こえる。
囲炉裏部屋で兵が住人の中年男性を蹴っている。
銃を構えた兵二人に男性はペコペコと平伏し、
「お許し下さい、わが家は貧乏で差し上げるほどの物も
ごぜぇませんで、ほんとにお許し下さいまし」
と哀願した。
すると、兵2が1に耳打ちした。
「・・・・なうほど」
兵1は笑みを浮かべて、
「うん、わかった、物はよか」
男性はほっとした。が、
男性の傍に控える若い女性に声をかけた。
「おい、こら、おなご、おい達と来い。もろてやる」
兵1が女性の腕をつかんだ。
慌てた女性が、
「勘弁して下さい」
と叫んだが、兵1は無理やり引っ張り、
「うちのかかに手ぇ出さねえでくだせぇ」
と止めに入った男性は兵2に殴られ蹴られて、
勢いよく囲炉裏に倒され、灰が巻き散った。
そこに、兵の後ろからドタドタと物音がして、
気づいた兵1が振り返ると首を斬られた。
兵2は振り返りざまに銃を向けようとしたが、
次郎太が銃を払いのけ、刃を横にしたまま
思い切り喉元に当てて突進し、兵を壁に打ち付け
脇差を横に払った。兵は床に崩れ落ち、
斬り裂かれた喉から息の漏れる音がした。
「あと十六人」
次郎太が兵の服で脇差を拭う。
住人の夫婦が腰を抜かしたように座り込んで、
「村(ここ)でも戦が始まったんですか?」
房太郎が困ったように、
「いえ、ちょっとばかり西軍の連中が
無理して出張って来ましたんで、
やり返してるとこでして・・・・」
次郎太は深々と頭を下げると、
「御迷惑おかけました、急いでおりますんで、
掃除はすんません、勘弁して下さい」
房太郎が、
「このままか?」
「いや、裏へ持ってこう」
二人はそれぞれ兵士を抱えて
裏へ引きずって行った。
房太郎がボソッと、
「・・・・後ろを襲うとは卑怯だよな」
「それなら飛び道具も卑怯だろうが」
「でも、なんだか気分良くねえわ」
「あたりめえだ。気分いい戦なんてあるかよ。
殺るか殺られるかだ」
次郎太と房太郎はそそくさと場を後にした。

by huttonde | 2016-06-14 14:50 | 漫画ねた | Comments(0)
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