『打ち上げ花火』を「ジュブナイルの純粋さ」で語るのは容易だろう。
恐らく僕も42歳のオッサンになったからこそ、若い頃観た時よりも心に突き刺さったんだろうね。

しかし、だからこそ、子供の無垢さを称揚するのは、ちょっと違うと思う。
子供だって大人だって、純粋さは心のコアな部分にあるのだと思っている。
その「見せ方」が違うだけだ。

だからオッサンも涙できるのだ。

多くの少年少女達が、ある時期までは訳の解らないまま、自分の純粋さを弄ぶ。
やがて自分の純粋さに最初に向き合うのが、恋だろう。
他人を意識して初めて、まだ動物に近かった未成熟の人間が、自分に「心」があるのだと知る。

そして大概、最初の恋は挫折する。
剥きだしだった「純粋さ」は、ここで傷つくのだ。

そこからいろんな経験をして、いろんな挫折をして、純粋さだけでは生きていけないのだ、と学んでいく。
人は純粋さの「隠し方」を学ぶ。
こうして人は、大人になる。

でも、隠しているだけで、大人にだって「純粋さ」はあるのだ。
だから涙を流すのだ。


ただ、そこでこじらせてしまうと、こじれるんでしょうな。
「ポタク」などはこじれまくった結果だと思う。

でも、生きとし生けるものは皆、何歳になろうが、心のコアに「純粋さ」を持っている。
そう思いたいな。


僕はすべての人々の心にある「少年少女」に呼びかけるため、アニメを作っているのかも知れない。
などと言いながら『薄暮』に向かう。