sun_今回は番外編として、アサヒビールの甲類焼酎、燦とSAZANを飲んでいきます。
発売こそアサヒビールですが、実は両方とも製造はニッカウヰスキーが手掛けています。

燦(SUN)は、元々協和発酵(現:協和発酵キリン)が、第一次焼酎ブームである1970年代後半から発売していた焼酎です。
原材料としては、廃糖蜜、麦、麦麹となっています。

協和発酵は、発酵技術をもとに抗生物質などの医薬品の製造と焼酎、清酒、ワインの製造をメインにしていました。

しかし同社が医薬品事業に集中するため、2002年に酒類製造と販売部門を分離、アサヒビールとの合弁会社として独立、のちにアサヒビールの子会社であるニッカウヰスキーが買収しました。

北九州市にある門司工場は、現在ニッカウヰスキーの所有となっていて、燦のほかに、大五郎やダイヤといった甲類焼酎、そしてかのかなどの本格焼酎の製造拠点となっています。

sazan_一方でSAZANは2002年に発売されました。ちょうど合弁会社を設立した時期と重なります。
原材料は、廃糖蜜とトウモロコシです。

大きな特徴としては、一般的な連続式蒸留器で蒸溜された原酒のほかに、宮城峡蒸溜所にあるカフェ式蒸留器で蒸溜した「カフェ焼酎」をブレンドしている点です。
最近になって、ジン、ウオッカの蒸溜にカフェ式蒸留器を使った製品を出していますが、15年前からこうしたアプローチが行われていたわけです。

では、まずストレートで飲み比べてみます。

燦は、全体的な香りはさほど感じ取れません。味わいこそ、原材料由来のほのかな甘みがあるくらいです。樽熟成された原酒もブレンドしているはずですが、あまり感じ取れません。

一方でSAZANは、トウモロコシならではの香りがほのかに訪れます。一見するとポップコーンっぽさがあります。
味わいも甘みがあるものの、砂糖というよりゆでたトウモロコシをかじったときに甘さに近いです。

次に炭酸水で割ってみます。香りを確認したいので、1:1と濃いめにします。

まず燦ですが、香りはほんのりと麦焼酎のようなものが現れます。味わいもストレートから感じ取れた甘みが崩れていない印象です。

一方でSAZANは、香りはストレートほどトウモロコシっぽさは感じられず、むしろ残り香として花を通ってきます。味わいは、若干ビターな印象が出て、単純な甘さだと感じられません。

双方の特徴や傾向は異なり、チューハイなど割ったときに香りや甘さが表に来る燦に対して、ストレートでも楽しめることを考えたSAZAN、という風に感じられました。

個人的にこのジャンルで一番だと思うのは、宝焼酎 純やレジェンドですが、SAZANはストレートで飲むのであれば、純に匹敵する印象がありました。