東京都議会で塩村文夏都議に対して女性差別的なヤジが発せられた問題で、ネット署名サイトChange.orgで行われていた発言議員の特定と処分を求めるキャンペーンは、9万人以上の声を集めて終了した。4日間で9万人もの署名が集まるのは、2012年に日本版のサイトが立ち上がって以来、最大で最速だという。これを受けて、この署名の発信者「東京都議会における差別発言を許さない市民一同」は6月26日、参議院議員会館でヤジ事件と今後の対策を考えるワークショップを開催。署名に賛同した100人以上の一般市民が集まり、熱い意見交換を行った。
グループに分かれて今後の対策を議論
このイベントには、司会を務めたジャーナリストの津田大介氏、Change.org日本代表のハリス鈴木絵美氏のほか、ジェンダー・アクション・プラットフォーム(GAP)の斎藤万里子氏、NPO法人Fine理事長の松本亜樹子氏、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員の治部れんげ氏、NPO法人ファーザリングジャパンファウンダーの安藤哲也氏、女子大生チームmanma代表の新居日南恵氏が登壇。蓮舫参議院議員、福島みずほ参議院議員も出席した。
第1部では、登壇者からの挨拶と今回の件についてコメントがあり、第2部で、参加者が4つのグループに分かれて、1、女性に対する差別・人権侵害について考えよう、2、男性を巻き込もう、3、メディアについて考えよう、4、アカウンタビリティーについてもう一度考えよう、という4つのテーマについて話し合った。
ひとりひとりがアクションを起こす
活発な議論の結果、具体的には次のようなアクションプランがまとまった。
・インターネットを活用してリコールする
・女性たちが声を上げてもいいと思える教育を行う
・お互いに相手の立場を理解し、男性対女性の構図をなくす
・海外のメディアの外圧を利用しよう
・市民のアクションを広く周知させる
・政治家を選ぶ有権者の意識を変える
ハリス鈴木氏は「ここで終わってはいけない。ひとりでも誰でも社会を動かすアクションが起こせる」と強調。津田氏も「アクションプランをひとりひとりが実行していくことでしか社会は変わらない」と訴えた。
連帯していくことがポジティブな動きに
参加者の中には子連れの女性や若い男性の姿もあった。差別意識や人の話をまともに聞かない議会の文化を変えるきっかけになると思い参加したという佐藤岳さん(52)は、「ネットで署名したのは初めてだが、日本人もやればできることがわかったいい例になったのでは。今日はもっと議論の時間が欲しかった」と話す。
GAPの斎藤氏は、「建設的な議論ができてすごく良かった。すでにブログで発信している方もいて、それぞれのやり方で声を上げていくことが大事。今回のような考えを共有できる場は貴重。自分だけでやっているより連帯していくことがポジティブな動きになる」と述べた。
地方自治法で定められているリコール(解職請求)には、対象の議員の選挙区の有権者の3分の1の署名が必要で、さらに住民投票において過半数の賛成が必要となる。なお、都議会選挙は3年後。その時まで都民は今回のことを忘れないことが大切だ。
(編集部)