剣なのか、野蛮人なのか
8世紀から15世紀まで、そのような対立は、現在の仙台を境に行われていた。本州北部については、日本人による開発はほとんど進んでいなかった。その土地では戦闘に優れたアイヌ人らが生活していた。アイヌ人の呼称のひとつである「エミシ」という言葉が、「剣」を意味するアイヌ語である「エムス」から来ているというのも偶然ではないだろう。日本人は、「エミシ」と言う言葉を、野蛮人を指す言葉として使った(蝦夷)。日本書紀には、蝦夷、すなわちアイヌ人たちが、平和な日本人たちを脅かす野蛮人として描かれている。またアイヌ人たちとの対立の中で、その戦闘術を受け入れながら、侍階級が形成されていったという説もある。さらに侍階級の家の一つであるアベ氏などは、アイヌの血を引いている。
15世紀中ごろから、日本人のアイヌ人に対する戦いは次第に優勢となって来た。松前氏は当時蝦夷地と呼ばれていた北海道の征服を開始した。侍たちの軍隊が北海道へ侵攻した際、アイヌからの抵抗に遭ったが、アイヌ側にも多くの日本人がいた。つまり、これは文明対野蛮の戦いではなく、蝦夷地に住んでいた人々の、中央政府からの独立闘争だったのである。
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