ftb01今回は、ジャパニーズウイスキーという定義について考えてみます。

国内では、サントリーによるハイボール戦略によって火がつき、テレビドラマの影響で国内需要が一気に増えましたが、最近では一過性のブームとしては沈静化しつつあります。

一方で海外ではWWAやISCで日本のウイスキーが高い評価を得ていることもあり、ブームを超えてウイスキーの産地の一つとしてジャパニーズウイスキーが認知されつつあります。

そんな中で、国内でも次々ジャパニーズウイスキーを出すメーカーが増えています。
しかし、国内で醸造、蒸留、熟成をすべて行っているとは限らないメーカーもあります。

大手メーカーを除いて、醸造、蒸留、熟成をすべて行っているメーカーには下記が挙げられます。
  • 本坊酒造(鹿児島県鹿児島市、長野県上伊那郡宮田村)※一時操業停止、2011年から再開
  • ベンチャーウイスキー(埼玉県秩父市)
  • 相生ユニビオ(愛知県西尾市)
  • 宮崎本店(三重県四日市市)
  • 若鶴酒造(富山県砺波市)
  • 江井ヶ嶋酒造(兵庫県明石市)
  • ヘリオス酒造(沖縄県名護市)※蒸溜所は操業停止。残された原酒を限定販売。
  • 笹の川酒造(福島県郡山市)※一時操業停止、2016年から再開
  • 堅展実業 厚岸蒸溜所(北海道厚岸郡厚岸町)
  • 木内酒造(茨城県那珂市)
  • ガイアフロー 静岡蒸溜所(静岡県静岡市葵区)
  • 長濱蒸溜所(滋賀県長浜市)
  • 宮下酒造(岡山県岡山市中区)
一方で、自前での醸造、蒸留をしておらず、海外からモルト原酒を購入して熟成のみを行っているメーカーもあります。
  • 札幌酒精(北海道札幌市西区)
  • 東亜酒造(埼玉県羽生市)※蒸溜所は閉鎖。将来的な建設、蒸溜を予定。
  • 松井酒造合名会社(鳥取県倉吉市)
  • 中国醸造(広島県廿日市市)
東亜酒造は将来的な蒸溜所の建設(再開)を見越してのブレンド技術の蓄積の目的があるのですが、他のメーカーにおいては自前でのモルト原酒の製造を行っておらず、これをジャパニーズウイスキーのカテゴリーに入れるのはいかがなものかと思います。

kurayoshi特に松井酒造、中国醸造は、「日本製」「ジャパニーズウイスキー」を謳っており、自前で熟成させたのだから文句があるか、といわんばかりのレベルで、自前で蒸溜所を建設して製造するメーカーにも失礼ではないかと思います。

最近ではワインにおいても、「日本ワイン」という、日本産のブドウを100%使い、日本のワイナリーで醸造されたものにつけられる基準を設けました。

ウイスキーにおいても、「ジャパニーズウイスキー」とはどこまでを指すべきか、と、業界全体で基準作りをするときではないでしょうか。

個人的には、大麦麦芽を100%国産にする、モルティングを自前で行うのは現時点で困難(大手メーカーもスコットランドに任せている状況)ですので、最低でももろみを醸造、ポットスチルや連続式蒸留器で蒸留したモルトおよびグレーン原酒を国内で造り、国内で貯蔵、熟成させることが、ジャパニーズウイスキーの最低基準にすべきだと考えます。

国内のウイスキー人気は落ち着きつつありますが、海外では未だ人気が続いています。
そんなときに、まがい物が外国人観光客に変われ、悪い印象を与えることで、この人気に水を差すことはあってはならないと思います。