山中の学舎は朝4時に起床して、21時消灯(就寝)
朝4時に「起床!」の大号令で始まり、21時の「消灯」の号令で1日が終わります。
この起床の号令で15秒以内にフロアーという言われる踊り場に全員が集合して整列、点呼を行わなければなりません。
各寮(学寮と呼ばれていた)は3階建ての建物で、各階ごとにこのフロアーがありました。
私の入った寮は伝統有る農業科の寮で行学寮と呼ばれており、この寮は農業科だけの寮で小さな学寮でした。農業科は1学年1クラスで3学年でだいたい90名から100名だったのすが、これが少ない方の学寮だったのです。他の学寮その倍くらいの学寮が大半でした。
私たちが入学した年にこの学寮が移転になり仮住まいの大志寮1階に行学寮として居候することなったそうなのです。(前年に何か問題を起こしたのかもしれません。)
それでは私たちはこの大志寮1階に行学寮にとして農業科1学年から3学年が入っていました。
何も事情がわからない私たち新入生は、それが普通ではないと後々まで解りませんでした。
そんな小さな行学寮は1フロアーに全員が15秒ほどで集合して(100名ほど)
眠い中点呼を終え、解散。
挨拶と点呼終了後3分以内に洗面を終え、布団をたたみ、体操に着替えて再度集合です。これが3分以内に出来ないと外にて裸で正座させられた新入生がよく居ました。(もちろん山の中の冬でも)
4月の山中の午前4時はまだまだ寒く、ぶるぶる震えながらの正座して瞼を閉じそうになる姿を見ました。(死にかけているんじゃないの?)
これが発見されたら頭から水を掛けられて蘇生されていました。
このとき他の人間は約15分程これから丘の上にある神聖な道場(武道館のような体育館)にあがるために、そしてそこで行われる晨行(心行)の為の準備晨行を行うのです。
この晨行と言うのは、山中の学舎の独特の動の座禅と言われる大変激しい荒行で、無心になる為の朝の行でした。(”行”ってわかりますか?経験したことのある方でないとその意味は解りにくいですね)
その準備運動のような準備晨行を寮内のフロアーでまだ眠る体と頭で、毎日毎日行っていたのです。
この準備の寮内晨行が終わると、外に整列して道場まで道場坂を連隊を組んで掛け声をあげて駆け上がるのです。
この整列で思い出すことは、一度私たち新入生が入学間もない頃に、新入生の隊列が整列が遅いと言うことで、指導担当上級生に新入生が寝ぼけていると言うことで、裸にさせられてまだ凍てつく路面に全員を寝るように指示されたことです。
凍てつく路面に背中は直ぐに冷え切り、体温が奪われていくのを覚えています。
そのことで、それを知った学寮長(上級生で寮を取りまとめる一番の人間)と指示した指導担当上級生が口論になり、行き過ぎだったことを反省していた話を聞かされたことを、今でも覚えています。
そんな体験もして私たちは毎日道場に上がりました。
道場でのは話は次回にさせてもらうことにしまして、道場での晨行が終わって、ほっとして帰ってくると
数組の布団が外に捨てられていました。
たためていない布団や、たたみ方の悪い布団が上級生により外に捨てられて居たのです。
今思えばむごい話です。14、15歳の少年が親元離れてこの厳しい環境で毎朝早く荒行しながら、
唯一の安らぎの場である就寝用の布団が捨てられている。
今思えば居たたまれないですが、そのときは必死だったのと、自分の現実がそこにあったのでその惨さは感じなかったですね。といくことは自信の知らない間に鬼のようになって行ってたのかもしれません。
このような事を経験をしてきているから、私のような人間が出来たのかも知れません。(笑)
今日も冷たいのか暖かいの解らない人間だと言われました。
たぶん、あのときの凍てつく路面のように冷たいのでしょうね。
紹介が遅れましたが、私はこの山中の学舎で農業科に属していたのです。もちろん3年間。
不思議となぜか農業科に。
祖父は農家の人間だったので、会ったことの無い祖父にあこがれて農業を勉強しようと考えたのかも知れません。どうしてその道を勉強し始めたのか今でも不思議です。
しかし、ここで学んだことは今も生かされ、私に力を与えてくれています。
ここで私は沢山の植物の名前と家畜のことを知り、人間が生きていく一番最初の術を教えてもらいました。
この農業科の学習で、現在も仕事で一番役だっていることは、農業簿記を教わった事です。(学生の時は何のことか解らず嫌いでしたが)
これが現在の商業複式簿記を理解し勘定科目が把握できることも、自分で記帳もできる能力もすべてがこのときが源であると思います。
でも縁ですね。この農業簿記を学んで居なかったら、未だに簿記が解らず元帳の意味や勘定科目も解っていない人間だったと思うのですよ。
今の私しか知らない人は、まさか私の人物像から簿記を理解しているとは思わないらしいのですし、動植物んことも理解している人間だとはとても想像しがたいらしいです。
さあ、次回は早朝4時半からの道場での過酷な荒行を。
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