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2017-08-11 日本は世界一GDPシェアが減少しているがそれは人口減少とは無関係 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメントAdd StarBUNTEN

蓮舫氏が辞めた後の民進党代表選挙枝野氏と前原氏が立候補していますが、その枝野氏の打ち出す経済政策の背景には「人口減少など社会成熟化による需要そのものの減少」があるそうです。 *1

確かに日本は2008年をピークに人口減少に転じました。 ただ、世界を見渡せば、ロシアポーランドなど他にも人口減少国はあります。
そこで日本やこれらの人口減少国を含めて世界経済での各国シェアの変動を調べてみました。

図1は1996年時点での名目GDP(ドルベース)の各国シェアとそれから20年後の2016年の名目GDP各国シェアの比をとったものです。


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図1 名目GDP世界シェア増減率
元データ出所IMF WEO April 2017
世界シェアの変動費率は、例えば日本の1996年の名目GDP世界シェアが15.2%で、2016年のそれは6.6%なので、
6.6÷15.2=43.4(%)を日本の世界シェア増減率とした。
なお、グラフの煩雑性を減らすため、2016年の名目GDP世界シェアが0.3%未満の国々は省略している。

このグラフをみるといくつかの情報が得られます。

まず、このグラフに載る主要な国々の中では日本のGDP世界シェア減少率が最大ということです。

日本に次ぐシェア縮小国はギリシャです。ギリシャユーロを借りた相手のEUなどトロイカ体制から厳しい緊縮策を突きつけられています。
それに次ぐのがドイツイタリアフランスといったEU主要国です。 EUでは「マーストリヒト条約」で、ユーロ参加の条件として財政赤字が対 GDP 比で3%、債務残高が対 GDP 比で 60%を超えないこととする基準(いわゆる「マーストリヒト基準」)が定められ、参加国は全て緊縮財政を余儀なくされて各国とも経済失速・失業増加などに喘いでいます。(通貨経済力に対して常に割安に維持されるドイツ外需だけは例外ですが)

また、人口減少国ロシアポーランドはこのグラフでは中位にあり、人口減少国だから経済規模が拡大しないということはないようです 
ちなみに日本は2008年以降人口が減少していますが、1996年と2016年の比較では日本は0.9%人口は増加しているのに対して、ロシアは3.1%、ポーランドは1.7%人口が減少していますので、枝野説のように、「人口減という抗しがたい現象経済規模減少の主因」と捉えることには疑念が生じます。

GDPシェア減少国は例外なく緊縮財政を持続的かつ強力に実行しており、人口減少国はGDPシェアを下げた国(日本)と上げた国(ロシアポーランド)が混在しており、経済活動を縮小させることに対して、人口減少は余り意味を持たず、政府緊縮財政をとることが非常に有効ということなのではないでしょうか。

もうひとつ、近年世界での日本の発言力が落ちるの裏腹に中国の発言力が増していますが、GDPシェアが相対的に10倍も変動すれば、それもあながち不公平ともいえない気がします。

では日本のGDPシェアの推移もみてみましょう。
図2は、日本のGDP世界シェアを名目GDP(ドル換算ベース)と購買力平価ベースでみたものです。


f:id:shavetail1:20170811210016j:image:w480
図2日本の世界でのGDPシェア推移
生データ出所:図1に同じ。

このグラフに描かれた期間内には、世界・日本でさまざまな経済事象東日本大震災などの自然事象が発生していますが、まるでそれらとは無関係かのように、日本のGDP世界シェアは右肩下がりで下がっています。
 
日本国内ではアベノミクスはそれなりにポジティブな評価がなされていますが、経済活動を名目GDPの世界シェアという切り口でみた時には、それとは随分と違う印象があるものですね。
安倍政権がいかに金融政策規制緩和に努めようと、緊縮財政を止めない限り、この四半世紀つづく日本経済の縮小傾向を止めることはできないのではないでしょうか。

*1:ソースは枝野氏のウェブサイト

田中リンクス田中リンクス 2017/08/12 00:08 人口減少で需要が減るから経済成長しない、というのはサプライサイド経済学とは反対ですよね。需要側、しかも内需を重視しているわけです。この着目自体は正しい。デフレギャップが恒常化しているから日本は経済成長しないと言ってるのだから。但し、彼等が間違ってるのは供給側と違い需要側は政府が債務を拡大することでいくらでも押し上げることが出来るということを理解していないところでしょう。仮に人口が半分になっても1人当たりの可処分所得が倍になれば金額換算の需要は変わらない筈です。
物、サービスを供給するのは国民ですから政府が国家の生産力を上げれるかどうかは国民の働き次第です。しかし需要はいくらでも拡大出来ます。
そもそも人口減少で需要不足になりデフレギャップが恒常化すると言うのなら、財政破綻だのハイパーインフレだのと心配する事もないでしょう。デフレが固定化するのですから。インフレにならないのなら財政支出しほうだいですよ。でもそれをやるとハイパーインフレになるという。僕から言わしたら「どっちやねん!」です。