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【いま読む日本国憲法】(59)第98条 最高法規、明確に宣言憲法はあらゆる法律の頂点にあり、違反する法律は無効-。憲法が「最高法規」であることを明確に宣言したのが、この一項です。 二項は、憲法前文に登場する「諸国民との協和」や、九条の平和主義を具体的に表現したものです。戦時の日本が、国際法規を尊重しなかったとの批判を踏まえ、盛り込まれました。 一項、二項を読むと「憲法と国際法規が矛盾したらどうするのか」と感じるかもしれません。どちらが優先されるかは、国会でも長く論争となってきました。 過去の国会審議によると、政府は「憲法違反の条約を締結することは考えられない」としつつ「条約がただちに憲法以下だという結論は下しにくい」「一国の安危にかかわるような問題に関しては、条約が優先する場合もある」との見解も示しています。白黒はっきりさせてはいないのです。 九八条は「一票の格差」の問題とも深い関係があります。格差が最大二・一三倍だった二〇一四年の衆院選を、最高裁は「違憲状態」と判断しました。他にも、国政選挙を「違憲・無効」「違憲状態」とする判決が各地で相次いでいます。 最高法規である憲法に違反した選挙で選ばれた議員が、法律をつくったり改憲の発議をしたりするのは「違憲」ではないか。そんな声が各地で上がりました。 自民党の改憲草案は、一項の「あつて」を「あって」に修正しただけで、後は現憲法と変えていません。自民党が表現の変更や削除、追加をしなかった条文は珍しいと言えるでしょう。
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