登山中の死者 救助隊到着時の生存割合は2.5%

登山中の死者 救助隊到着時の生存割合は2.5%
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11日は「山の日」です。登山中に死亡した人の死因や状況などを分析した国内ではこれまで例がない研究結果がまとまり、救助隊の到着時に生存していた人の割合は、わずか2.5%だったことがわかりました。分析にあたった医師は、滑落による外傷など致命的なケースが目立つ一方で、登山者自身の適切な対応により、生存の可能性を高める余地もあるとしています。
分析を行ったのは、登山者のけがや病気を専門とする「山岳医」の国内での草分けで、札幌市にある北海道大野記念病院に勤務する大城和恵医師です。

大城医師は、平成27年までの5年間に登山中の死者が多かった10の道と県で、警察の協力を得て、御嶽山の噴火を除いた合わせて553人の死因や死亡した状況などを分析しました。

このうち死因は、滑落などによる外傷が最も多く45.4%、次いで低体温症が15.2%、心臓発作が13.2%と、雪崩や脳卒中などよりも多く、これらが「登山中の3大死因」でした。

また、救助隊の到着時に生存していた人の割合はわずか2.5%だったことがわかりました。

外傷や心臓発作は致命的なケースが目立ち事前の対策が重要となる一方、低体温症は時間をかけて症状が悪化するため、登山者自身が体調の変化に早く気付き適切な対応をとることで、生存の可能性を高める余地もあるとしています。

こうした研究は国内ではこれまで例がなく、大城医師は、「山は、救急医療から隔絶された厳しい場所なので、登山者は、自分を守る力を身につけてほしい」と話しています。

「心臓発作」は夏場に注意

登山中の「3大死因」の1つ、心臓発作について、分析にあたった医師は、脱水症状が引き金となるおそれがあり、夏場は特に注意が必要だと指摘しています。

今回の研究を行った大城和恵医師は、札幌市にある北海道大野記念病院の「山岳登山外来」で、持病などで登山に不安を抱える人の相談や診察にあたっています。

今回の分析の中で登山中に心臓発作で死亡していた人は73人でした。

このうちデータのある68人の全員が40代以上、94%が男性で、大城医師はこうした人が登山をする場合、心臓に異常がないか事前に検査することが望ましいとしています。

そのうえで、登山中の心臓発作は、特に夏場に注意が必要だと指摘します。登山で汗をかくなどして脱水症状に陥ると、体内の血液の量が減り、心臓発作の引き金となるおそれがあるからです。

さらに登山中の脱水症状は、体の疲れと勘違いし体調の変化を見過ごしやすいということです。このため大城医師は、心臓発作を防ぐには脱水症状にならないための水分補給が重要だとしています。

今月はじめには、北海道警察本部とともに、登山者に注意を呼びかけた活動のなかで、脱水症状に効果があるとされる経口補水液を配り、水分補給のタイミングや量もアドバイスしていました。

大城医師は、「登山者の皆さんがイメージする量では、水分補給が十分ではないことが多い。登山の前と最中、それに後にも、たっぷりと水分をとってほしい」と呼びかけています。

「外傷」と「低体温症」とは

「登山中の3大死因」のうち、最も多かった滑落などによる外傷は、頭部や全身などに深刻な損傷を受け、救助が早くても命を救うのが難しかったとみられるケースが目立つということです。

このことが、救助隊到着時の生存率が極めて低い理由の1つになっているとみられ、登山中の死者の減少に向けて難しい課題となっています。

一方、2番目に多かった低体温症は、時間をかけて悪化するため、登山者の対応しだいで生存の可能性を高める余地があるということです。

登山者が事前に服装や装備など必要な準備を整えるとともに、症状にいち早く気付き、体を温めるなど適切な対応を取ることが重要になっています。

大城医師は、「登山者が、自分で自分を助ける能力を身につけることが、登山中の死者を減らすことにつながる」と話しています。

登山中の死者 救助隊到着時の生存割合は2.5%

11日は「山の日」です。登山中に死亡した人の死因や状況などを分析した国内ではこれまで例がない研究結果がまとまり、救助隊の到着時に生存していた人の割合は、わずか2.5%だったことがわかりました。分析にあたった医師は、滑落による外傷など致命的なケースが目立つ一方で、登山者自身の適切な対応により、生存の可能性を高める余地もあるとしています。

分析を行ったのは、登山者のけがや病気を専門とする「山岳医」の国内での草分けで、札幌市にある北海道大野記念病院に勤務する大城和恵医師です。

大城医師は、平成27年までの5年間に登山中の死者が多かった10の道と県で、警察の協力を得て、御嶽山の噴火を除いた合わせて553人の死因や死亡した状況などを分析しました。

このうち死因は、滑落などによる外傷が最も多く45.4%、次いで低体温症が15.2%、心臓発作が13.2%と、雪崩や脳卒中などよりも多く、これらが「登山中の3大死因」でした。

また、救助隊の到着時に生存していた人の割合はわずか2.5%だったことがわかりました。

外傷や心臓発作は致命的なケースが目立ち事前の対策が重要となる一方、低体温症は時間をかけて症状が悪化するため、登山者自身が体調の変化に早く気付き適切な対応をとることで、生存の可能性を高める余地もあるとしています。

こうした研究は国内ではこれまで例がなく、大城医師は、「山は、救急医療から隔絶された厳しい場所なので、登山者は、自分を守る力を身につけてほしい」と話しています。

「心臓発作」は夏場に注意

登山中の「3大死因」の1つ、心臓発作について、分析にあたった医師は、脱水症状が引き金となるおそれがあり、夏場は特に注意が必要だと指摘しています。

今回の研究を行った大城和恵医師は、札幌市にある北海道大野記念病院の「山岳登山外来」で、持病などで登山に不安を抱える人の相談や診察にあたっています。

今回の分析の中で登山中に心臓発作で死亡していた人は73人でした。

このうちデータのある68人の全員が40代以上、94%が男性で、大城医師はこうした人が登山をする場合、心臓に異常がないか事前に検査することが望ましいとしています。

そのうえで、登山中の心臓発作は、特に夏場に注意が必要だと指摘します。登山で汗をかくなどして脱水症状に陥ると、体内の血液の量が減り、心臓発作の引き金となるおそれがあるからです。

さらに登山中の脱水症状は、体の疲れと勘違いし体調の変化を見過ごしやすいということです。このため大城医師は、心臓発作を防ぐには脱水症状にならないための水分補給が重要だとしています。

今月はじめには、北海道警察本部とともに、登山者に注意を呼びかけた活動のなかで、脱水症状に効果があるとされる経口補水液を配り、水分補給のタイミングや量もアドバイスしていました。

大城医師は、「登山者の皆さんがイメージする量では、水分補給が十分ではないことが多い。登山の前と最中、それに後にも、たっぷりと水分をとってほしい」と呼びかけています。

「外傷」と「低体温症」とは

「登山中の3大死因」のうち、最も多かった滑落などによる外傷は、頭部や全身などに深刻な損傷を受け、救助が早くても命を救うのが難しかったとみられるケースが目立つということです。

このことが、救助隊到着時の生存率が極めて低い理由の1つになっているとみられ、登山中の死者の減少に向けて難しい課題となっています。

一方、2番目に多かった低体温症は、時間をかけて悪化するため、登山者の対応しだいで生存の可能性を高める余地があるということです。

登山者が事前に服装や装備など必要な準備を整えるとともに、症状にいち早く気付き、体を温めるなど適切な対応を取ることが重要になっています。

大城医師は、「登山者が、自分で自分を助ける能力を身につけることが、登山中の死者を減らすことにつながる」と話しています。