空軍の宿舎の管理兵として服務していた25歳の元兵士は、大領(大佐に相当)や団長が変わって引っ越すたびに、公館にある家具を全て取り換え、掃除したという。引っ越し当日には宿舎の管理兵だけでなく、中隊の洗濯兵、理髪兵、事務兵が総動員された。ある大領クラスの指揮官は、知人が公館を訪問すると「友人にかける布団をきれいに洗って持ってこい」と指示した。この元管理兵は「幹部の間には『ささいなことでも、全部兵士にやらせればいい』という考えが根深くあるようで、苦々しかった」と語った。
こうしたことは、軍隊の現役兵にのみ起きているわけではない。兵役のかわりに警察で勤務する「義務警察」などでも、同様のことが起きている。警察幹部の下着を義警が自ら手洗いすることは多いという。このため、「根本的な問題は、幹部が『なんでも兵士にさせればいい』と考える文化」という指摘が出ている。過度の序列関係のせいで、公的な業務と私的な件を区分できないのが問題、という分析もある。
ネット上には「いくら大変だといっても、公館勤務兵は花形職(楽な仕事)で通った」という意見がある。公館兵は、遊撃訓練などきつい訓練から除外されるケースが多いという。しかし、専門家らは「兵士を雑務に動員すること自体、戦闘力の損失」と指摘する。建陽大学軍事学科のユン・ヒョンホ教授は「軍事作戦の側面から見ると、公館兵は必須の補職とはみなし難く、予算を抑えるため維持されているという側面がある。兵士を雑務に動員したら、軍全体の戦闘力が落ちてしまう」と語った。
朴司令官については、さらなる通報がなされている。軍人権センターは4日、追加の通報者をメディアに公開した。公館兵出身の元軍人だという通報者は「朴司令官夫人は、何事につけ一つも手を動かさず、公館兵を個人の下人のように使った。(朴司令官は)家で(夫人が)どうしているか知っていながら、そのままにしていた」と語った。朴司令官は「苦労してはじめて(公館兵が)楽だと分かる」と言って、最前方のGOP(一般前哨)部隊に公館兵を1週間ずつ送ったという。