山口大学 神野有生(Kanno Ariyo)の技術ノート

UAV(ドローン)を使った写真測量などについて、広く使えそうな技術情報を掲載します。
まずは、写真測量ソフトAgisoft PhotoScanの使い方を解説中!
SfMの基礎知識を説明しながら、マニュアル以上に突っ込んだ使い方を提案しています。

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【このテーマの記事は、日々の興味本位のお試しを記録するものです。おふさげも入っています。】

 

前の記事までの作業で、

San Andreas州の街Las VenturasにあるホテルThe Clown's Pocketの一室について、できるだけ手作業は行わずに、

1. SfMによるカメラパラメータの推定

2. MVSによる密な点群の生成

3. 密な点群に基づくメッシュの構築

4. メッシュへのテクスチャの貼り付け

を行った。

 

いよいよ「テクスチャー」モードで、テクスチャを貼った3Dモデルを表示して、3Dモデルの仕上がりを見てみよう。



2つのベッドはちゃんと寝られそうだし、柔らかそうだ。

 

 

まるで元のゲーム (GTA SA)のプレイ画面のスクリーンショットのような出来栄えだ。

 

 

ソファーも心地よく座れそうだし、テレビも映りそうだ。床のタイルもしっかり出来ている。

 

 

一方、天井には穴が空いていて、宇宙が見えている。

これは、しゃがみ撮影や寝そべり撮影が出来ないために、天井と距離を取った写真が撮れないという問題から、元々覚悟して、天井を無理に撮影しなかった結果である。

 

天井よりは低い位置にあり、多くの画像に写ったはずの照明器具まで痕跡的になっているのは、残念だ。照明器具の電球カバーはテクスチャに乏しく、どこから見ても同じように見えてしまうことが災いしたのだろう。

 

 

同様に、今回は廊下を撮影の対象外としたので、廊下にも大穴が空いている。これは覚悟の上だ。

 

 

十分に写したはずなのに上手くいかなかった物として、照明器具の他に、机があった。「テクスチャー」モードの表示(テクスチャを貼った3Dモデルの表示)では、上図のように、机はとけたチョコレートのようになってしまった。鉢も花も欠けている

 

密な点群を表示すると、机は下図のように見えていた。密な点群の段階では机の面、鉢、植物も比較的しっかりと生成されていたのだ。しかし良く見ると、机から飛び出した点や、鉢の周りに散らばった点など、outlierも多いので、メッシュ構築の段階で大幅に削られてしまったものと推察される。

 

outlierの密度は、実際に机・鉢・植物の位置にある正しい点の密度に比べて明らかに小さい(でなければ、下図で机・鉢・植物が再現できているようには見えない)のだから、より細かい設定が行えるソフトを適切に使えば、より正しい点を活かした(排除しないで活用した)メッシュも作れそうなものだ。

 

 

ちなみに、部屋の外からこのモデルを見ると、次のようになっている。テクスチャが表裏一緒なのは仕方ない(外からは1枚も撮っていないのだから)として、部屋の形を明瞭に再現できていることが窺える。

 

 

以上、細かい家具の再現性には問題があるものの、手作業をあまり行わずに、部屋の構造・形状を十分に把握できるレベルの3Dモデルを得ることが出来た

 

 

カメラが低解像度である、壁や床にテクスチャの完全な繰り返しが多い、直立の状態でしか撮影できない、という厳しい条件でここまで出来たのだから、内装の写真測量は、現実にはもっと手軽に出来るのではないかと思われる。

 

以上で、「不動産の内装の写真測量」シリーズを締めくくりたい。

 

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