お腹の調子が悪いと、不快感だけでなく、全身の健康にも影響してくると明らかになってきた昨今、腸内フローラを整えることの重要性が再認識されてきました。
今回は、乳酸菌サプリにおいて19年連続売り上げ第一位の「ビフィーナS」と、乳酸菌整腸剤で人気の高い「新ビオフェルミンS」について調べました。
腸を鍛えるアイテムとして相応しいのはどちらなのか、調査しました。
目次 [隠す]
ビフィーナSとは
まず、乳酸菌サプリで最も売れている「ビフィーナS」についてお伝えします。19年連続売り上げ第一位であることから、その人気がうかがい知ることができます。
ビフィーナSは、お腹の調子を整えて腸内フローラを良好にし、便通改善の機能が報告されているサプリメントです。
森下仁丹が製造販売
ビフィーナSを製造販売しているのは「森下仁丹」と言う医薬品メーカーです。創業明治26年と、長い歴史がある企業なんです。看板商品「銀箔仁丹」は、生薬を銀箔でコーティングしたもので、広く流通しました。
含まれている乳酸菌
ビフィーナSには、3つの乳酸菌が配合されています。
- ビフィズス菌ロンガム種
- 乳酸菌ラクトバチルス ガセリ種
- 乳酸菌エンテロコッカス フェシウム種
乳酸菌2種は小腸で増え、ビフィズス菌ロンガム種は大腸の善玉菌として働きます。
排便回数が増加した
この実験は、ビフィズス菌ロンガム種を飲んでいる時と飲んでいない時での、排便回数の変化をグラフにしたものです。
20億個のビフィズス菌(ロンガム種)を含む食品の摂取により、対照食品群で8.4±0.4回/14日であった排便回数が、9.6±0.6回/14日に有意に増加したことが報告されました。
平均値±標準誤差, * p<0.05
被験者:21歳から45歳(平均年齢31.6±7.2歳)までの重度の便秘症を除く便秘傾向者55名(男性12名、女性43名)のうち週あたりの排便回数が2~5回の者48名
摂取期間:2週間(ビフィズス菌(ロンガム種)を20億個含む食品または対照食品を2週間毎日摂取)
清水(肖)ら, Japanese Journal of Lactic Acid Bacteria, 18(1), 31-36, 2007 から改変
ビフィズス菌ロンガム種を飲んでいる時期には、排泄の回数が増えていることが分かりますね。
ビフィズス菌ロンガム種は、糖を栄養源として乳酸・酢酸を作り、腸を酸性に傾けてくれます。腸内フローラで悪玉菌が優勢になると、腸はアルカリ性なって、有害物質が絶え間なく作られるようになります。
腸を酸性にすることは、悪玉菌の繁殖を抑えることに繋がりますので、腸内環境を改善することができるのです。ビフィズス菌が作る乳酸・酢酸は、腸を刺激する作用もあるので、排便の回数アップにつながったと考えられます。
腸内フローラが変化
ビフィズス菌ロンガム種を飲むことで、腸内フローラの構成に変化が起きたというデータもあります。
20億個のビフィズス菌(ロンガム種)を含む食品の摂取により、対照食品摂取時に9.7+0.3回 log10/g fecesであった糞便中Bifidobacterium(ビフィドバクテリウム)属菌の菌数が、9.9+0.3回 log10/g fecesに有意に増加し、さらに占有率も、対照食品摂取時に34.4±19.2%に有意に増加したことが報告されました。(平均値±標準偏差)
値は平均値で示した,*p<0.05
被験者:健常女性11名
摂取期間:2週間(ビフィズス菌(ロンガム種)を20億個含む食品または対照食品を2週間毎日摂取)
Yaeshima et al., Bioscience Microflora, 16(2), 73-77, 1997 から改変
ビフィズス菌ロンガム種を摂取することで、腸内が酸性になり、悪玉菌の勢力を弱めることができたようです。悪玉菌を弱らせたらこっちのもので、善玉菌が増えるだけのスペースの確保が完了していますよね。
ビフィズス菌は加齢で減る
ビフィズス菌(善玉菌)は、健康的な腸においては欠かせないものですが、加齢で割合は減少していきます。
腸内細菌のうち99%がビフィズス菌で占められていたのは、遥か昔のこと。年々減少し、還暦を迎えるころには、1%以下という寂しい状況になります。
こういった理由で、歳をとるとお腹トラブルも増えてきますので、ビフィーナSでビフィズス菌を送り続けることは、トラブルの予防につながるのです。
特殊カプセル採用で生存率を上げる
ビフィズス菌を補いたい気持ちはあっても、ビフィズス菌は熱や酸に弱いため、食品やサプリへの応用が出来ないでいました。しかし、森下仁丹が開発した特殊なカプセルにより、腸に生きた菌を届けられるようになったのです。
特殊カプセルに入ったビフィズス菌は、90%生存して腸まで届くことが分かっています。このカプセルは、経口ワクチンへの応用も研究されていて、さらなる発展が望めそうです。
善玉菌の栄養源:オリゴ糖
ビフィーナSには、善玉菌の栄養源になる「オリゴ糖」も配合されています。白い粒粒がそうですね。オリゴ糖を配合することで、カプセル内の菌の働きを、いっそう高めることができるのです。
整腸作用の高い乳酸菌2種と、ヒト由来のビフィズス菌ロンガム種が入ったビフィーナSは、機能性表示食品の届け出もしており、信頼と実績のある乳酸菌サプリであることが分かりました。
新ビオフェルミンSとは
ビオフェルミンは大正6年から製造を開始しているので、こちらも歴史ある会社ですね。菌の種類などのリニューアルを重ね、現在は新ビオフェルミンSとして発売されています。
含まれている乳酸菌
新ビオフェルミンSには、3つの菌が配合されています。
- ビフィズス菌G9-1
- 乳酸菌ラクトバチルス アシドフィルス菌
- 乳酸菌エンテロコッカス フェーカリス菌
ビフィズス菌G9-1はヒト由来の菌で、定着性の高さに特徴があります。他の乳酸菌2種は小腸で増殖して、大腸の善玉菌(ビフィズス菌)の増殖を助けます。
3種の乳酸菌が助け合い、小腸から大腸までトータルでお腹の調子を整えてくれるのです。
便秘解消の臨床成績
新ビオフェルミンSは古い薬なので、臨床データの実績が添付文書に載っていませんが、同じ効能の整腸剤「ラックビー」には、以下の実績がありました。
種々の原因による便秘症147例に対する改善効果(有効以上)は、乳幼児77.3%(17/22)、成人79.2%(99/125)の合計78.9%(116/147)を示した。
また、原因疾患別分類では、妊娠に伴う便秘92.0%(23/25)、慢性便秘68.2%(45/66)の改善効果(有効以上)を示した。
出典:ラックビー錠
高い整腸作用がありますね。便秘の他にも、ホームページには様々なトラブルに使用することが勧められています。一部抜粋しました。
こんなとき・こんな方に | 備考 |
---|---|
赤ちゃんのお腹が気になるお母さん | お腹の調子が乱れがちな赤ちゃんにも、生後3ヶ月から飲ませることができます。※新ビオフェルミンSの顆粒タイプ |
年齢と共にお腹の調子が気になる方に | 腸内のビフィズス菌が減って、悪玉菌が増えたからかもしれません。乳酸菌を補って、自然な排便を目指しましょう。 |
忙しい方に | 忙しくて生活習慣が不規則だと、軟便や便秘になりがちです。普段から乳酸菌でお腹の調子を整えましょう。 |
旅先でのお腹が気になる方に | 旅行で普段とは違う食事や水を摂ると、お腹の調子が乱れがちに。旅先でも乳酸菌を飲むことで、いつものお通じを出すことができます。 |
他にも10通りのトラブルが掲載されています。お腹のトラブルは、色んな所から始まって、始まってからの苦労もたくさんあることが分かりますね。
どっちがいいの?ビフィーナSと新ビオフェルミンS
ビフィーナSも新ビオフェルミンSも、ビフィズス菌1種と乳酸菌2種が、小腸から大腸まで総合して腸内フローラを整えてくれることが分かりました。
どちらを選ぶべきかと言うと、両方とも腸内フローラを整えた実績がありますから、お好きな方で良いと思います。
ただ、どちらも日頃から毎日飲むことを前提としているものなので、長期的に体に入れると考えた時に、
- 続けるにあたって副作用はないか
という目線で確認してみてください。
菌は自分の腸との相性が合えば、高い整腸作用を発揮してくれますし、相性が合わない場合でも副作用を心配することもありません。
問題は添加物です。菌の効果効能だけに着目しがちですが、添加物の作用の確認もしましょう。早速、2つの添加物を確認してみます。
ビフィーナS | 新ビオフェルミンS |
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エリスリトール、食用油脂、オリゴ糖、ゼラチン、デンプン、グリセリン、乳化剤、酸味料、増粘剤(ペクチン)、香料、着色料(クチナシ、カロチノイド) 、(一部にゼラチン・大豆・乳成分を含む) | トウモロコシデンプン、デキストリン、乳糖水和物、沈降炭酸カルシウム、アメ粉、白糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム |
それぞれカプセルと錠剤を形成するために必要なものですね。しかし、新ビオフェルミンSに気になる成分を見つけました。それが、沈降炭酸カルシウムです。
沈降炭酸カルシウムの作用とは
沈降炭酸カルシウムは、胃酸を中和する作用を持つ薬です。乳酸菌を生きたまま腸に届けるために、添加されています。
胃酸と言う強酸の液体を前に、デリケートなビフィズス菌や乳酸菌は死滅してしまいます。そこで乳酸菌を守るために、胃酸を中和して、通り抜けられるトンネルを作っているのが沈降炭酸カルシウムなのです。
胃酸の働きと中和について
しかし、胃酸は、何も無意味に強酸であるはずがありませんよね。胃酸は、口から入ってきたウイルスや細菌を殺してくれます。もし胃酸がなかったら、私たちはもっと多くの風邪や病気にかかってしまうでしょう。
そして、胃酸は、たんぱく質を消化する酵素の働きを強める働きもあります。もしも働きが高められなかった場合は、消化不十分で消化不良が起きて、腸内フローラを乱すことになるでしょう。
副作用として出てくることは?
もちろん新ビオフェルミンSに含まれる沈降炭酸カルシウムは微量なので、そういった症状にまで出てくることは、あまりないと思います。
しかし、これからずっと、生きた乳酸菌を届けるためだけに胃酸をコントロールすることは、体の自然な反応からどんどん遠ざかっているように思います。
本来、沈降炭酸カルシウムは、胸やけや胃のムカつきなどの症状が出た時に服用する薬です。
ビフィーナSであれば、胃酸の強弱をコントロールするような添加物は入っていませんし、特殊カプセルがしっかり生きたまま腸に届けてくれますよ。
まとめ
どちらも3つの菌が入っていて、実力のあるアイテムでしたが、長期的な服用を考えた場合、注意する点がありましたね。
何か薬を飲むときは、その効用だけでなく、副作用まで意識して飲むようにしましょう。副作用があっても手に入れたい効果なのか、自問自答してから服用してくださいね。
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