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ただいま表示中:2016年9月27日(火)“豊洲問題”の深層に迫る 緊急出演 小池都知事P1/P1
No.38672016年9月27日(火)放送
“豊洲問題”の深層に迫る 緊急出演 小池都知事

“豊洲問題”の深層に迫る 緊急出演 小池都知事

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緊急出演 小池都知事 “豊洲問題”の深層に迫る

ゲスト 小池百合子さん(東京都知事)

就任して、わずか2か月でこれほどの問題が噴出してきたわけだが、ここまで事態が広がると思っていた?

小池都知事:正直、思っておりませんでした。
この築地から、新天地の豊洲への移転というのは、何十年にわたって、30年にわたって、いろいろと議論があって、そして、さあいよいよ開場だということで、11月7日の開場を目指していた。
しかしながら私、環境大臣をしていた時に、この豊洲の土壌の浄化のそのものに立ち会っていた関係で、ずっとそのへんで興味は持っていて、都知事選の際に突然思いついて、選挙のために立ち止まるということで申し上げたわけではなくて、これには深く関心を寄せていました。
1人の生活者と考えてみても、安全性はどうなのかといった、このへんをきっちりしていかなければ、築地がブランドであるがゆえに、それが移転した豊洲もブランドであるべきだと、そういう意味で一度立ち止まりましょうということを申し上げました。
そうすると、いろいろとその後、次から次へと課題が出てきまして、逆に驚く部分が多いんです。
でも、これはある意味で都政を変えていくいいチャンスだと、試金石だというふうに思っておりまして、むしろ課題は今のうちにたくさん出てきた方がいいんじゃないかと、それぐらいに思っております。

予想外の展開となった豊洲市場の問題。
不安は広がる一方です。

“豊洲問題”広がる不安 緊急出演 小池都知事

築地市場の移転先となる豊洲市場。
今、移転のめどが立たない事態に陥っています。

建設が終わった建物の地下。
そこに存在するはずのない巨大な空洞が広がっていたのです。

発端は、移転先となった東京ガス跡地の土壌汚染。
環境基準を大幅に上回る有害物質が検出されました。
東京都は土壌汚染対策として、敷地全体の土壌を入れ替え、盛り土をした上に建物を建設すると説明。

しかし実際には、主要な建物の地下で盛り土はなされず、代わりに地下空間の建設が進められていたのです。
豊洲新市場への移転を目前に控えていた築地市場の関係者に動揺が広がっています。

マグロ専門の仲卸を営む、吉野悦松さん。
移転準備のために3,000万円近い借金をしました。

ほかの業者から営業権を買い、より広いスペースを確保。
冷蔵庫も新調しました。
今は、用意した設備やスペースのために借金の返済だけを続けています。

マグロ仲卸業者 吉野悦松さん
「お金は借りたものだから返さなきゃいけない。
(毎月)70〜80万円くらい返済しなきゃならないので大変だなと。」

さらに、豊洲市場の安全性が確認されないまま移転すれば、築き上げてきた築地のブランドさえ失いかねないという懸念も広がっています。

120年以上続く仲卸の酒井衛さんです。
今、取り引き先から豊洲に対する不安の声が寄せられています。

すし店 店主
「今度、豊洲に移って、いつ何が起こるかわからない。
そんなのありえないって。」

水産仲卸業者 酒井衛さん
「“築地から来た魚だよ”というのと、“豊洲から来た魚だよ”というのと、イメージが違ったらまずいんです。
今までのわれわれが培ってきたものが、そのまま継承されないと意味がない。」

緊急出演 小池都知事 豊洲市場 安全性は?

ゲスト 小嶋章史(NHK記者)

先週の土曜日に都は、現場の有害物質の濃度を測定した結果、環境基準を下回ったと報告しているが、多くの方々が心配している安全性について、知事自身はどう捉えている?

小池都知事:専門家会議は、いったんその役目を終えて、盛り土をすべきだということを提案されまして、終えたものでありますが、その会議を再開して、座長である平田先生が現場にいらっしゃって、そしてこれまでの水質の検査結果、そして、ご自身が現場にいらした、その結果を踏まえて、これらの点については安全であるということをおっしゃったということでございます。
やはり今、各党、各会派が現場にいらして、やはり議員の方々ですから、調査をする権利がある、また、それも役目だと思います。
それからマスコミの方も今どんどんとあちらにいらして、いろんな形でモニタリングといいましょうか、採水もなさって、いろんな数値が出てきて若干、混乱している部分があるのではないかと心配しております。
調査をするにしても、分析をするにしても、専門性がないと、きちっとした数値じゃないと、また少しのサンプリングですと、その幅の揺れが激しすぎて誤った数値が出てしまうと、それこそ風評被害につながってしまいます。
ですから、ちょっと落ち着いて、この安全性はきっちりと確認をしていきたいと思っておりますので、専門家会議の皆様方の結論、それから別途プロジェクトチームを都政改革本部とは別に設けさせていただいております。
そういった専門の方々に安全性をしっかりと落ち着いて確認をしていただく。
これが何よりも重要なことだと思っております。

小嶋記者:知事はもともと、先ほどおっしゃってましたが、豊洲市場を11月に開くという移転予定だったんですが、知事は再三、安全面の確認が最優先だというふうにおっしゃってまして、そうしますとこの移転の判断の時期は、今回の事態を受けてずれ込むのか、また移転そのものが大丈夫なのかという声もありますが、これについてはどのように?

小池都知事:私はまず立ち止まり、かつ移転を延期したその最大のポイントは、まず地下水のモニタリングが2年間ということですけれども、最後までまだ終わっていない。
ただ、11月7日に決まった理由が何よりもパラリンピック・オリンピックの道路を建設するためには、後ろから考えると11月じゃないと間に合わないという別の理由でした。
ですから、ここは環境の安全性をきっちりと守るためには、2年間のモニタリングはしっかりやってくださいということで、その結果が1月の半ばぐらいに実質出てまいります。
それを待ちましょうよという話をさせていただいたわけです。
そうやって待っている間に、この地下空間の話が出てきて、ちょっと話が空間の建設の話にいき、かつ環境の方に飛び火し、そして、その情報が共有されていなかったという組織的な問題に飛び火し、ということで若干、今、混乱が起きていると思うんです。
そこをもう一度整理いたしますと、安全面ではどうなのか、それから空間は安全なのか、そしてたまり水は安全なのか。
そういった環境面の安全性、食の安全性、建物としての安全性、それと全く別に、都庁の情報共有がちゃんとできているのかというガバナンスの問題と分けて考えないといけないと思っております。
私とすれば両方を追及すべきだと、このように思っております。

ガバナンスの問題を詳しく見ていきたいと思うんですが、今は大きな問題となっているのは、盛り土をしないという重要な判断を、誰が、いつしたのか明らかになっていない、その意思決定の不透明さです。
盛り土を提案されてから8年という時間がたっています。
知事や市場長は、いつ計画が変更されたのか知らなかったと発言しています。
今回、私たちは、その疑問の一端を明らかにする内部資料を入手しました。

“豊洲問題”いつ?誰が? 緊急出演 小池都知事

今回、NHKが独自に入手した、東京都の内部資料。
豊洲市場の設計図です。

図面を見ると、3年前の時点で建物の下が空洞になっています。
盛り土の表記はありません。
一方、同じ時期に東京都が公開を始めた動画。
ないはずの盛り土を、安全対策の柱としてPRしています。

東京都が制作したPR動画
“掘削した2メートル分をきれいな土で埋め戻し。
さらにその上に、きれいな土を2.5メートル盛ります。
これは、歩道橋の高さに匹敵します。”

もともと外部の専門家が提言した盛り土。

工事の方法を検討する会議に出席した長谷川猛さんは、盛り土をしないという話を聞いた記憶はないといいます。

東京都環境科学研究所 所長 長谷川猛さん
「盛り土っていうのは、もういじらないものだという認識があって、地下空間を作りますというような、具体的な説明はしなかったので、記憶に残らなかった。」

一体誰が、盛り土をせず、地下に空洞を作ることを考えたのか。
これは、同じ会議の中で東京都が提出した資料です。
建物の下に、作業空間を確保することが必要だと記されています。

この考えは、専門家とは別に、都庁内で工事の方法を検討していた技術系の職員から出てきたものと見られています。
都庁で、いくつもの大型工事を手がけたことのある技術系の元幹部です。
建物の下に空間を作る考えは理解できるといいます。

東京都 技術系 元幹部
「技術的に考えるとかなり合理的に考えながら、進めている。」

会議の資料にも、空間が必要な理由として、汚染物質の除去や地下水の汚染の計測などが挙げられていました。
地下空間が合理的だったのなら、なぜ、そのことが内部で共有されなかったのか。

東京都 技術系 元幹部
「問題は(技術系職員から)外に対して伝える、その組織外のところに伝える、そこの歯車が動いてなかったんじゃないか。」

技術系職員の中で固められていった、盛り土をなくす計画。
技術系出身ではない市場長には詳しい説明がされず、そのまま了承されたと見られています。

知事3代にわたって、問題が表面化することはありませんでした。
都庁の意思決定のどこに問題があったのか。

元副知事の青山佾さんです。
形だけの決裁に問題があったのではないかと指摘します。

明治大学大学院 教授(東京都 元副知事)青山佾さん
「重要案件については、とにかく口頭だとか、電話だとか、なんでもいいですけど、上司に上げていくこと。
決裁書類を回せば、それで責任は上にいったということはない。」

小池知事の下で、豊洲市場の問題を検討するプロジェクトチームの森山高至さん。
事務系職員と技術系職員の縦割り意識が、背景にあるのではないかと見ています。

豊洲市場 プロジェクトチーム 森山高至さん
「縦と横で割られて、一つのマトリックスになっていて、一つの担当セクションが小部屋になっている。
そこに整合性がどうあるかということに対して、統括しては誰も見ていない可能性はある。」

緊急出演 小池都知事 不透明な意思決定の実態は

取材では、都の技術系の職員が地下空間の案を発案したということが分かってきたが、知事はどのように報告を受けている?

小池都知事:今、報告といいますか、自己検証を指示しております。
それは、市場の担当部署において、何が、いつ、誰がどこで決めたかということを今、自己検証すべしということを申し上げております。
もちろん、ばっと外部の人が入って、一種これまでの流れを暴くっていうこともできないことはないかもしれませんけれども、しかしながら、やはり、ここは私が申し上げている東京大改革の1つの試金石として、この問題を自ら一体何が起こったのかというのを整理せよということで今月(9月)いっぱい、それを行い、そしてそれを改善策につなげていこう。
ひと言で言うと縦割りなんですよ。
縦割りの中と、それからまず責任感の所在が明確でなくなっている。
それと、最大の問題は誰のお金で、これだけ巨大な施設を作るんですか、それに対して何も考えなかったんですかと、このことを私は申し上げたいんですね。
そのことを明確にしつつ、本当に安全なのかどうか。
私は、農水大臣に対して新しい市場が出来ました、安全ですので、どうぞ農水大臣お認めくださいという、それがないと、あの新市場は開けないんです。
私自身、まだ納得していない状態なわけですから、その安全性の確認と、それからガバナンスの問題点をどうするのか、この2つを同時に考えて新しい形にしていきたいと、そのことを明日(28日)の私、初めての所信表明でも申し述べていきたいと思っております。

市場の整備費5,800億円という、そのばく大な費用を巡っては、もう1つ見逃せない問題があります。
1,035億円。
この数字は、主要な建物の工事の入札の際、不可解に膨らんでいった費用です。
一体、何が起きていたんでしょうか。

“不可解な”建設費 緊急出演 小池都知事

リポート:三石泰行(社会部)

3年前の11月。
東京都は、豊洲市場の水産仲卸売場棟、水産卸売場棟、青果棟の3つの建設工事で、それぞれ入札を実施。
都が積算した予定価格は合わせて、およそ630億円でした。

入札に参加したのは、大手ゼネコンを中心にした共同企業体、JVでした。
3つの建物の工事に、それぞれ別のグループが参加しましたが、いずれのJVも入札を辞退しました。
入札を辞退した理由について、都の担当者は、それぞれのグループに聞き取りを行っていました。

東京都による聞き取りの際に、業者が説明した内容がNHKの取材で分かりました。

“震災復興で労働者の確保が難しい。”

“自分たちの見積もりと、東京都の予定価格は合ってない。”

内容は、いずれも都の見積もりが低すぎるというものでした。
その一方で業者は、価格が見合えば、次回の入札に前向きに取り組むとも答えていました。

3か月後、都は2回目の入札を実施。
予定価格を前回より一気に60%増額し、1,035億円に引き上げました。
入札には1回目と同じ、3つのグループだけが参加し、落札。
落札価格は、いずれも予定価格の99.7%を超えていました。
予定価格が大幅に上がった上で、ほぼ同額で落札されたことについて専門家は、不自然だと指摘します。

日本大学 総合科学研究所 有川博教授
「短期間の間に1.6倍も資材費や人件費が上がるということはありえないので、おそらくどちらか(1回目か2回目の予定価格)が適切ではなかった。
業者から言われた価格で、すぐ大きく変えなければいけなかったという、そういう体制になっているとすれば、おそらく個人の問題ではないので、都の積算体制自体も検証の対象にならないといけない。」

都の積算に問題はなかったのか。
豊洲市場関連の工事の入札に参加した建設業者が取材に応じました。
かつて、都の工事で自分が積算し、都に伝えた建設費がほぼそのまま入札で使われたことがあり、都の積算は甘いと感じたといいます。

豊洲市場関連の工事入札に参加した 建設業者
「(東京都は)はっきり言って(適正価格を)調べないので、建設業者を信じるしかない。
単価をこっちで、我々は自主的に出して、実際これだけ今の世の中では値上がりしてますよと(東京都に)言って、材料費や工務費をもらって、まるっきり人任せが昔からの(都の)風習ですから。」

緊急出演 小池都知事 問われるコスト意識

この入札についてJV側は、手続きは適正に行っているとしています。

小嶋記者:今のVTRの中で業者の方が、都の予定価格についての設定が甘いというような発言もあったわけですけれども、都庁のこの入札のあり方とか、そういった面の改革については今、何かお考えのことはあるんでしょうか?

小池都知事:都政改革本部を設けております。
その中にオリンピック・パラリンピックの調査チーム、そして、内部統制の調査チームも設けております。
情報公開という、ここが一番大きなチームになるかと思うんですけれども、この入札のあり方についても、これまで一体どうだったのか、適切であったのか今、このチームの方々が調査をしているところであります。
この豊洲のみならず、例えば築地の解体というのも入札が行われておりまして、これはちょうど知事選のさなか、7月20日に入札が行われて、翌日に落札が行われてということで、これもいろいろ調べていきますと、WTOのルール違反ではないかといったような見方も出てくるんです。
先ほど、都の積算なり、それから業者の方がおっしゃっているのが甘いんじゃないかという都庁の、この構えが。
私も非常に豊かな財政であるがゆえに、そういった都庁のこれまでのいろんな入札であったり、お金の使い方、ワイズ・スペンディング(賢い使い方)とはちょっと言えないんじゃないだろうか。
例えばかつて、前の知事が海外にいらっしゃる時、そこで使われた会議に必要な装置、早い話がコピー機なんですけど、1台買えちゃいそうな値段で、それで最初OKを出しているというようなこと、ちょっと信じられないぐらいなんですね。
ですから、大盤ぶるまいしてきたけれども、一体それは誰のお金ですかということは、公僕として、もう一度しっかりとお財布のひもを締め直してもらわないと、これから国際情勢も、それから経済情勢もどうなるか分かりませんよね。
特に、法人税に依拠している、この東京都庁の財政っていうのは、いい時もあれば、厳しい時もあるわけです。
そういう意味で改革していかなければならないと思っています。

明日からは議会が始まり、これからの説明などは小池知事の責任になる部分が大きくなってくる その覚悟とは?

小池都知事:問題点とすれば、あれだけ巨大な都庁でありながら、都庁だから情報が共有されていない、責任が共有されていない。
国会っていいましょうか、政府でいうところの閣議のような形で情報を共有するような会議体をこれから持っていきたいと思います。
会議のための会議ではありません。
まさに都庁としての情報を共有するための、そういう会議を必ず設けていきたいと今、準備をしているところです。

緊急出演 小池都知事 “豊洲問題”の深層に迫る

都知事就任直後に、大きな課題と向き合うことになった小池知事。
この問題を解決しなければならないという意思が、言葉の端々に表れているように感じました。
今後は、小池知事自身改革への向き合い方が問われていくことになります。

今回のグラレコ

番組の内容を、「スケッチ・ノーティング」という会議などの内容をリアルタイムで可視化する手法を活かしてグラフィックにしたものです。

質問
コーナー

Q1

東京都の責任体制はどうなっているのでしょうか?

いつ、誰が盛り土をせず、地下に空洞を作ることを考えたのか。最終結果の報告にむけて調査が進められていますが、現時点では、都庁の内部で職員間でも詳しい説明がされずに計画が了承されていったと見られています。都庁内部での縦割り意識が背景として指摘されています。
Q2

過去を叩いて終わらないよう未来に向けた仕掛けを期待したい。

番組の中で、小池知事は「安全面の確認と都のガバナンスの問題を同時に解決し、東京大改革のひとつの試金石として改善策につなげたい」と語りました。その上で、都庁内の情報共有の強化のために、「情報を共有するための新たな会議体」を設ける考えを示しました。こうした取り組みに注目が集まることになりそうです。

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